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あなたを愛します 2
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その日はアルの45歳の誕生日のお祝いで、ミカが予約したレストランで夕食を楽しんだ帰りだった。
信号待ちをしていたところへ車が歩道に突っ込み、アルの目の前でミカをはねた。
奇跡的に外から見える傷はどれも浅く骨折も無かった。
しかし、頭部を強打していて集中治療室に収容された。
人工呼吸器に繋がれ、意識の無いミカに対面したアルは、涙すら出ないほどにショックを受けた。
医師からの説明はアル一人で聞いた。
アルは秘書のミュリエルに連絡をして、ミカのことと自分もしばらくは出社できないと伝えた。
ミュリエルはジルが退職し、6年ほどしてから雇った女性だ。
ジルはアルに秘書としての仕事を3年かけて教え込み、そろそろ年金生活を満喫させてと退職した。
アルはジルに仕込まれただけあって、なかなかに有能な秘書だった。
そしてミカが、そろそろアルに後継者として色々教えようとして、新しい秘書を雇った。
それがミュリエルだ。
彼女に仕事を教えながら、自分もミカから教わる忙しい身となったが、アルは着実に成長していった。
ミュリエルが入社した時、彼女も同席させて、幹部たちを集めてミカは発表した。
アルに後継を任せる、これから教育をしていく、と。
そして、併せて、アルが息子ではなく生涯を共にすると決めたパートナーなのだとカミングアウトした。
これを言うことで仕事がやりづらいと感じる人も出てくるかもしれない。
それは覚悟の上だった。
しかし、時代は変わったし、隠したままにしておくのも可能だが、ミカにはアルとの約束を果たしたいという願いもあった。
アルは気にしないと言ったが、2人の首から下がるお揃いの指輪に、ミカは本来の位置で輝いていてほしいと思ったのだ。
その翌日から2人は指輪をしたまま出社した。
驚かれたり、色々聞かれもしたが、それもしばらくして落ち着いた。
幹部たちはおおらかに受け入れてくれた。
偏見は世の中にまだ残っているが、ここではそれほどでもないらしい。
アルとミカはほっとしたものだった。
アルはミュリエルの次に幹部たちにも連絡をしようと携帯端末を手にした。
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