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嵩原と高橋②にしおりをはさみました!
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嵩原と高橋②
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(たまに書きたくなる、この二人。大好きなコンビです)
「高橋………………ほい」
「はい…………………?」
ある夜、いつものように夕食を大和と嵩原に食べさせた高橋は、キッチンで後片付けをしていた。
大和は、お風呂。
リビングで一人焼酎を呑み始めた嵩原に、何かつまみでも作ろうかと思っていた矢先、高橋は目の前に小さな紙袋を置かれる。
「…………………何ですか、これ」
「何ですかって、お祝いやん」
お祝い?
「…………………え?」
何かあったっけ……………?
高橋はカウンターの食器をざっと流し、手際よく食洗機へ入れると急いで紙袋を手に取った。
「忘れたんか?…………………今日、何の日か」
「何の日…………………」
「お前が、俺ンとこに来た日やろ」
「あ…………………」
格好つけてはない。
サラリと言う嵩原に、高橋はハッとする。
嵩原って、モテるハズ……………。
顔や強さは勿論だが、こんなふとした事を覚えてるさり気なさ。
そして、いやらしくもなく、ごく自然にプレゼント。
女じゃなくても、惚れてしまう。
渡された紙袋の中を覗き込み、高橋の目は細くなる。
「もう、こないな品……………よろしかったのに」
「アホ。お前が生まれ変われた、誕生日みたいなもんや………お祝いすんの当たり前やろ。付けてみ………京に頼んで、オーダーしたブレス。時計と重ね付けもええかなと」
オーダー。
わざわざ自分の為に………………。
誰かに想われる幸せ。
人の優しさに包まれる悦び。
出会ってから、数えきれない温もりを与えてくれた男は、いまだこれでもかと捧げようとする。
なんて、贅沢。
「親父が、付けて下さい」
箱から出した眩しいばかりのブレスレットを差し出し、高橋は久し振りに嵩原へ甘えた。
嵩原に出会って十数年。
あの日から、嵩原からの愛情は1ミリもすり減った事はない。
どれほど大きいのか。
返しても返しても、それを上回る愛の深さに胸が詰まる。
見返りを求めない男の罪なこと。
「ああ、せやな……………手ぇ出し」
しかも、嫌な顔もせず甘えさせてくれる嵩原に、出した手が震える。
輝くプレゼントが、俯く高橋の目頭を熱くした。
ズッシリと片腕に伝わる、ブレスレットの重み。
安道行きつけの高級アクセサリー店の物だと、一目でわかった。
「なぁ、高橋」
「はい……………」
「お前の事は、俺が一生守ったるて誓った……これから先、好きな奴が出来たり、ヤクザを止めとうなっても、何も遠慮は要らん。直ぐに俺に言うて来い。お前が歩みたい人生を、俺が用意したるから」
「親父……………」
酷い、それ。
私をもっと泣かしたいんですか……………。
「私が、親父や若から離れたいなんて思うワケないでしょ…………そないな発言、聞きとうありません」
自分の事を最優先に考えてくれる嵩原へ腕を伸ばし、高橋は少しだけ頬を膨らませた。
聞きたくない。
聞きたくないけど、嬉しい。
そんなに大事にしてもらえてるなんて。
「クス……………そうか。そら悪かったな………なら、ずっと俺らの側におれや」
ずっと。
高橋に、帰る里などない。
嵩原と大和だけが、家族なのだ。
家族。
高橋の伸ばした腕を掴み、嵩原はその深い懐へ全てを受け止める。
「はい………………死んでも、お側に置いて下さい」
喉を鳴らす猫のように。
その広い胸に、高橋は素直にしがみついた。
愛されてる。
友人でも、恋人でもない。
家族と言う愛が、ここにある。
「大好きです……………親父も、若も」
「ん……………わかっとる。お前の想いは、俺にも大和にも充分伝わっとる。俺らも、お前が大好きやで」
「…………………はい」
シャツを握る手に力を入れ、高橋は久々の嵩原を味わった。
大和が、お風呂から出てくるまでの十数分。
まるで出会った頃を思い出すような、可愛い高橋の姿。
強いだけの人間なんていない。
高橋も、嵩原と言う支柱があるから、大和を守る為に強くなれる。
愛は巡る。
それがどんな形になろうと、人を想いやる気持ちは、人を幸せにする。
高橋が嵩原に出会い、人生を変えたように。
辛い人生も、いつか花開く時が訪れると願いたい。
(すみません。最後は、ちょっと本編の大和と湊を想い描いてしまいました。この二人のように、大和と湊の未来へ希望を…)
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