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11にしおりをはさみました!
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11
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「そこ、からは、蘭が知って、る通り。」
あいつが転入してきた。そして生徒会長に就任。
俺は知らないふりをした。
新しい真中雪は、過去なんていらない。って。
「俺はっ…、恐かった…。」
「な、にが?」
「ずっと、ずっと恐かっ、…
あいつ、が…誰か他の人のものになって、
俺、から離れていく、の見るのが…!」
「…、」
「俺は、あいつ以外、いな、のに…
あい、つは、そうじゃない、から…
だから、逃げてきた、のに…あいつは…」
「ゆき、
ゆき…
がんばったね…?」
"ずっと、ずっと一人でがんばってきたんだね"、
そう言って俺の頭を撫でる蘭は、涙でぐちゃぐちゃで。
「知ってたの、
会長が、雪の大切な人だっていうのは、最初から…」
「ど、して…」
「雪、毎晩毎晩泣くんだ…
"あきら…"、"あきら…"って、泣くんだ…」
「っ」
「誰だろう、ってずっと思ってた。
2年の始業式で確信したよ…、」
あいつが俺のことを抱きしめたときのことを言っているのだろう。
そのときのことを思い出したら、胸の奥がギュッと苦しくなった。
「でも、雪は知らないふり、したから…
僕も、知らないことにした…」
「蘭…」
「でも、最近の雪は見てられなくて…
しかも副会長は、なんか知ってるみたいに雪を心配してて…」
「、」
「すごく嫌だった。
雪の親友は僕なのに。
雪は僕に頼らないで"薫先輩"、"薫先輩"言うんだもの。」
「ごめんね、蘭…
あい、つに俺のこと…"親友"って言ってくれて、うれしかった。
蘭は、大切、な親友だって、俺も、思ってるよ。」
だからこそ、蘭には心配かけたくないって思ってた。
知られたくないって。
だけど結局、俺は自分のことしか考えてなかったんだよな。
「俺は、弱い、から…逃げてばっかりで、周りに、いっぱい迷惑、かけて…」
「雪…」
「でも…、結局変わらなか、ったんだ…
今日、あいつと、蘭が一緒にいるとこ見て…っ
頭、真っ白に、なって…!」
「…え!?
べ、別に会長と僕そんなんじゃないよ!?」
「わかってる、わかってるんだ、ちゃんと…
でも、勝手に嫉妬するんだ、俺の馬鹿な心は…」
大好きな蘭相手に、本当に馬鹿だ。
でも、止められなくて。
「ごめん、蘭、こんな汚い奴で…」
「…ばかだね、雪は。」
本当にばかだ。
蘭はそう言いながら、俺の頭を撫でた。
「そのくらい、へっちゃらだよ僕は。」
「、」
「気付いてよかったじゃない。」
「な、にに?」
「まだ、"忘れて"ないんでしょう?」
「っ、」
「まぁ、そんな簡単なもんじゃないんだろうけどさ?
副会長も雪のこと好きっぽいし?」
ニシシ、と蘭はいじわるっぽく笑う。
「そ、のことだけど…
薫先輩に、告白された…。」
「うええ!?いつの間に!?」
「きょう。」
「ぐはっ」
"ぐはっ"て…!可愛い蘭が"ぐはっ"て…!
「がー!僕がバ会長なんかといる間にあのムッツリ!」
む、むっつり…!
薫先輩のことそんな風に言えるひと、たぶん蘭くらいじゃないかな…。
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