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11にしおりをはさみました!
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11
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白い。
白い天井。
白い壁。
白い床。
白いマット。
白いテーブル。
白い椅子。
白い棚。
「白…。」
九十九昴が目を覚まして、初めに見たのは白い世界だった。
何もかもが真っ白で、照明の光を反射して部屋中が明るく、眩しい。
窓は無く、今何時なのか、どのくらいの時間が経過したのかは把握できない。
「おはよう、昴。どうだい?自分の醜さが理解出来たかな?」
眩しさに目を細める九十九昴の前に現れた夏目史隆は、まるで九十九昴の夢をのぞいたかの様ないい様だった。
何故、夏目直孝を恨まないのかという疑問の答えを出した九十九昴は、今まで感じたことのない、自分への不快感に苛まれていた。
「ここは……ここは何処?」
胃のあたりを締め付ける様な不快感に眉間に皺を寄せながら、自らが置かれている状況を理解しようと努める。
あらゆる情報の遮断された空間。
白いという情報しか入ってくることはない、異様な空間。
不思議と落ち着いた。
常に神経を働かせ、あらゆる情報を集めていた九十九昴にとって、情報が一切無いという空間に居ることにより生じた、本当の休息だった。
情報を集める、人の話に耳を傾け、聞き分ける。何処にどの様な物があるのか、何を意味するのか。
そういった、九十九昴が求める情報を全て削ったのがここだった。
「ここ?ここは研究室さ。」
「研究…?」
「そう。ここで、DEの研究をしている。君にはこれから、サンプルとして協力してもらうよ。」
「協力…っ????」
突然感じた左手の圧迫感に、手首に目をやると、そこには一本の管が繋がれており、真っ赤な血が通って行く。
どんどんと、血を抜き取られて行く感覚に吐き気がこみ上げ、気が遠くなりだす。
白い空間に一筋だけの赤いラインが二重三重に重なって見える。視界が歪む。
夏目史隆と同じ赤だ。
それを愛おしそうに眺める夏目史隆を、朦朧とした意識の中で、まるで悪魔の様だと思った。
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