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85.にしおりをはさみました!
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85.
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目の前にいる顔を睨む。
繋がれていた手を離して、唇を押さえる。
まだ涙は溢れていた。
雪「………そんなに僕のことが嫌いですか。こんな嫌がらせをするなんて。」
皇「…ちがっ…。」
雪「どうして!どうして放っておいてくれないの!?なにか気にさわったのなら、謝ります。でも、これは酷いです!!」
逆光で先輩の表情は見えない。
こんな、こんなのってない…。
どうして。あと、1週間だったのに…。
こんなときでも会えて嬉しい気持ちがある。
イヤだ。イヤだイヤだイヤだ!
もう忘れたい。あんな風に拒否されるくらいならこんな気持ち閉じ込めて、傍にいると決めたのに。
涙を両手で乱暴に拭う。
それももう叶わない。こんなことされて…。
僕の気持ちなんて知らないくせに。
あなたには絶対わからない。
バッと身体を翻し、その場から立ち去ろうとする。
でも、前に進むことはできなかった。
大きな腕に抱き込まれたから。
ぎゅっと強く抱き締められる。温かい。
皇「…ごめん、ごめん、雪。そんなつもりはなかった…。ごめん…。」
声が震えてる。
ごちゃごちゃになっていた頭が少し醒めていく。
唇を噛み締める。
雪「………離してください。」
皇「イヤだ。」
雪「っ!だから、なんで…!」
皇「雪が好きなんだ。」
静かな教室に消えていくような声だった。
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