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18歳以上ですか?
誰ですかにしおりをはさみました!
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誰ですか
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左手の薬指には綺麗に輝く指輪がある。
奏汰のすらっとしていて、でも少しゴツゴツした指にもあるその指輪は俺のと同じように輝いていて綺麗だ。
綺麗なものを貰ったのは初めて、プレゼントも初めて。初めてだらけだなと思って笑う。
こんなに幸せがつづけば悪いことが沢山襲ってきそうで怖い気もする。少しくらい怖い思いしないといけないのかな。
朝、指輪を眺めていると
「春ーご飯できたよ」
俺を呼ぶ声がする。そっちへ顔を向けるといつもの奏汰がいる。
いつもと変わらない日常がある。
けれど、そんなのももう終わってしまいそうだった。
「君はハルという名前をもらったのかい?」
突然脳内に話しかけられて驚く。
「ここ数日間の君の脳内で考えていたことをコピーさせてもらったよ」
確実に人間ではなく宇宙人が話しかけてきていることにようやく気がつく。
「今気づいたのかい?遅いなあ、そんな子だったっけ?まあいいや」
冷静になって返答をする
「誰ですか?脅しにきたんですか」
「悪いことをしたっていう自覚はあるんだねー君」
「だったらなんですか」
「うーんとねぇ、君、違反したでしょ?
取り締まらないといけないわけ」
「は?
そんなの普通の宇宙人には出来るわけない」
イラッときたのか反抗的な態度をとる。
だがそれはこんなやつに通用しない。
「え?何言ってるの?僕は宇宙の支配人の部下だ」
支配人の部下、という言葉を聞いただけで鳥肌が立った。俺はあの支配人のせいで嫌な担当につけられたんだ。
「俺と奏汰のことを支配人に言うんですか」
「そうだね、言うよ」
「何をしたらいいんですか」
何かをしたら許してくれると思ったのだろうか。いや、多分自分で気づいてたはずだ。こいつからは逃げられないって。
「何もしなくていいよ、そのままじっとしてて
今から君が観察対象としている葵井奏汰を連れ去りに行くから」
そう言われた途端に奏汰の方を向く。
すると、奏汰はきょとんとしながら俺の方を見て、「食べないの?」
と聞いてくる。俺は「食べるよ」と言って何も無いフリをした。
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