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ハンバーグを作ろう-5にしおりをはさみました!
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ハンバーグを作ろう-5
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「おやつですよ」
電球を換え終えたのか、お盆を持った晩里が部屋に入ってきた。
お盆に乗ったきな粉のおはぎは食材を買い込んで駐車場まで戻る道すがら、有名な和菓子屋さんで晩里が買ってくれたやつ。
たっぷりと掛かったきな粉と共にお皿に移されたおはぎからは香ばしい香りが漂ってくる。
「いただきます」
中に詰まったあんこの甘味を焙じ茶の苦味がキッと引き締めてくれて、このままエンドレスに食べ続けていられそう。
「食べたら料理を手伝ってくださいね」
「どうしよっかな~」
「望夢!?」
約束が違うでしょうと詰め寄る晩里の頬にきな粉が付いていたから指先でちょちょっと払い落とした。
「きな粉付いてたよ」
「貴方もですよ」
「え? どこどこ?」
自分の頬に持ってこうとした指は目的地まで辿り着かず、温かい掌に包まれた。
「!」
口の端に温かいものが触れたと思うと、スッと離れた後に冷やりとした感覚が置いていかれた。
「綺麗になりました」
目を細めて微笑む晩里は見馴れないというか、同じ顔をした別人のようにも思えてくる。
今日の晩里はおかしい。
いつもの晩里じゃない。
俺の知ってる晩里は俺が頬っぺたにお弁当付けてても舌でベロンと取ったりしないし、花を見つめて物思いに耽ったりしない。
泥水に足を突っ込んだような居心地悪さが、心のあちこちで芽生えた不安を増幅させる。
キーパーソンはあの人だ。
あの綺麗な男の人が晩里の何かを刺激したんだ。
「晩里」
「何ですか?」
「あの人と過去に何があったの?」
晩里お得意の武器はここにはない。
だから真実を明らかにするまで徹底的に追い詰めてみせる。
「本当に何も無いのですよ」
そう言って晩里はベッドに仰向けに寝そべった。
嘘だ。
そんな言葉誰が信じるものか。
「大学時代に寮の先輩後輩だったという、ただそれだけです」
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