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春の章一 風光るにしおりをはさみました!
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春の章一 風光る
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「…ん…、二人共何がしたいんだよ?」
「何って…遊命って天然? 単に鈍感なの?」
「何…」
突然、バシッ!!と、空気を裂く音が響き、遊命の言葉が掻き消された。
「何してんのや、藤沢」
「…可児」
「可児?」
遊命が音楽室の入口で仁王立ちしている可児に目を向け、藍が遊命の言葉を復唱しながら振り返った。
可児は音楽室に入るなり、脇目も振らずに駆け寄り、藍の肩を掴んで遊命から引き離した。
「こいつに近寄んな」
可児は、遊命が見たこともない険しい表情をしていた。
「可児…、何でいんの?」
藍が驚きの表情で言った。
「知るか! 遊命、行くで」
「…え…、ちょっ…いたた」
可児は遊命の手を掴み、半ば引き摺り下ろす形で音楽室を出ていった。
遊命の声が、音楽室に残された二人に届く。可児の行動の速さに気まずさも忘れ、藍と綾哉は顔を見合わせた。
「知り合い?」
綾哉がスーツを直しながら尋ねた。
「…うん、ちょっとね」
「元カレ?」
「う~ん、…エア元カレ…みたいな?」
藍の答えに、綾哉は首を傾げただけだった。
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