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ステップアップside吉岡尋海にしおりをはさみました!
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ステップアップside吉岡尋海
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「夏目漱石」
ビー玉がころりと転がったような声音が静かに響く。
旭の声が聞けて天にも昇る幸せに包まれるはずだったのに、俺の心中を支配していたのは純粋な疑問だった。
「………なつめ、そーせき?」
思わずあほみたいに問い返す。
知らない。どこかで聞いたことはあるかもしれないけど、記憶にはとどまっていなかった。
困ったような顔をする旭に、嫌な汗が流れる。
まさかこれ常識知識なのか?徐々に焦りが込み上げてきた。
まずい。旭に馬鹿だと思われた。馬鹿だってばれた。つらい。旭に幻滅されたかもしれない。隠しておきたかった脳みその空っぽさを見透かされてしまったかも。
様々な不安が波となって押し寄せてくる。引く気配はなく胸に在住して俺を煽った。
こんなあほな俺なんて、嫌われるに決まっている。軽蔑されるにきまってる。旭に嫌われるという未来が見えた気がして肩を落としかけたその時、
「えーっともしかして夏目漱石知らない………?」
旭が口をきいてくれた。よかった、まだ完全に嫌われたわけじゃないらしい。あっさり不安が退場して、一抹の希望がちらついた。
「しっ知ってるよ!あれだろ。ソーセージの種類だろ」
「人間ですらなくなってるよ!」
鋭いツッコミがさく裂した。えっソーセージじゃねえの?ソーセキとソーセージって似てないか?似てないのかな………。
混乱の淵に立たされる。これはもう繕えない。全て終わった。
がっくりと肩を落とそうとしたとき、旭が口を開いてこう言った。
「吉岡君面白いね」
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