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トライアングル -1-
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5時間目、6時間目と宗田の意味の分からない熱い視線に耐え、放課後になると逃げるように糸田のクラスへと向かった。
階段を降りるとちょうど教室から廊下へ出てきた糸田たちと出くわした。
今日は糸田と会わなかったから、顔を見ただけでなんだかものすごく安心する。
「今から部活?」
糸田たち3人は同じ野球部だ。3人ともが坊主頭なので、揃うとよく目立つ。
「まあな。井瀬はもう帰り?」
「ああ。下まで一緒に行こうぜ」
本当はその為に急いできたのだけれど、他の二人がいる手前、そんなことは噯にも出さないで糸田の隣に並んだ。
二人の後に続いて糸田と並んで歩く。
「1年、入ってきそう?」
新学期が始まってそろそろ仮入部の時期が終わる頃だ。部活に入っていない俺には今一つピンとこないが、新入部員の数で一喜一憂しているクラスメイトを何人か見ていた。
「まー、それなりには来てるんじゃないか。今年は経験者がほとんどだから、期待できるかもな」
糸田は嬉しそうに話してくれたが、正直そこまで興味があったわけでもないので軽く聞き流した。
「ていうか井瀬、そんな興味ないだろ」
言い当てられた。
「あー、まー、うん…」
「どうした? 言いにくいこと?」
馬鹿正直に頷くと、糸田は少し声を小さくして聞いてきてくれた。
だから俺も小声で答えた。
「ちょっと相談したいことがあって」
興本に関することで話せるのは糸田だけだ。
宗田のことを相談しようと思ったのだが、そう言えば糸田は部活で忙しいんだった。
糸田も何となく察知してくれたようで、ああ、と頷いた。
「じゃあ終わったら連絡するわ。今日は会うの?」
敢えて興本の名前を出さないでくれる糸田は察しが良くて助かる。
「予定はないけど、連絡が来たら会うかも」
「そっか。まあ、来れたら出てきて」
「うん。悪いな…」
「いいよ、これくらい。話聞くだけになるかもしれないし」
下足室に到着して、糸田は俺の背中を一度叩いて部室へと向かった。
じゃあな、と声をかけていった糸田はその顔に似合わず爽やかな風を吹かせて、頼もしく感じた。
……宗田の第一印象も爽やかなイケメンだったけど、今ではそんな風には見えないよなぁ。
糸田たちの後姿を眺めながら、そんなことを思った。
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