アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
懺悔と心と傷涙にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
懺悔と心と傷涙
-
トントン
「失礼します…」
蓮が頭を下げながら入ってくる。
「蓮、救急箱取ってきてもらえる?」
と叶多は蓮に言う。
蓮はいつものように
「承知しました、今お持ちします」
と言って部屋をあとにする。
「ねぇ、瑠璃。ごめんね、傷つけて。」
改めて謝る叶多。
「ただ、苦しくて、悲しくて、息もできないくらい自分も全部嫌いで…だから、瑠璃の存在は俺にとって大きかった。」
「…」
「こんな最低な俺に心から優しくしてくれて…なんか、瑠璃といると懐かしい感じがして。苦しさも悲しさも、忘れられて。」
叶多の瞳からポロリと一筋の涙が流れ、綺麗に頰を伝う。
「叶多、」
叶多の顔を両手で優しく包み込んでやる。
「僕は、別に怒ってないよ…でも、これだけはわかっていて欲しいの。叶多が僕を思うように、僕も叶多を思ってる。だから、叶多が辛そうにしているのが耐えきれないの。苦しい時や悲しい時は僕を頼ってよ…」
そう言って叶多に微笑む。
叶多の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「…っ…ぅ、!」
嗚咽混じりで、叶多は瑠璃に縋るように抱きつく。
初めて見る叶多の泣き顔。
すると、蓮が戻ってきたのかドアをロックする音が聞こえる。
コンコン
「叶多様、救急箱をお持ちしました。入ってよろしいですか?」
蓮は叶多にドア越しで呼びかける。
叶多はぱっと瑠璃から離れ、服の袖で涙を拭い、返事をする。
「うん、いいよ。」
蓮は静かに入ってきて、叶多に救急箱を渡す。
「では、失礼します」
蓮はそそくさと部屋を出ていく。
「瑠璃、手当するから傷を見せて?」
叶多は首をかしげながら瑠璃を見た。
「うん。」
そう言って叶多に手首を差し出す。
手首は手伽の跡があり、血が滲んでいて痛々しくなっていた。
「染みるかもしれないけど、少し我慢してね」
叶多は消毒液のついた綿棒で傷を消毒する。
「…っ」
ヒリヒリと滲みて痛かったが我慢した。
「はい、消毒終わり。」
叶多は救急箱に入っている包帯とガーゼを手に取る。
ガーゼを手首に巻いて、器用にガーゼの上を包帯で巻いていく。
その手際の良さに瑠璃は見とれていたのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 123