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要さんにいろんなことを質問される。
ずっと俺は忘れた、忘れたとしか答えられない。
記憶にないから仕方ない。
「…それじゃ最後に聞くけど、君ってアレに依頼したんだよね。」
「はい。」
「あの探偵探し物に関してはピカイチだけど少しだけ時間がかかるんだ。君だって早く見つかって欲しいよね。」
「…え、…?」
「僕が探してあげようか?3日以内に見つけられる。君の元の居場所も、生い立ちも…今まで関わった人のことも君の名前も親も何もかもね。」
じっと見つめられる。
さっきまでのニコニコ笑顔じゃなくて、真っ黒で怖い目。
この目、嫌い。
「…ほら答えて。僕が探してあげようか?」
「やだ、…」
「どうして?」
俺の事なんてきっとわかりっこない。
探したって見つからない。
だって…アレは。
あのことは誰も知らないはずだから。
だから、大丈夫なはずなのに。
この人 本当に見つけてしまいそう。
「…まだ、ここにいたい。」
「あはは、君は正直だね。正直な子は好きだよ。…それじゃ君の記憶探しは探偵に任せておくか。上手くいけば半年はここにいられるよ。」
「半年…?」
「半年。ああ見えてある分野では人気の探偵だからね、…本人に言ったら怒るけどアイツ推理能力は壊滅的にないの。馬鹿だから。」
「馬鹿で悪かったな。」
ニヒヒ、と歯を見せて笑った要さんのほっぺたに袋が飛んでくる。
驚いて顔を上げると探偵さんがイライラした顔で部屋の入口に立っていた。
「お前いらないこと言ってないだろうな。」
「おかえり。言ってないよー、探偵さんに来る依頼は探し物だけって言ってただけ。」
「余計なお世話だ。ポチ、大丈夫か?」
名前を呼ばれて慌てて探偵さんのそばへ駆け寄る。
…要さんの隣は少し嫌だ。
側に行くとわしゃわしゃと髪が雑に撫でられてくすぐったい。
「大丈夫、何も無かったよ。」
「あぁそうか。」
「僕だって何も言ってないって言ったのに本当に信用ないんだから。肉まんいただくよ。」
探偵さん越しに要さんを見ながら少し警戒する。
もし、あの人が俺のことを探して探偵さんに言っちゃったら。
もし見つかっちゃったら。
考えるだけで少しずつ怖くなる。
「ポチ、お前も肉まん食べるだろ。」
「肉まん…?忘れた。」
「今知ればいい。」
ここにいたい。
…ここがいいから。
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