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18歳以上ですか?
110にしおりをはさみました!
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110
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「…。…起こして悪かったな!‥帰ってきて、まずは寿の顔を見たいと思ったのだ。心配をかけたが、またしばらく休みをもらえた。これからも寿と一緒に遊べるぞ!寿にとっては迷…、」
「無理に笑うのは、」
寿が皇子の言葉を遮る。
「そうしないと自分を保てないからだろう?」
寿の言葉に皇子は破顔して、泣き笑いをする。
「…どうして、寿は…、」
皇子は寿の目の前まで来て、崩れるように寿の腰に自分の顔を埋めた。
二人に沈黙が宿る。
それからしばらくして、皇子が小さな声音で呟いた。
「そうか…。寿もそうしないと自分を保てなかったのだな…」
その言葉に寿は肯定も否定もしない。
寿はただ黙って皇子の頭を撫でようとしたら、その手が止まった。
お腹に暖かいものを感じたから。
寿は驚嘆しすぎて、手は宙に浮いたままだ。
だから寿は無意識に聞いてしまう。
「‥泣いているのか…?」
泣いている人間にそんなことを聞くのはおかしいことはわかっている。
でも聞かずにはいられなかった。
「…なんで泣けるんだ‥?」
その問いに皇子からの返事は返ってこない。
ただお腹に暖かいものをずっと感じるだけ…。
寿は辛そうに眉間に皺を寄せて、小さく息を吐いた。
それから寿は顔を上げて、そのままの表情で天井のただ一点を見つめていた。
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