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1夜
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「うわー! マジでド田舎っ! 緑多いな! やべー! 」
到着するなり興奮して辺りを見回す中丸一也を、三芳昌と与井満は呆れながら一瞥する。
しかし、初めて田舎に来た満も、少なからずどこかそわそわした様子だった。
大学初の夏休み、与井満と中丸一也は何も予定が無いという事で、少しの間三芳昌の実家へお邪魔することになっていた。
詳細を言うと、都会の夏は暑すぎて死ぬとだらけて課題を一向に進めない一也に、昌が「来週実家に戻るんだが一緒に来るか? 」と提案した事が始まりであったりする。
「こっちは夏なのに涼しいね」
「ああ、昔っからそうなんだよ。過ごしやすいだろ? 」
「うん、勉強が捗りそう」
満はわざと一也を見て言ったのだが、当の本人はまだ興奮した様子でこちらに全く気づいていない。
車を降りて、玄関に荷物や土産を下ろしながら満は都会とは違う綺麗な空気を満喫する。
わざわざ出てきてくれた昌の両親と、母方の祖母に挨拶をするとみんな快く歓迎してくれ、夜はちょっとした宴会をあげてくれた。
酒で皆の酔いが回ってきた頃、顔を真っ赤にした昌の父、雅昭(マサアキ)が言った。
「アレだなぁ、昌と一也くんと満くんはみーんな違うタイプだよなぁ! 」
がっはっはと笑いながら更に酒を煽る雅昭。
それに便乗して母の美乃(ヨシノ)も続ける。
「そうよねぇ、昌はガリ勉メガネで頑固だから一也くんも満くんも苦労するでしょう? 」
「ちょっと母さんっ」
隣に座る昌の背中をバシバシと叩きながら美乃もまたグラスを空にしてしまった。
「あははっ! そうなんすよぉ〜!昌のやつ、やると言ったら聞かない奴で! 彼女にもそれで逃げられちゃってよ〜! 」
一也は酒が入るといつもの倍、よく喋った。
それは日頃の宅飲みもしかりで、満と昌はよく苦労していた。でも今日は誰も止める者はいないし、今それを止めるのも野暮ってやつだろう。
「そうそう! でも、時間をきっちり守ったり、デート計画も彼女に合わせて一晩中考えてたりめっちゃいい奴なのにー! 勿体ない! 」
満もいい気分になって昌の事を話した。
それからいつの間にか話は昌を褒める会になり、それぞれに昌の事を話す。
それを延々と聞かされ続けた昌はと言うと、酒のせいか、照れ臭さからか、頬から耳まで肌を真っ赤に染めていた。
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