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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ34にしおりをはさみました!
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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ34
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洋side
立花が目を丸くして俺を見る。
「心配、してくださってるんですか……?」
今度は俺が目を丸くする番だった。
俺は、何をしているんだろうか……?
そうだ、これじゃあまるで………。
「……倒れられたら俺が困るってだけの話だ。それこそ足手まといになる。」
「でも疲れてるのは倉橋さんも一緒です。」
「俺はある程度寝なくても平気だ。それにアンタと違って自分の限界ぐらい分かってる。」
それでも立花は家に帰ることを良しとしない。
「少し休んでまた合流すればいい。今度はちゃんと連絡取れるだろう?」
そのために買ったスマホを見せれば、立花は少し笑って了承の意を示した。
「じゃあ少し仮眠取ってきます。起きたら連絡するので、ちゃんと出てくださいね。」
不安なのか念を押す立花に、しっかり頷いてみせる。
立花はありがとうと一言礼を言うと自宅の方へと歩き出した。
その背中を確認して俺も雪見のアパートへと歩み始める。
俺は何をしているんだろう………。
ただ、俺を守ろうと自分の身を簡単に投げ捨てる立花に苛立った。
顔色が悪いくせに平気だと言い張る姿に心臓が痛んだ。
他人の幸せは願えるのに自分の幸せを願えない心に
虚しさを感じた。
俺はアイツを気に掛けている………。
手の中のスマホを見る。
“繋がり”……今まで得られなかったもの。
トクンと胸が鳴った気がした。
この気持ちを何と呼ぶのか、俺にはまだ分からない。
一つだけ確かなことはスマホを渡したときの立花の表情……
あれは悪くなかったとそう思っている自分がいると言うことだ。
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