アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー7にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー7
-
一度言葉を覚え始めるとどんどん喋れるようになっていく。
その成長は見ていて嬉しかった。
反面、少し不安でもある。
両親は何より世間体が大事だ。
だから見えるところに傷は残さない。
学校にだって通わせる。
つまり俺が学校に行っている間、日向を家に置いていかなければならない。
俺が大人しく言うことを聞いていれば日向には何もしない約束だ。
でもそんなのは口約束で何の保証もない。
俺が見えないところで何をしているかなんて分からない。
学校が終わると一番に教室を出て、家まで走る。
玄関をすり抜けて、俺たちの部屋へ入って、日向の笑顔見てようやく安心する。
今日も無事だった、と。
「にぃさん、おかえり。」
この頃になると日向はすっかりと言葉を話し、自分の状況を把握していた。
来年、日向も小学校に入る。
その方が俺としても安心だ。
俺は今年中学に進学した。
確実に成長はしていくが状況は何も変わっちゃいない。
「ただいま。日向、大丈夫か?何か嫌なことされなかったか?」
「にぃさん、いつもそればっか。僕は大丈夫。いつも嫌な思いしてるの、にぃさんでしょ。」
日向は眉尻を下げる。
子供ながら罪悪感というものを覚えてしまったようだ。
「何言ってんだ。日向が無事なんだから嫌なことなんて何もない。」
そう、何もない。
日向よりも大切なものなんて何もない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
148 / 269