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「恋人が男だなんて言えるわけない、そんな事分かってるんだよ!友達が大切な事も分かってる。僕を優先出来なくても、それでも少しくらし迷ってよ!昨日だって、あんな風に会いにくるだけなら来てくれなくて良かった。余計に、惨めになるだけだった…」
言いながら涙が止まらなかった。
道行く人達はきっと僕達を好奇な目で見ている。
彼が一番望まない、嫌がる事をしてしまった。
そう思うと、益々涙が止まらなくて僕はその場から逃げ出そうとした。
「悪かった…」
背を向けようとした僕は涙で濡れ汚れた顔を上げた。
「ごめん、本当に悪かった」
僕の顔を見た彼は罰の悪そうな顔をさらに歪め、頭を下げた。
「今からやり直しさせてくれないか?」
もう予約をしていた店には行けない。
「お前の望む通りには出来ないだろうけど、それでも一緒にいてくれないか?」
後数時間で今日が終わってしまう。
「頼む」
一人だと思っていたクリスマス。
もう彼とは一緒にはいられないのかもしれないと諦めかけていた。
彼は、堪え切れず子どもみたいに声を出して泣き出してしまった僕の肩を抱き寄せると、耳元で好きだと言った。
耳から空っぽになりそうだった心にも熱が流れる。
その一言で満たされる、僕も君が好きだ。
売れ残りの値引きされたクリスマス用の惣菜と、お酒と、小さなケーキを買った。
彼の家の方が近いからと急いで帰り、今日は泊まる事になった。
「友達は大丈夫なの?」
お酒を飲み、惣菜を食べながら心配になり聞くと彼は気まずそうに言った。
「昨日の事、結構後悔してて、一応行ったけど、直ぐにお前の家に行った。でもいなくて、辺り探しながら、お前が予約いていた店にも行って、それからまた探し回っていたらお前を見つけて…」
申し訳なさそうに、トーンを落とし話してくれる彼に思わず苦笑してしまう。
「そっか。ありがとう」
探してくれた、それが何より嬉しかった。
「…聞きたい事がある、んだけど」
「何?」
彼は言いずらそうに、少し間をおいてやっと口を開いた。
「あれ、あの、他の相手がどうとかっていうの、本気じゃないよな…?」
僕は飲んでいる最中だったお酒で思わずむせそうになった。
「ええ!?」
そんなわけない、でも彼の目はとても真剣で不安で仕方がない様子だった。
「本気じゃなかった、ごめんね」
彼はほっと息を吐くとそれなら良いと頷いた。
僕は一度息を吐くと彼に言った。
「誰よりも、おじいちゃんになっても愛してるよ!」
彼は目を丸くして、嬉しそうな笑みを浮かべた。
僕は熱くなる顔を伏せて隠した。
こんな事、恥ずかしくて二度と言えない。
そんな僕の頭を撫で、彼が俺もだと旋毛にキスをした。
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