アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
69にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
69
-
朝、目が覚めるといい香りがリビングの方から
漂ってくる。
「司…?」
リビングの方へ足を向けると、何故か体に力が入らなく
また…ベッドから落ちた。
ーーードンッ!!
「いったぁ…」
その瞬間にリビングの方から足音が聞こえ、
扉が勢いよく開いた。
「佑月、起きたのか?」
「うん…」
「で、何故倒れてる」
「リビングに行こうとしたらベッドから落ちた」
「はぁ…お前はそれがお決まりになってきてないか…」
「何が?」
「ベッドから落ちて起きるのがだ」
「あはは…そうだっけ?」
誤魔化して笑う僕を
司は転げ落ちた状態から抱え上げ頭を撫でてくれた。
「たくっ…心配するからやめろよ」
「はーい」
そのままリビングへと運ばれソファに座らされた。
「ありがとう」
「ん」
司はそのままキッチンへと戻りまた何やら
作っているようだった。
「んー!」
それが気になってソファから降りようとしてみるも
腰が痛すぎてそこから動けず、僕はソファの端っこに
留まった。
気になる…
とってもいい香りが僕を誘うかのように香ってきて
我慢できず、とうとうソファから乗り出そうとした。
その時、料理をしていた司と目が合う。
「おい、佑月!危ないって言ってるだろ!」
「…だって!!!」
「だってじゃねえだろ。餓鬼じゃねーんだから少しは考えろ」
「司の…バカ!誰のせいでこうなってると思ってるのさぁ…!!もう大っ嫌い!」
近くにあったクッションを頭にかぶせ
そのままソファに顔をつけて僕は篭った。
腰が痛くて…司の元へ行きたくて…
それで頑張って行こうとしただけなのに。
司は怒ると怖いから何も言い返せない。
だから僕には黙ることしかできない。
「うー…」
ああ…なんで僕はすぐ泣いちゃうんだろう。
弱い…弱いなぁ。
司に嫌われたらどうしよう。嫌だよ。
すると突然、司の方から火が消す音がして
それと同時に足音がこちらに近づいてくるのがわかった。
「佑月、泣くな」
「…ひっぐ…うぅ」
「ほら、こっちこい」
そう言って僕を軽々抱えた司だったが
僕は意地でもクッションを離そうとはしなかった。
司に泣き顔を見られたくはなかったから。
「司っ…なんって…嫌いだぁ!!嫌い!」
「なんで?」
「やだ!嫌い!」
「じゃあ、クッション離せ」
「なんで!?意味わかんない!」
「文句あるなら直接言えって言ってんだ」
「うるさい!バカ!」
「あ?」
あ…言ってしまった。
そんなことが言いたいわけじゃないのに。
「だったら──」
ーーーピンポーン
司が何か言いかけた時、家のチャイムが鳴り
それと同時に司は言いかけていた言葉をやめ、
その代わりに多きな舌打ちをした。
「…誰だよ」
そう言って抱えていた僕を下ろし、ドアへ向かおうとした司だったが、どうしても離れるのだけは嫌で僕は無理矢理しがみついた。
そのまま怒って僕を置いてどこかへ行ってしまいそうだったから。
「佑月、出てくるから離れろ」
「嫌!」
「じゃあ、せめてクッションは置いてくれ」
握っていたクッションを大人しく床に落とし
それを確認した司は玄関へと向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
69 / 95