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89にしおりをはさみました!
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89
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手に渡されたものをじっと見る。
これが、銃?
確かに重さは感じる。これを握る時どれだけの覚悟がいるのだろう。もしかしたら、この人たちにとっては、引き金を引くのもたやすい事なのかもしれない…
「どう?」
「どうって…言われても…」
「そんなもの怖くないだろ?」
「それはわからないけど…こんな物で人は死んじゃうんだね…」
「ふふっ…そうだよ、面白いだろ?」
人が死ぬ事が面白いってこと?それは流石に共感はできない…。もしそれが自分の大切な人だったら僕はきっと…気が狂ってどうにかなりそうだ。
僕はそう考えるともうすでにこの銃を手放したくなった。
あまり長い時間持っていたくはなかった。
持っていると何故か心がおかしくなるような気がして…
そう思って僕は銃を男に差し出し返す。
「もういいの?」
「はい…ありがとうございます」
「そっかぁ…」
残念そうに男は銃を受け取り、まるで自分の子供かのような手探りで銃を撫でてから再び自分の懐へと戻す。
それを見る限り相当大事な銃という事が佑月から見てもわかるような気がした。
もうそろそろ、この場から抜け出したい。
そう思った佑月は、最初の時と比べるとあまり怖く無くなってしまった男に自分から声をかける。
「あの…もう大丈夫なので…僕帰ります」
「帰る?ははっ…何言ってるの?帰すわけないだろう?」
「え…?」
彼の言葉に一瞬耳を疑った。
さっきまでのヘラヘラした表情とは全く別の…
目の奥が真っ黒い何かで覆われているように見える。
それをみた僕の本能が逃げろと脳にサイレンを出す。
「あの…えっと…う…ぅ」
「あーあー怯えちゃって可哀想。それでいて可愛い。大丈夫、冗談だから」
「冗談…」
「そ、冗談。ああ帰るんだったよね。いいよ、またね」
そう言った彼は鍵を閉めていた扉を空けて
僕を出してくれる。
本当に冗談なのか…そんな疑問が頭で浮かびながらも
早くこの場から出たい一心で急いで扉の外に出た。
ふと気になって後ろを振り返れば、男は笑顔で手を振り何
か言っているように見えた。だけど、その時の僕は急いでいたせいか、なんと言っていたのかは分からなかった。
司っ…司っ…早く会いたい。
そう心で叫びながら何も買わずコンビニを後にした。
「あれが黒崎のお姫様ね、今は冗談でも次は逃さないよ。佑月くん」
そう言い捨て男もコンビニを後にした。
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