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崩れ落ちた日常1
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道路の向かいにある小さい定食屋の煙突から出る煙は風に流され宙を漂い消えていく
その動きが俺の記憶に自分を留めようとしているみたいで…
煙でさえ俺の目にとどまるというのに俺は何も出来ない奴なんだとさらに鬱にさせてくる
空は青色からオレンジ色にグラデーション掛かった夕飯時の知らない街で、公園に隣接している道路脇のベンチに腰掛けて俺は長い時間をぼーっと過ごしていた
本当に散々な目にあった
こんなに不幸な目にあうために生きてきたわけじゃないのに、と過去を振り返る
小学生の頃は同級生と比べても頭ひとつ分は飛び抜けて頭が良く、運動もでき、まわりに神童扱いをされて来た
祖父が道場を経営していて暇さえあれば鍛えてもらっていたことで体力が付き、持ち前のセンスもあったためその中でも体を動かすことに関してはずば抜けて得意で、中高ではそれなりにやんちゃもしたがそれはそれで楽しかった
大学に入ったら心を入れ替えて熱心に勉強して、沢山の気のおける友達も作ったし、もちろん恋人もいた
大学を卒業したその年で、それなりの企業に就職も出来たし、給料が入るようになってからは大学から付き合っていた恋人と結婚もした。
幸せな人生が続かないとはよく言う
あれからたったの2年で
どうしてこうなったのか
会社は1年経つと、いわゆるブラック企業に変わった
業務内容もかなりきつかったが何より上司から勧められた株が暴落したことで無一文になってしまった
自社との大口取引もあった会社の株で、入社してからずっと頼らせてもらった上司からの圧によって、部下の大半が貯金を引き出すくらい無理してでも多くの株を買う以外の選択肢がなかった
景気がいいから必ず金になると言われたその会社の株価は、競合他社からコストを抑え高パフォーマンスを出せる代替製品が出たことで大暴落
自社も契約を切って競合他社との取引を始めたほどで倒産までは秒読み状態にまで陥った
皆が株で失敗したかと思えば上司も同僚もまるで知っていたかのように暴落より前に株を全て売っていた
そのことを知ってから上司を問い詰めても何も知らないの一点張り
同僚達もニヤニヤとした顔でこちらを見ていた
ずっと成績Topだった自分への嫌がらせに耐えて来ていたが、嵌められたと気づいた時にはもう遅かった
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