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番外編『汗をかく話』にしおりをはさみました!
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番外編『汗をかく話』
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運動の得意な百瀬と朝丘が、朝からスポーツ談義に花を咲かせているようだ。
「だったら百瀬が速歩きを促して、暫く経った後にピタッと止めれば良いんだよ」
「そんなにかくのか?」
「そりゃもうダラダラだぜ」
「なるほどなるほど」
ホクホク顔で頷きながらスマホのアプリに何やらメモをしている百瀬の後ろへ周り、そっと画面を覗き込めば、見てはいけない文字が書かれていた。
「佐藤に汗をかかせる方法……って、お前ら何の話ししてんだよ!」
確かに俺は体質上なかなか汗をかかないのだが、別段不便なことは何も無い。体調が悪いということも無くなってきている。
「俺に何をさせたいんだよ……質問に答えなければお前ら分かってるよな?」
朝丘には今しがた百瀬と親密に肩を寄せ合い語り合っている写メを見せておく。撮られていることすら気付かないなんて余程真剣だったのだろうって事は分かるのだが、果たして朝丘の彼氏である神崎はどう捉えるだろうか。
ヤキモチ焼きの神崎なら王子様の様な端正な顔を曇らせて、盛大に拗ねてくれることはまず間違いないと思われる。
それを察した朝丘は、一旦百瀬の顔を見て、やつが青くなっていることにビビっているが、すまんと一言謝りあっさり話し始めた。
「百瀬がさ、佐藤が汗を殆どかかないから身体に悪いと心配してたんだよ。だから俺だって少ない知識を引っ張り出して協力してたって理由(わけ)だ」
ほう。なるほどね。
真っ当な答えをしている所から朝丘は限りなく白に近いと判断する。
「そっか、悪ぃな心配かけて。後は直接百瀬と話し合うから帰っても良いぜ。ご苦労さん」
「おう!じゃあな百瀬!」
未だに喧嘩の強い美丈夫である百瀬に憧れている彼は、やつに騙されているとも知らずに百点満点の笑顔を撒き散らして去って行った。
「さて百瀬よ。本当の事を話してもらおうか」
ぎくーーっ!と見るからにやっちまった顔の百瀬ににじり寄り、正直に話さ無ければ俺の匂い付き肌着はもう二度と渡してやらねえからなと脅してみた。
「それだけはご勘弁を、後生ですから佐藤さま」
妙に芝居がかった言い回しにイラッとする。
こっそり盗撮している俺の入浴写真も取り上げるぞと更に脅せばビクビクしながら白状した。
「佐藤の……汗をどうしても舐めたくって……だから汗っかきの朝丘に知恵を授かっていたんだ」
引くわーー!めっちゃ引くわーー!
相変わらずキモいことを真剣に考え、探求心を追求する百瀬には唖然とするし、同時に脱力感に襲われる。
「お、怒ったのか?」
俺が怒りに任せて鉄槌を下すことに少しの期待と希望を持って形の良い目をぱちぱちと瞬かせ、まだかまだかと殴られるのを待つ百瀬を見て吹き出しそうになった。
「今からこの部屋で俺に捕まらずに五分間逃げ切れば、俺への罰ゲームとして怒ってやらなくもない」
言い終わる前に長い脚でソファーを跨ぎ早速逃げの体勢を取るやつを見て、呆気にとられながらもくだらない男と男の熱き闘いに俺も参戦する。
「約束だからな佐藤!俺が逃げ切ったら何時もの三割増しで叱り飛ばしてくれよ!」
運動神経がずば抜けて良い百瀬に上手く交されてしまう。しかし今日の俺は一味違う所を披露してやろうと思い、手加減なく迫り卑怯な手すら戦法に取り入れてやる。
「けっ、待てよ百瀬のクソ野郎」
「はぁーーん、それもっと言ってくれ」
「キモッ!まじで消えろ」
「ぬはっ、た、たまらん!」
ーー五分後。
俊敏な体さばきで見事に逃げ切った百瀬が涼しい顔をしているそばで、朝丘の言う通り動いた後ピタッと止まった俺は珍しく汗だくになっている。
Tシャツを脱げば随分と質量が増しているのが分かり余計に疲れた。
「えっと、約束を守ってくれよな佐藤。ではいただきます!」
両手を合わせて食事前のポーズをとると、容赦なく身体にキスの雨を降らし、舌を這わせて全身を舐めまわしてきやがった。
「まてまてまて!そんな約束じゃ無かっただろうが!……っ、ん」
思わず感じてしまう自分にも呆れながら、ダメ元で抗議をしてみたのだがやつの耳には入らない。
こうして今日も百瀬に甘い俺は、罰ゲームと称してやつの願いを叶えてやるのだった。
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