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02にしおりをはさみました!
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02
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「ご、ご、ごは、ん、まだ、だった」
部屋に戻るや否や、明善にどうだったかと聞かれ、何をどう答えればいいのか分からず、朝陽(あさひ)はしどろもどろに返事をした。
「バカ、そんなことじゃねえよ。その髪だよ髪。親父の反応どうだった?殴られたか?あと、また吃音酷くなってるぞ。いい加減、治せってそれ」
「な、なぐ、殴られてない」
ゆっくりと丁寧に話そうと心掛けても、意識すればするほど言葉が詰まってどもってしまう。
小児科医の花井は、大抵の場合自然に治ると言っていたが、15になってもその兆しはなかった。
「なんだよ、つまんねえな。この前みたいに、キレておまえをボコボコに殴り付ける姿が見たかったのにさ。あん時のおまえ、ションベン漏らしてのたうち回ってただろ?動画撮って、その手の友だちに見せたら、おまえごときに凄え興奮したらしくてさ。あり得ねえだろ?で、今度から金払ってくれるって言うもんだから、期待してたのに」
「き、き、きいちくん?」
「はあ?樹一(きいち)?バカ、違うよ。おまえほんと、あいつのこと好きな。ちょっと優しくされたらこれじゃあ、樹一も気の毒だ。こんな不細工ポンコツΩに好意持たれてさ。知ってるかおまえ、一般のΩ性ってのは、αに気に入られるために人より美人に生まれてくるもんなんだよ」
ほら見ろ、と明善がスマホを寄越す。
画面にはΩと思しき女の子の写真が、ずらりと並んでいた。
「アイドルやモデルなんかも、Ω捕まえんのに必死ってくらい、需要あんのにさあ。おまえときたら、三白眼で目付き悪いし、おまけに間抜けで幼児体形のチビなもんだから。樹一みたいなハイスペック野郎、相手にしてくれるわけねえだろ」
そう言って、明善は笑った。
酷い言われようではあったが、確かに自分がαなら、自分のようなΩを番にしたいなど到底思えないことは事実だった。
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