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45にしおりをはさみました!
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45
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その後神谷の提案でビーチから屋内の体験場等に監視場所を移動させてもらったが、結局の所安息など無く羽目を外す生徒達と戦いながら三日目を終えた。
正直生徒よりも一番羽目を外した行動を取ったのは間違いなく自分だという自覚も罪悪感もある。
だが教師には言わねばならぬ責務があると無理矢理自分に言い訳をつけてホテルへ戻る。
ミーティング後、体調も優れなかったので風呂に入ってすぐ仮眠を取りたかったが、相変わらず晩酌を誘ってくる教頭に少し付き合うことにした。
初日から断っているし、さすがに最終日の夜くらい付き合っておくかと髪を掻く。
俺はそう飲める方ではないし、ほんの少しと決めて宴会部屋へ向かう。
部屋には俺を含め見張りを後半に控えた複数の教師が集まっていて、恐らく初日から集まっていたんだろう。
やたら俺にばかりニコニコと絡んでくる教頭に愛想笑いもせず淡々と返事をしながら時間を過ごす。
「紺野先生、視力はいくつですか?コンタクトに変えないのですか?」
「0.2です。変えません」
「はぁ…勿体無いですねえ」
「は?」
「ああいえ。でも眼鏡は眼鏡でまた堪らないというか――」
妙なことを言う教頭を一瞥するが、眉を潜める度にやたら嬉しそうな顔をされるのは気のせいだろうか。
酒のせいか赤い顔でやたら鼻息が荒い。
あまり人付き合いが良い方でもないし無愛想に会話をしていたが、不意に膝に手を置かれた。
「…え?」
突然のことに瞠目するが、当の教頭は全く気にしていない様子で会話を続けている。
なら別におかしなことではないのかと許容するが、どこか意図した手付きで撫でられてピクリと身体を震わせた。
俺の反応に気を良くしたのか、エスカレートするように太腿へ手が伸びていく。
酔っているんだろうがさすがに困惑すると、突然後ろから伸びてきた手が教頭の手を掴んだ。
「…どうやら教頭は睨まれるのがお好きな特殊性癖をお持ちのようですがそこまでです。見張りもありますので紺野先生連れていきますね」
「――あれ、神谷?」
見張り中のはずだ。
少し驚いたが、神谷は俺を立ち上がらせると引っ張るように部屋を出た。
廊下に出たらどこか呆れたような視線が落ちてくる。
「紺野先生、体調悪いのに何されてるんですか。それにお酒強いほうじゃないでしょう」
「なぜ知っている。初日から誘われていたから最終日くらいと仕方なく付き合っただけだ」
「全くあなたが冷たくするから教頭大喜びだったじゃないですか」
「…はぁ?」
酔ってはいないと思うのだが、神谷の言葉の真意が分からない。
俺の様子に神谷はどこか困ったような表情を浮かべる。
なぜそんな顔をされなければならない。
「それより俺に何の用だ。なぜ俺があそこにいると分かった」
「あなたが部屋に戻ってきていないので心配になったんですよ。俺も保健の先生に来ないかと誘われていたので」
女教師か。
俺と見張りが逆であれば神谷も参加出来たろうに、悪いことをした。
「ん、お前見張りはどうした」
「もう少ししたら部屋の人数確認なので。それからでも大丈夫かと」
「そうか」
話しながら部屋に戻る。
少しだけと決めつつもやたら酒を勧められて予定より飲んでしまった。
大浴場は使わず部屋のシャワーを浴びてさっさと仮眠を取るかと決めて、着替えを取り出しながら神谷へ振り返る。
「心配掛けて悪かったな。お前が来てくれて正直助かった」
「いえ。あなたが調子悪そうなのは分かっていましたし…。それに昼間、七海にも紺野先生の様子を見てほしいと言われたんです」
「――え?」
少し驚く。
確かにビーチで俺を気にかけてくれてはいたが、まさか神谷にまで話をしていたとは。
ふとアイツに借りたままで首に下げっぱなしになっていたタオルに手を伸ばす。
「…そうか」
そっけなく返事をしたが、少し酒が入っているせいもあるんだろうか。
アイツの優しさを感じて無性に嬉しくなった。
ふふ、と顔を緩めると神谷が息を詰める。
「…なるほど。やはり七海ですか」
どこか低くなった神谷の声に、ふと顔を上げる。
俺の前まで歩いてきたと思ったら、突然首に下げていたタオルを取り上げられた。
「――おい、何をする」
予想外の行動に思わず声を上げたが、神谷はゴミでも捨てるようにそのままタオルを床に落とした。
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