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18歳以上ですか?
ㅤにしおりをはさみました!
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「──〜〜ねぇハルちゃ〜ん」
「んー?」
「この後カラオケいこぉ〜よぉ〜」
「あー、先約あるんだよね」
教室の中から聞こえるそんな賑やかな会話を覗き込むように少し古い木の匂いのする扉をコンコンとノックした
すると英もその横にいたケバくて金髪に無駄にスカートが長く胸元を露出するような制服に改造している女子生徒がこちらを見る
「ぁ、ガツ!」
パァっと明るい雰囲気になった英が駆け寄ってくる
それを女子生徒は不思議そうな顔でこちらを見て誰?と呟く
それもそうだろう
何せ英のようなパリピ全開の男が、こんな長めの黒髪眼鏡で如何にも陰キャな自分と関係性があったのだから
精々カツアゲする側とされる側やパシリだと思われたかもしれないな
「帰るよ」
「おう!じゃあねリナちゃん」
「え、ちょっ・・・!」
女の声を遮るように扉が閉じられる
普通に歩くオレの横を本当は歩幅が広くて歩くのが早いはずの英がわざわざ歩幅を合わせて歩く
英の口は閉じることはなくて、いつも何か話している
今日の授業のこと
校庭で猫を沢山見つけたこと
教頭の頭がそろそろキていること
忘れた教科書を隣の女子が見せてくれたこと
「でさ、そしたらマナちゃんが俺のこと好きらしくて〜」
その子に告白されたこと
「まぁ可愛いからとりあえず今夜」
今夜、その子と家で遊ぶこと
それをただ黙って前を向いて一言も話さず聞くだけのオレに、楽しそうに笑顔で話す
見てないけど英が今どんな顔をしているのかわかる
明るくて、眩しくて、子供みたいに楽しそうな顔
英はどんな顔でも可愛いしカッコイイ
それならいいか
英が笑ってるなら、いい
「聞いてる?ガツ」
「・・・あぁ。気おつけて行っておいで。夜ご飯ちゃんと食べてから行ってね」
「うん!」
これがオレたちだ
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