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見立てデート14
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それからしばらくして、お母さんから「家に帰った」と連絡がきた。
この大雨と、僕が鍵を忘れたことで2人はデートを切り上げて早めに帰ってきたみたい。
今洗濯してもらっていて、自分の服がないとお母さんに伝えると、大志の家までお礼がてら持っていくと返事がきた。
3分後、チャイムのなる音がした。
大志のお母さんがドアを開ける。そこには2本の傘と僕の服を持ったお母さんがいた。
「いらっしゃいゆんちゃん。いくら近いとは言っても、雨の中大変だったでしょ」
ゆんちゃんというのは、お母さんの名前。大志のお母さんと僕のお母さんは、昔からの仲良しだ。
「麻ちゃん、今日はうちの遥が急にお邪魔してごめんね。お風呂と洗濯までしてくれて、本当ありがとう」
お母さんが頭を下げるのを見て、僕も真似をした。
「大志のお母さん、本当にありがとうございました」
「いいのいいの。遥ちゃんならいつでも大歓迎」
お母さんが持ってきてくれた服に着替えて、もう帰ろうとした時。
「すみません!あと3分だけ待っててくれませんか?遥に話したいことがあって」
そう言いながら、大志は僕の腕を掴んで自分の部屋まで僕を連れて行った。
「ど、どうしたの大志」
部屋に入るなり、大志に強い力で抱きしめられた。
「ごめんな。これで遥とのデート終わっちゃうんだって思ったら、もう少しだけ離したくないなって思った」
頭上に大志のキスが降ってきて、それが額、鼻、頬とやってきて、最後に唇のすぐ横に長めのキスをされた。
「好き。遥、好きだよ。遥も俺のこと好きになって」
切ない声でそう囁かれて胸が痛い。
大志の気持ちは痛いほど伝わってくる。大志ならきっと、僕を大切にしてくれる。
だけど、僕の頭の中にはこんな時でさえも立山先輩がいて。
俯いていると、ごめんと大志が謝った。
「自分の気持ちだけ遥に押し付けすぎた、ごめん。今は夏彦先輩が好きでもいいよ。でも必ず、振り向かせてみせるからな!」
最後はいつも通りの明るい声で、大志がそういった。
「さぁて、じゃあ玄関まで見送りますか。今日は本当にありがとう。楽しかった」
「僕こそ。ありがとうね」
大志と大志のお母さんに見送られて、お母さんと2人、傘をさしながら、僕は自分の家に帰った。
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