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6、男 -1-にしおりをはさみました!
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6、男 -1-
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先生のお見舞いに行った後日、仕事の最中に伊織からまた連絡がきた。
「またどうでもいい話をする気か?」
『どうでもいい話じゃないよ。梓くんが純ちゃんに会いたがってる』
「え?」
梓が……俺に……?
「何で」
『知らないわよ……会わせてって言うだけで理由は聞かなかったから』
「…たく、あいつは俺を何だと思っているんだ。あいつは学生でもこっちは社会人なんだぞ。暇じゃないことぐらいわかってるだろ」
『八つ当たりしないで!こっちも忙しいってこと承知でお願いしてるんじゃない。断っておいた方がいいの?』
「誰がそんなこと言った。会うに決まってる。明日行く」
『ハイハイ、承知しました、純佑坊ちゃま』
ブチッ……ツーツー……
「坊ちゃま、ってなんだ」
梓からの誘い、俺が断るわけない。何としても時間を空けてやる。仕事に集中し、パソコンのキーボードを打ち鳴らす。
「お、終わった……」
「お疲れ様です」
今日の分だけでなく明日の分まで仕事を終わらせたら、もう夜11時を過ぎていた。
「お前も疲れただろ。お前も休め、俺も風呂に入ったらすぐ寝るから」
「かしこまりました。何かあったらお呼びください。それでは失礼します」
「ふぅ……」
さすがに2日分の仕事を1日でやるのはきついな……あとは明日少しだけ修正すれば終わるから、すぐに伊織のところに行けそうだな。
翌日。
昨日頑張ったおかげで仕事が早く終わりすぐさま診療所へ向かう。
だけど呼んだ本人はまだ来ておらず。
「あら、純ちゃんの方が早かったんだね。もしかして早く梓くんに会いたくて…」
「あずさは?」
「今の話聞いてた?純ちゃんの方が早いって言ってるのに、これで『いるよ』って言ったらおかしいでしょ」
「連絡は?」
「来てないけど。せっかちね。連絡した方がいい?」
「…いや、いい」
何でこんなにも余裕がないんだろう。ここに来てから胸がざわつく。
あいつは恋人でも何でもないのに……好きだって、心があいつに向いてるからこんな気持ちになるのだろうか。
ガチャッ……ドアが開く音がした。
この香り……梓だ……
「ごめん先生、遅くなって」
「大丈夫だよ、純ちゃんも今来たところだし」
「呼び出しておいたくせに待たせるとはどういうことだ」
「ごめんごめん、いろいろあって……」
何か梓の様子が変な気がした。いつもはこっちを見て話してくれるのに、全然目が合わない。
……ん?何かあったのか?
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