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圧倒的火力にしおりをはさみました!
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圧倒的火力
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何が悪かったのかと問われれば、思い当たる節はいっぱいあるけど、しかしながらそれを自分のせいだとは言えない。
つか、言いたくない。
でもまあ、そうなってしまったのは、俺の発言が原因みたいなものではあるから、まあ・・・。
つまり何が言いたいかっていうと。
<***>
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・(;^ω^)」
家に帰ると、滅茶苦茶落ち込んでいる(?)人がいた。
まあ、同居人なんだが。
自分の部屋の真ん中で、背中を向けて座っているその人の哀愁と言ったら。
このまま首でもくくってしまうのではないかというような様子だった。
正直笑えない。
「ど、どうした・・・久我さん」
「・・・ぁ、ああ。児谷か。おかえり」
「いやうん、ただいま・・・」
起動するのに時間がかかるらしい。
いつもなら俺が帰ってきたら、どこにいても必ず俺の顔を見て「おかえり」って言うのに。
くそ、久我さんのせいで、帰ってきたときにおかえりって言われないことが寂しいとかそんな・・・。
今まではそれが当たり前だったのに。
「あ、ああ。悪い。飯、まだだ・・・すぐ仕度(したく)するから・・・」
「い、いやいいよ別に・・・何か疲れてる感じだし・・・?」
というか、その状態で包丁とか持たれるのが怖い。
フラフラしてるし。
目の焦点合ってないし。
ってか。
「久我さん?」
「・・・ん?」
俺は久我さんの背中にそっと手をかける。
「!」
「久我さん、俺の顔、ちゃんと見て喋ってよ」
「・・・っ、わ、悪い・・・」
久我さんとそこでやっと目が合った。
今日は朝から久我さんがバイトに出ていたので、実質顔を合わせるのはこれが今日初だ。
やっと目を見てくれた久我さんに小さく微笑みかける。
「何かあったんですか」
「い、や・・・」
久我さんは少し俺から視線を逸らす。
それが気に食わない。
ずるい。
俺が何かを隠したいときは俺の目を見つめて逃がさないのに。
俺はあぐらをかいて座っている久我さんの両肩に手をのせる。
正面から向き合う形だ。
「俺には言えない?」
「そ、れは・・・」
我ながらずるい言葉だと思う。
だって、そんな俺を拒絶するような言葉、久我さんが吐くはずないって、分かってるんだから。
それは、なんだか。
信頼ともいえるようなものだと思う。
「ま、何でもいいですけど・・・久我さん、お酒飲みます?」
<***>
元極道なのに久我さんがお酒を飲んでいるところを、同居し始めてから一度も見ていない気がした。
煙草もそうだけど。
元々久我さんが煙草を吸っていたのは知っている。
それを俺の前では吸わないようにしてくれているのも。
まあ、俺は喫煙反対派なので、もし俺の傍で吸うのであれば、真冬であろうが真夏であろうが、台風直撃してようが、外で吸えって言って追い出すんだけど。
でも、お酒。
飲酒をしているところを、そういえば見ていないと気付いた。
お酒は俺は未成年だから飲めないけど、大人には必要な薬だって聞いたことがある。
過剰摂取はもちろん毒だけど。
でも、適量であれば。
「ということで、お酒をご用意しました」
「それ、どうやって買ったんだ・・・?」
その質問はもっともである。
未成年にお酒は買えない。
「協力:柏原さん」
「うわ」
その名前に如実に嫌そうな顔をする久我さん。
頼んだ時の柏原さんと同じ顔である。
しかし、それで怯む俺ではない。
「柏原さんと買ったお酒は飲めないって?俺が選んだのに?」
「いや、そんなことは言ってないが・・・」
柏原さんはあくまでも、購入代理だ。
俺が選んで、俺がお金を出している。
まあ、そのお金も多分突き詰めれば久我さんのお金ってことになるんだけどなw
「つか、よくアイツその買い物に付き合ったな」
お互い嫌いあっているのを自覚している二人である。
相手のためになるようなことは極力しない主義を通している。
しかし。
「今回はどうしても協力が必要だったから・・・頑張って交渉した」
その言葉に久我さんの表情が曇る。
「何かされてねえだろうな・・・?」
「・・・も、ちろん」
探るような鋭い眼光を一身に受けながら、俺は少し視線を逸らした。
身体を張っただけだ(物理的に)。
(以下、回想)
「か、柏原さん。お願いがあるんですけど・・・」
「ん~?ゆーすけくんのお願いだったら俺、何でも聞くよ?」
「本当ですか!?」
「うん。久我(アイツ)以外のことだったら」
「ヒェ」
見透かされている。
そして蛇のような眼差しである。
石にでもされてしまいそうだ。
「で、でも・・・柏原さん以外に頼れる人がいないんです・・・」
涙目で縋るように訴えれば、柏原さんはニッコリと大天使の微笑みを浮かべて
「目隠しプレイするなら良いよ」
そう言ったのである。
・・・まあ、何やかんやあって。
お酒を購入するに至ったわけだが。
(回想終了)
「・・・ということで、俺の命がけのお酒で元気出してください」
俺は久我さんにお酌をするのであった。
そしてそれを後々後悔することになるのだけれど。
<***>
「こたにぃ~」
「ちょ、久我さん・・・」
「あ、こら逃げるな」
「うわ、ちょっと!?」
久我さんが俺に抱きついてきている・・・。
久我さんは基本俺には少し距離をおくようにしている。
それは日常生活の中で多々感じることである。
一緒にお風呂に入ってくれないしな。
しかし。
そんな久我さんがこんなにスキンシップ過剰になるなんて・・・。
絡み酒だったか・・・。
「こたにぃ、こたにぃ~」
「はいはい、ここにいますって。っていうかもう、飲み過ぎですよ」
「うるせ~もっと注げ(つげ)!」
仕方ないから、お酒を注いであげる。
まあ、労いの為だしな・・・。
そんな俺の手元をじっと見ている久我さん。
「・・・?どした?」
俺の言葉も聞こえてないみたいに、じっと。
その視線になんだか少しざわざわして。
「久我さん・・・?」
そう名前を呼ぶと
「・・・こたに、お前の手」
「はい?手?」
「綺麗だよな」
「は・・・?」
突然。
久我さんの言葉に、俺はたじろぐ。
「な、なに言って・・・」
「手も。肩も。首も。喉も。口も。鼻も。目も。耳も。髪も」
「ちょ、なに?!」
壊れたみたいに、俺の身体を舐めるように見ながら。
「全部、全部」
それはなんだか、あの日の久我さんを思い出すような。
「くがさん・・・?」
「綺麗だ」
そう言うと、久我さんは俺の肩を片手で掴むと
「!?」
床に押し倒した。
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