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めんどくさい俺たち〜修二〜マドレーヌ
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校内で襲われたのを返り討ちにしてから、学校では僕らを恐る空気が強まった。
あの日から、むつの機嫌はすこぶる悪い。
いつもは僕ちゃんの嘘に簡単に引っかかるのに、今回は「なんか隠してるだろ?」ってしつこい。でも、半信半疑なのか、昇降口の時ほど迫力は無い。
困った、僕ちゃんは死んでも話したくないし、むつの機嫌は悪くなる一方だし。
しかも、人質として捕まってなかった雷太は、乱闘が自分を助けるためだったからとどこからか聞きつけ、昼休みのむつへのアプローチが大胆になった。
雷太「柴田さん大好きです!付き合ってください!」
むつ「うぜー、もう来んな!!」
バッサリ切られる毎日。
それでも諦めず、弁当作って告白して、その努力は尊敬に値する。
僕ちゃんは到底真似できない。せいぜいカッコつけたり優しくして雷太をむつから遠ざけるくらいしか思いつかない。
それに、火曜の倒れた後から、目に見えて、2人からのスキンシップが減った。
アレから5日、2人とは…キスはするけど…エッチはしてない。
仕方ない、僕ちゃん手は怪我するし、倒れちゃうし、2人には申し訳ないことをした。
僕ちゃんがやめてほしくなくて、せがんだ結果、寝不足で貧血なんてただのバカだ。
それに今は場所も無い。むつの家は紬さん居るし、華南の家は兄弟の誰かしら居るし、僕ちゃんの家は仕切りが無いし壁薄…。
そして、不機嫌なむつは、最近誰かと会ってるみたいで、放課後1人で帰ってしまうこともあった。
カレンダーが明日から7月に入る、来週から期末だし、期末終わったら体育祭だし…、忙しい。
大人たちも考えてほしい、期末後に体育祭って…、スケジュールに余裕が欲しい。
スキンシップが減って、セックスが無く淋しいなんて、僕ちゃんは重症だ。
幸せなのに、胸に小さな棘がある。
それが怖くて…自分から誘うのはやっぱりできなくて、でもせめて、努力して、むつの言った
“あの問い”に
答えておこうと思った。
後はただ、むつと華南の笑った顔が見たい…、
僕ちゃんは昨日の日曜にそのチャンスを得た。
僕は今、ソレを持って教室にいる。
準備は万端!
克哉「修二、話って何?」
修二「克哉、コレ食べて」
むつがトイレに行った間に、僕ちゃんは克哉の前にマドレーヌを二種類出した。
ひとつは綺麗なキツネ色
ひとつは茶色になったもの
克哉「おっ、うまそ、いただきまーす」
克哉が順番に口に放り、美味しそうに食べた。
僕は唾をごくりと飲み込み真剣に尋ねる。
修二「どう?」
克哉「すっげーうまいよ!…なんでそんな顔してんの?」
修二「AとBに違いは?」
克哉「どっちがAで、どっちがBか分からないけど、どっちも美味いよ?一つは甘くてうまいし、茶色いのは甘さ控え目?香ばしいくて俺は好きだな」
全く同じ材料で出来てるのだが…
兄貴に食べさしたら美味い美味いって言ってたけど、信用ならない。
でも、正直者克哉が、美味しいって言うなら、いっか。
修二「……よかった。サンキュー♪…実はね…」
克哉に理由を説明したら、案の定ニヤニヤされたが、コレで安心できそうだ。
僕ちゃんは昼休みに近づくにつれて高鳴る胸を握りしめた。
昼休みの屋上は、今日も雷太がいそいそ手料理を振舞って弁当をむつに食べさせていた。
食べ終わった頃を見計らって、僕ちゃんは先ほど克哉に食べさせたものを取り出して、むつと華南、雷太と吉良さんそれぞれにマドレーヌを手渡した。
むつ「コレどうした?」
修二「あのね、ほら、今度兄貴の3号店で出す商品の一つなんだけどね、3号店のスタッフの女の子達と料理長の夏さん達が店で手作りで出すんだ、それでぇー、昨日研修があって、女の子達と夏さんが作ってね、それで…むつ甘いの好きじゃん!食べるかなぁと思って、美味しんだよ、昨日夏さん作ったの食べたけど、やっぱ女の人は料理美味いよね」
少し緊張した。
だから肝心な事、…言いそびれてた。
華南「食べていい?」
修二「食べて食べて」
華南は早速袋を開けて、口に放り込む。
でもむつは、袋を睨んだ。
むつ「……俺、いらない」
むつの低い声に僕ちゃんは一瞬固まった。
マドレーヌの入った袋を僕ちゃんの胸に押し付けるように返してきた。
むつは、僕と視線を合わせず、凄く不機嫌だった。
修二「あ…むつ?」
むつ「俺、先帰るから」
むつは、不機嫌なまま、屋上から出て行ってしまった。
…マドレーヌ…嫌いだったのかな?
雷太「あれ?僕と橘さんのマドレーヌ、色が違う!」
修二「…材料は…同じだよ」
華南「修二、コレ超うまいよ」
華南は色が違う理由に気づいたみたいで、美味しそうに全部平らげて微笑んだ。
修二「華南、ありがと」
やっぱりバレたか。
修二は笑って、視線を手元のマドレーヌに落とす。らしくない自分の行動に苦笑いした。
むつの分で用意していたのを僕ちゃんが食べようとしたら、突然吉良さんに取り上げられた。
修二「あ!」
吉良「もーらい」
修二「あ、それ」
吉良「美味しかったから貰ってくよ、じゃあねぇ」
修二「あ!吉良さん!それは…!」
キラさんは聞く耳持たない感じでさっさと屋上からいなくなり、僕ちゃんのマドレーヌは去って行った…。
あー…、吉良さん味にうるさそうだから…バレそうだな、むつと華南の分は…僕ちゃんが作ったから…ちょっと焦げちゃったし…。
夏さんの作ったマドレーヌの後に食べたら…美味しくないだろうな、はぁー、後で吉良さんに謝っておこう…。
やっぱり僕ちゃんには向かないな、雷太と張り合ってお菓子作りなんて。
数日前むつに言われた。
むつ『嫉妬は?』
しないわけじゃない、しないように、気にしないようにしてた。
ちょっとしてた…
嫉妬なんて、やっぱりやめときゃよかった…。
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