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俺たちに射す斜陽〜むつ〜回想1
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今から2週間前。
姉貴が出産のため入院した。
その1週間で、修二をメロメロにしようとしたら、失敗した上に修二が倒れた。
その後呼び出しくらった修二が気になって、谷崎と2人で話してるのを盗み聞きしたら、修二が俺にだけは死んでも言いたくない秘密があると知った。
幼稚園からつるんでて、しかも今は恋人の人間に、お前にだけは死んでも言いたくないと言われたら、こみ上がる怒りを抑えることができるだろうか?
いや、できない。
しかも問い詰めて、やっと口を開いたと思ったら、嘘を言いやがる。
…たぶん…
嘘だ…
最近気がついた、修二には嘘を付きたい時のチャンネルがある。
付き合うまで気がつかなかったけど、最近はそのチャンネルが透けて見える。
修二は誤魔化せてるつもりみたいだが、修二のチャラ男率が大幅に減って、不安気だったり、恥ずかしがったり、感情が透けてきた。まぁ、元々長く一緒にいるから分かることもあるが。
自慢じゃないが俺は鈍感だ。鈍感だしすぐ怒る。何か色々思うことがあっても、怒りが混ざると、それが優先してしまう。
良くないことだと分かっていても、この短気だけは生きてきて酷くなるばかりだ。
そうして怒ってケンカっ早い俺とつるんでてくれたのが修二だった。
修二は、何を言わなくても俺のこと分かってくれてて、ずっとちょうどいい距離感で隣にいてくれた。怒ったり怒鳴ったりしても動じないし、軽く流してくれてた。
しかし、最近は違う。
俺の言葉にビビって、しょっちゅうご機嫌を伺うみたいにしたりする。
それが最大にムカつく!
その他大勢の人間と同じ反応…
お前は俺が見えなくなってるんじゃないか?
恋人なのに、恋人らしくない。
俺が近づくと、体を固くするし離れようとする。キスもセックスも俺からだし、最近は華南といい雰囲気だ。
柔らかく笑って、嬉しそうな目で華南を見てる。
俺の時はビクッてするくせに…ムカつく。
それに、金曜に修二が乱れてメロメロになった日から、修二の顔を見ると、なんかザワザワする。落ち着かないし、こう…なんつーか…イライラする…。顔見なきゃ見ないで落ち着かないし、顔見りゃ見たで落ち着かないし、あいつの感情が透けてるのに、口が違うことを発すると、もうひっぱたきたくなる。
「待って待って」って言ってるくせに、俺に見える瞳は「もっともっと」って言ってるように見えて仕方ない。俺は鈍感だから、もしかしたら間違ってるかもしれない、あいつの口から本当のことを言って貰えなきゃ、本当のことなんて、何も分かんねぇーよ!!つーかエスパーでもない限り、人の考えてるとこが分かるわけもない。
あいつは思ってることを言わなさ過ぎる。昔はそれでちょうどよかった、でも、今はムカつく。華南みたいに欲望に正直なら分かりようもあるが、修二は何にも正直じゃないし、諦めやがる!あいつは単純なことをわざわざ複雑にする男だ、言葉にしてくれなきゃ分かりようがない!!
いつまでたってもメロメロのラブラブにならないし、もっとはっきりしろや!!いっそ華南みたいにエロエロの馬鹿正直になればいい!!そうすればこんなに焦れったく思うこともない!ハッキリしろ!甘えてこい!その中途半端なチャンネル何とかしろ!迷ったり悩んだりしてるのだけ分かったって、修二が打ち明けてくれなきゃ何に悩んでるかわかんねぇだろうが!馬鹿が!
もう、いい加減折れろよ!ふざけんな!!
つよし「……………つまり、すご〜く、好きだってことですよね?」
修二が倒れて、谷崎との会話を聞き、校内で乱闘した次の日、俺は一人でつよしに会いに来ていた。
あまりに不機嫌な俺に、つよしは心配して、「どうしたんですか?」と聞いてきたが、「お前には関係ない!」って言ったら「関係ないから話せることもあると思います」と言われて「なるほど」と思い。
最近の鬱憤をぶちまけた。
むつ「お前、人の話し聞いてたのか?俺はムカついてるの!!あいつと居ると落ち着かないし、そわそわしてざわざわして、イライラすんだよ!!」
つよし「(それは…イライラじゃなくて、ドキドキの間違えじゃないだろうか?)
じゃあ、嫌いなんですか?」
むつ「はぁ?!嫌いなら悩むわけないだろ!!」
つよし「(むつさんって子供みたい…)」
むつ「……もういいよ、お前みたいな子供に話した俺が馬鹿だった!ところで頼んだもの持ってきてくれたのかよ」
頼みごとをしてる立場なのに踏ん反り返ったむつ。つよしは言われて鞄の中をあさりだす。
つよし「持ってきました」
つよしはカバンからA4サイズの封筒を取り出し、むつに差し出した。
むつ「サンキュー」
むつはそれをご機嫌で受け取り、中を確認している。
つよし「……あの、…それ、本気なんですか?」
それ、とは、封筒の中身。むつに頼まれた幾つかの資料が入っている。
むつ「本気だよ!こうでもしなきゃ修二のやつをギャフンと言わせらんねぇーし」
つよし「…ギャフン…て…」
つよしが苦笑いすると、むつはつよしをギロリと睨んだ。
むつ「お前、修二と華南に言うんじゃねぇぞ!内緒だかんな!俺とお前、男の秘密だ!」
修二に秘密があるなら俺だって秘密を作ってやる!!
つよし「はい、もちろんです…でも、あの、お願いですから、2人に話す時、そんな乱暴な言い方しないで下さいね」
むつ「わぁってるよ!!」
つよし「ほら、すぐ怒鳴る」
むつ「…お前、修二に似てきたぞ」
つよし「はい、参考にしてます。むつさんの取り扱いは修二さんを参考にって華南さんが…」
それを聞いたむつは、イラッとして、目を細めて低い声を出した。
むつ「華南の野郎…」
つよし「え、あ、怒らないでください、むつさんと仲良くなる方法を教えて頂いただけです!むつさんの計画に協力するんですから、2人と仲良くして下さいよ、仲違いしたら台無しです!」
むつ「分かってるよ!!…うっ…分かった。…引き続き色々頼む…」
つよし「はい」
つよしがにっこり微笑んだ。
それがつよしとの約束だったのに、俺は1週間もしないうちにやらかした。
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