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百目鬼から見たマキ…
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28日当日。
予定より早く仕事が片付いた。
賢史に、なんで急いでるんだ?って聞かれて面倒だったから「矢田がポカやった」ってことにした。
車に乗り込み一人になってから、マキに1時間程早く終わったと電話したら。
マキは嬉しそうに「本当♪分かったぁ♪」とはしゃいだ。だが、マキの声の後ろで、待ち合わせに指定した駅の構内放送が流れてるのが聞こえ。待ち合わせの1時間以上前なのに、マキがすでに待ち合わせ場所にいた。
百目鬼「おい、もういるのか?」
マキ『あは♪、 欲しい本があったから買い物に来ただけだよぉ♪』
百目鬼「俺はこれからだから悪いが30分はかかるぞ」
マキ『大丈夫、僕もこれから本屋だから。百目鬼さん仕事お疲れ様、疲れてない?休憩してから来てもいいよ。僕のことは気にしないでゆっくり来て♪』
電話でそう言われたが、凄く気になる。
そんなに楽しみだったのか?
やっぱり、また俺と水族館に行きたかった…?。何故そう言わない…。そういうとこもっと素直になれよ、言えば連れてってやったのに…。あぁ…受験だったか…。俺が聞いてやれば良かったのか?。クソっ、エロいことは無駄にベラベラ喋るのに、そんな普通の事が言えないのか?
無邪気なマキは可愛いいと思う。なぜ普段あんな図々しいくらいなのに、そうゆう肝心なとこ逃げ腰なんだ。
まぁ、水族館の話をした時はへらへら笑ってる様で、あの妙に緊張した表情。そういう人間ぽいところを見たりすると可愛いと思えるが……、普段の小憎たらしいへらへら笑いが多すぎる。普通の話をしようにも直ぐにエッチに持ち込むし…。
そういえば…なんで日にちが27日か28日指定なんだ?
水族館を調べてみたが、特にイベントって訳ではなかった。期間限定商品も2月いっぱいって訳じゃない。
マキに聞いたらきっと「別に意味はない」と笑って誤魔化されそうだ。
マキのそういうところにイラっとする。
へらへら誤魔化すのは修二もそうだったが、修二は顔に出るし、家庭環境の影響で父代わりである兄の奏一の手を煩わせたくなくてああなった。
修二の時は、背伸びして大人な態度をとりながら辛い片思いをひた隠す修二が、健気で可愛く見えた。愛しいと思った。
修二がむつのことを話してくれるのが嬉しくもあったが辛くもあった。だが、誰にも相談できないと抱えていたことを俺にだけ話すのだと思うと2人だけの空間に優越感もあった。
修二のことは、ほとんど何でも分かった。だから体だけだった時から、俺のもののような気がしていた。全部手に入れたかった。
結局、俺の欲で修二を汚して苦しめ、修二の心を大事にしてやれなかった…
それに比べてマキは…
可愛い様で憎たらしい
マキに抱く感情は修二の時とは違う…
もっと…荒々しい…
心の中をかき乱す様な…
あのへらへらした顔を崩して泣かして暴きたくなる…
俺の中の凶暴な衝動を刺激する…
だが…
実際に涙を見た時…
あの時マキに感じたのは…
怖いくらいの儚さ…
涙と一緒に消えてしまう様な…
ゾッとするような脆さを感じた…
俺が掴んでないと消えるような気がした…
どうしていいか分からず繋ぎ止め、修二の一言で気がついた。
『泣かすんじゃなくて、笑顔にしてみたら?』
確かに…、マキに関わらず、俺は人を笑顔にしたことが無い………。
マキはからかって誤魔化してへらへらしてるのに、人の悩みに触れる時、恐ろしいぐらい的確に核心を捉えて、その全てを優しく包み込む。そして慰めるんじゃなくて、本人を自ら立ち上がらせる。
あの抱擁力…言葉…、どこに隠してるんだ。
修二が言っていた。
『あの言葉はマキから生まれた言葉で、マキが学んだ言葉で、そして大半はマキの体験からの言葉なんじゃないかと思うんだ、人は自分がして欲しいことを人にアドバイスする事があるから…』
マキは誤魔化してばかりで、素直じゃなくて…、笑顔に出来る気がしない…。
付き合ってても…俺のものの気がしない…
自由に飛び回り、直ぐに消えてしまいそうだ…。
そんなマキにどうやって接すればいい…。
小憎たらしくへらへらしてる癖に、闇深く儚いマキに…優しくしてやる以外…
俺には思いつかない…。
百目鬼の車は、待ち合わせの駅に到着した。
着いたので電話してみたが、出ない。
車から出て、探そうとしたら何やら駅前で清楚系の箱入り娘っぽいながチャラい2人組に絡まれていた。
ああ…、ありゃ声かけた方がいいか?
ヤクザ顏の百目鬼が声をかければ、あんなのは直ぐに追い払える。
そう考えていたら、その箱入り娘がこっちに気がつくと、百目鬼に掛け寄ってきた。
モコモコの白の耳あて。
淡いクリームのフレアコート。
そこから覗く白の膝丈スカートに、ロングブーツ。
その子の瞳を見た瞬間度肝を抜かれた。
なんと、その瞳は銀ともエメラルドとも見える、ジュピター色の瞳をしていた。
言葉を失っている間に、俺の胸に飛び込んでくる。
追いかけてたチャラい2人組は、俺を見るなり顔を引きつらせ、真っ青になりながら声を裏返し謝罪し、飛ぶように逃げた。
俺は腕の中の人物に驚きを隠せず、同時に何考えてるんだと苛立ちを覚えた。
百目鬼「マキ!なんだその格好は!」
マキ「えへ♪助けてくれてありがとう百目鬼さん♪膝丈スカートだと蹴っ飛ばすわけにもいかないし困ってたんだ♪♪」
俺の質問に答えないマキは、バッチリメイクで無邪気に笑う。
呆れて言葉が出ない俺に、楽しそうに笑いながら可愛らしく小首を傾げた。
マキ「どお?可愛い♪?百目鬼さんの趣味に合わせてお嬢様風だよ♪」
百目鬼「俺は女に興味は無い」
マキ「あはは♪そっか♪もう少しボーイッシュにしとけば良かった、ごめんね♪」
いやいやそうじゃねーだろ!
女装してくるなんて何考えてるんだ!
マキ「あはは♪眉間にシワがいっぱいできちゃった♪怒っちゃ嫌♪」
百目鬼「からかう為に呼んだのか…」
マキ「違う違う♪この格好なら浮かないでしょ?」
俺の体に抱きついて、マキはニコッと可愛らしく笑う。
俺のスーツに合わせて、かっちり目の女装。
そして男女なら、2人で水族館も変じゃ無い。よく考えたら、前回は夏休み中の人の多いい時期だった。だが今は2月末の冬。人も少なく強面の俺と未成年のマキが2人で水族館は確かに目立つ。
マキ「ねぇ♪」
俺に抱きつくマキは、ジュピター色の瞳をキラキラさせて嬉しそうに笑った。
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