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〜檸檬の観察日記〜
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3月✖️日
百目鬼さんと朝まで飲んでから数日経った。
百目鬼さんからは、あの後どうなったか教えてもらってない。
けど、百目鬼さんはマキちゃんと話し合いに向かった次の日、仕事に遅刻してきて謝った後、視線をそらしながら「メール助かった」と俺に言った。
あれから2人に特に変わった様子は無い。
ただ、週2回事務所に手伝いに来ていたマキちゃんが、週3回来るようになった。それが、マキちゃんが高校を卒業したからか、2人の距離が縮まったからかは分からない。
ただ、百目鬼さんがマキちゃんに向ける視線は、どこかソワソワした感じが増えて、俺と矢田さんに対して度々嫉妬するのが面白くて仕方がない。
百目鬼「矢田!いつまでマキとくっちゃべってんだ!!仕事しろ!!」
矢田「す、すいやせん!」
マキ「シー!百目鬼さんが声大きい、ミケちゃん達ビックリするよ」
百目鬼「グッ…すまん」
百目鬼さんが飼ってるミケが、子猫を産んだ。最近太り気味だったのはどうやら妊娠してたらしい。
マキ「ミケちゃん頑張ったねぇ」
マキちゃんは天使みたいに微笑んで、ミケと子猫を見つめる。
マキちゃんは不思議な子だ。彼がいるだけで事務所の雰囲気が良くなる。
だけど、俺の知ってるマキちゃんと百目鬼さんの語るマキちゃんは違ってて別人。
俺の知ってるマキちゃんは、いつもニコニコしていて、天真爛漫。賢くて強くて時々ドジもする愛されキャラだ。
商店街のおじちゃんおばちゃんの話し相手になったりお客の相談に乗ったりで、優しく包み込む天使…いや、女神。
だけど百目鬼さんは、マキちゃんは寂しがりの甘えたがりで、危なっかしい上に、弱音を吐くことを酷く嫌がる意地っ張りだと言った。
マキちゃんは、いつも笑顔だ。嫌な目にあっても微塵も感じさせない。そお言えば弱音も怒ったところも見たことない…。
マキ「檸檬さん♪飲み物飲みますか?♪」
檸檬「大丈夫。杏子が帰ってきたら頼むから」
マキ「僕が手伝えることは手伝いますよ♪」
檸檬「今は大丈夫だよ、報告書書いてるし」
マキ「檸檬さんは、探偵らしくカッコ良くなりましたね♪、百目鬼さんみたいにバリバリ仕事してて。だからコーヒーの一杯でもと思って」
檸檬「ありがと、でも…」
マキ「大丈夫♪お湯沸かすだけだし♪」
マキちゃんは、結構なんでもできるのに、何故か家事が苦手だ。この前だってお茶を入れようとして…
百目鬼「マ〜キ〜」
ほら来た。苛立つ百目鬼さんの低い声が響いてきて、マキちゃんを睨みつける。
そして、嫉妬丸出しの顔で俺を睨む百目鬼さん。これで抑えてるつもりらしい。超ウケる。
百目鬼「マキ!余計なことをするな!この前火傷したばかりだろ!」
マキ「え〜、指先ちょこっと触っちゃっただけだもん、今度は大丈夫♪」
百目鬼「お湯もロクに沸かせない奴が給湯室に入るんじゃねぇ!迷惑だ!」
迷惑じゃなくて心配の間違いでしょうが。百目鬼さんてどうしてそういう言い方しかできないのかなぁ…、ほらほらマキちゃん落ち込んじゃったよ。
って!落ち込むマキちゃん見て眉がヒクヒク動いてるよ百目鬼さん後悔してるんでしょう、ウケる。ああ、この前言ってた猫耳と尻尾が見えてるのかな?確かに、猫耳と尻尾のマキちゃんがシュンとしてたら堪んないよねぇー。
百目鬼「ッ…ッ…、マキ、お前は俺のデスクで打ち込みしてろ!」
俺のデスクで…じゃなくて〝俺の隣にいろ〟でしょ?まったく、そんなんじゃマキちゃんに全然伝わらないじゃん。
だけどマキちゃん、なんか嬉しそう。
マキ「はーい♪」
百目鬼「それと檸檬、そっちは終わったのか?」
超睨まれた、とばっちり(笑)。
3月✖️日
この日、出先からの帰り道、街中でマキちゃんを見かけた。
マキちゃんは何だかガラの悪い3人組と一緒。
金髪小柄のヤンチャ系男子と、大柄で熊みたいなオールバックの男。そしてマキちゃんは、同じくらいの身長のキャラメル色の長髪イケメンの腕に抱きついて歩いていた。
うッ、浮気ッ!?
マズくない!?コレって百目鬼さんに言うべき??でもでも!百目鬼さん独占欲強くて相手を壊すって言ってた!ってことは、マキちゃんの命が危ないかも…!?
でもでも!百目鬼さんあんなにマキちゃんに真剣なのに、百目鬼さんが裏切られてるのを見過ごすのも…
俺はこっそり跡をつける。
マキちゃんはキャラメル色の髪のイケメンにめちゃめちゃ可愛い笑顔で話しかけ、イケメンも優しく微笑んでいていい雰囲気。
あー!百目鬼さん!負けてるよ!ありゃ完全にあっちの方が魅力あるよ!ってか美男カップル??
百目鬼さんとマキちゃんは美女と野獣だもん…。
俺がハラハラしながら覗いていると、人気の無い公園に入り、暫くすると一緒にいた金髪の男の子がブチ切れた。
「おい!マキてめぇー!!邪魔なんだよ!!修二から離れろ!貴重な休みなんだぞ!!」
マキ「やだぁ♪♪ヤキモチぃー?可愛い♪♪」
「うっせぇーよ!お前卒業したからってほとんど俺らんち入り浸りじゃねぇーか!ちったぁー遠慮しろ!」
金髪が恐ろしいくキレている、あのキレっぷり、百目鬼さんのミニチュアのようだ。
しかし、マキちゃんは超楽しそうに喋ってる。
マキ「うふふ♪欲求不満だからって八つ当たりしないでよ♪むつ君がこないだのお詫びに何でも言うこと聞くって言ったんじゃん♪」
「言ったがどうした!!俺は泊まるのは許可したがセックスの邪魔するとは聞いてねぇーぞ!!」
何々!?セックス!?
金髪の言葉に、キャラメル髪イケメンの修二と熊のようなオールバック男子が止めに入る。
「ちょっと!誰が聞いてるか分かんないんだよ!」
「そうだぞ、むつ。落ち着けよ」
「うっせぇーよ華南!お前だって溜まってんだろうが!」
どうやら、金髪はむつ、熊は華南と言うらしい。
むつ「嫌がらせだ!『百目鬼さんに怒られるから僕がいる時はイチャイチャしないでね♪』とか言って2日に1度は来るだろうが!」
恐らくマキちゃんの喋り方を真似してブチ切れる金髪。この子たちは百目鬼さんとマキちゃんの仲を知ってるみたい。
むつ「そんなに修二に逃げてぇーなら別れちまえよ!!」
マキ「ふふふ♪逃げてないよ♪僕と修二はラブラブなの♪むつ君が修二に許してもらえないのはむつ君のせいでしょう?僕に八つ当たりしないでよぉー」
華南「煽るなよマキ。むつは今大変な時期でロクに寝てないんだ、知ってるだろ」
マキ「飲食からマッサージ師に転向でしょ?僕も協力してあげてるじゃん♪」
むつ「俺は2人といる時間限られてるんだよ!イチャイチャしてぇーんだよ!!」
修二「むつ!分かったよ。その話しは帰ってからするから、これ以上騒がないでよ。マキだってむつのこと心配して来てくれてるんだよ!」
マキ「ハイハイ、邪魔者は消えるから、ちゃーんと話し合いなさいな♪」
おっと!マキちゃんがこっちに歩いてくる。
華南「マキ、悪かったな」
マキ「んふふ♪喧嘩するほど仲がいいってね♪お邪魔虫かもだけど、僕は、3人のこと好きだよ♪♪」
華南「俺たち〝も〟お前が好きだぜ」
マキ「…………苦手でもあるけどね」
修二「マキ!今日はごめんね!マキの荷物預かってるからまたすぐ泊まりに来て!」
マキちゃんは修二っやつの言葉に振り向かずに手を挙げて答え、公園をあとにする。そして3人組も、すぐに居なくなった。
あの3人とマキちゃんって…一体どうゆう関係?
マキ「ふふ♪♪檸檬さん見っけ♪♪」
檸檬「うわっ!?」
草むらに隠れてた俺の真後ろに。満面の笑顔で話しかけてきたマキちゃん。俺、探偵なのに…気配に気づかないどころか完全に後ろをとられた。超恥ずい…
マキ「何?僕の素行調査?」
檸檬「違う違う!たまたま見つけて!」
マキ「…ふーん」
檸檬「違う違うよ!百目鬼さんは人を使ってなんて姑息なことしない!俺が勝手にさっきのイケメンとマキちゃん仲を疑って!」
マキ「ウフフ♪浮気調査?僕って信用無いなぁ♪」
檸檬「百目鬼さんじゃないから!!本当に偶然…」
マキ「……」
マキちゃんが目をパチクリして驚いてる。俺が2人の仲を知ってるのを知らなかった。俺は車にマキちゃん監禁してるの見て気づいたと説明し、百目鬼さんと朝まで飲んだのは伏せ、百目鬼さんに聞いたと言った。マキちゃんは百目鬼さんが?って驚いていた。
檸檬「俺、応援してるんだ…だから…」
マキ「ふふ♪あれは僕の特別な友達だよ。百目鬼さんも知ってるから浮気じゃないし、確認したかったらしてきなよ♪じゃ、僕は帰るね♪」
マキちゃんはニコニコしていて表情が全く読めない。
檸檬「今日は百目鬼さんのとこ行かないの?」
マキ「約束の日じゃないから♪
後で百目鬼さんからお休み電話掛かってくる予定♪♪
また明日ね檸檬さん♪」
マキちゃんは妖艶に微笑んで、夜の公園から出て行った。
やっぱり、天真爛漫でサッパリしてるように見える。
このマキちゃんが一体どんな風にデレるんだろう…
見てみたい。
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