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お兄ちゃん相関図模様
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ありがとうございました。
お兄ちゃん相関図模様。
ーーーーーーーーーーーーーー。
彩さんの家に行き、いつものようにお酒とおつまみを彩さんが準備してくれてたけど、俺は飲まずに2人と向かい合った場所でソファーに座って話し出した。
奏一「2人に話しがある」
ちょっと緊張して声が硬かったから、察した羚凰が、すぐに警戒態勢に切り替わり、いきなり立ち上がった。
羚凰「俺嫌っす!!」
190を超える大型犬が立ち上がると、結構な迫力だが、羚凰より恐い奴なんて何人も知ってる。図体デカイばかりの子犬に睨まれても何の効力もない。
奏一「まだ何も言ってない…」
羚凰「そんな顔で良い話な訳ない!」
奏一「生憎俺は元々こういう顔だ」
羚凰「違う!修二と喋ってる時はもっと…」
奏一「そりゃ、修二は特別可愛い俺の弟だからな」
〝乗せられない〟ように、さらっと答え、冷静に羚凰を見上げると。羚凰は黙り、隣に座ってた彩さんが羚凰に座るように言った。羚凰はシュンとしてソファーに座り、泣きそうな顔してこっちを見てる。
彩さんがヨシヨシしてたが、彩さんは俺に何があったのか察したようにニコリと言った。
忽那「スッキリした顔してますね」
彩さんの言葉で、羚凰が突然泣き崩れた。
羚凰「嫌だぁぁぁ!!百目鬼だけは嫌だぁぁぁ!!」
え?
忽那「あー、ヨシヨシ」
デッカい大型犬が丸まって情けない声でなんか言ってて、彩さんが園児をあやす先生みたいに可哀想ねぇーと背中を撫でる。
羚凰「奏一さんの初めては俺が貰おうと思ってたのにぃーー!!」
はぁああァァーー?!!
羚凰「昨日は百目鬼とッ…、百目鬼さんと一緒に居たって!!スッキリって!スッキリしちゃったんでしょぉぉ!!」
余りにも馬鹿げた妄想に、思わず
ーゴン!!
ゲンコツを投下
羚凰「キャイ〜ン!」
相当痛そうな音がして、羚凰が涙目で〝なんで?〟って顔しやがったからもう一度振りかぶったら彩さんに止められた。
忽那「奏一くぅ〜ん、ヨシヨシ落ち着こうかぁ」
彩さんが俺をまるで小さな子供のように扱ってヨシヨシ頭を撫で。俺はムスッとしたまま元の位置に戻される、彩さんが俺の隣に座りながら膝をポンポンとして落ち着かそうとしてくれてた。
奏一「だって彩さん!」
忽那「お話し、進めようか」
ニコリと笑顔で完全なるお子様対応。
俺は自分の短気さに大きなため息を一つ付いて、羚凰に話すことにした。
奏一「百目鬼とは会ったが、居酒屋で話しをしただけだ」
羚凰「デデデ、デート…」
奏一「彩さん、もう一発入れていいっすか?」
忽那「動物虐待はよくないよ」
羚凰「俺は動物じゃない!忽那さんは奏一さん奪われてなぜ平然と…」
ーゴン!
羚凰「キャンッ!!」
堪えきれず手が出たら、彩さんに後ろから掴まれて、彩さんのお膝の上で抱っこ状態の俺。
羚凰は可愛い顔して許してもらおうと涙目で上目遣い
忽那「落ち着きなさいよ奏一」
奏一「だって彩さん、こいつ下世話な想像してるから怒ってるのに、可愛い顔すりゃ許されると…」
忽那「人を落ち着かせる方法いくつかありますが、その中に、キスするって方法もあるんですよ」
奏一「…ごめんなさい」
彩さんにニコニコ掌で転がされて、俺は大人しくソファーに座りなおす。
羚凰がタンコブ押さえて涙目で、彩さんに「羚凰君は1度黙ろうか」って注意されてた。
忽那「それで奏一、話って?」
奏一「…俺、考えた。一晩だけど真剣に考えた。やっぱり、2人の気持ちには答えられない」
羚凰が何か言いたそうにしているが、とりあえず無視。あのウルウルした可愛らしい瞳をまともに見たら、言葉を選んでしまう。
奏一「色々考えた。だけどさ、恋愛するってお互いに気持ちがなきゃだろ?俺は、羚凰のことも彩さんのことも嫌いじゃないけど、特別な感情はない」
羚凰「それは!俺に惚れるようにこれから頑張るんですよ!俺とはまだ出会って間もない!もっと俺を知る猶予を下さい!」
奏一「あのな羚凰。今の俺は色々考えることが多いいんだよ、完全な容量オーバー。それに、お前は新入社員のヒヨコ、覚えることもいっぱいあるし、そのうち新人バイトの教育もしなきゃならなくなる。お前にもこれからどんどん余裕なくなるぞ」
羚凰「仕事はちゃんとやります!」
奏一「うん、それは仕事だからやってもらわなきゃ困る。俺は新人研修開けたばかりでまだ見なきゃならないやついっぱいいるし、営業妨害の件も片付いてない。弟のことや百目鬼への恨みや、朱雀の熱くなっちまってる奴らの鎮火作業もある。俺には余裕がない」
羚凰「ッ…」
奏一「それに、お試し期間だか検討期間だかで曖昧なのは、俺は好きじゃない。お前が告白して、俺は気持ちに堪えられないからお断りする。普通の回答だろ?」
羚凰「…諦めろっ…てこと?」
奏一「そうだな」
静かにキッパリそう言うと、羚凰は泣きそうで悔しそうで、でも、意志の強い瞳で俺を見つめてる。
羚凰「…ッ。俺、ずっと憧れてたんだ、ずっとずっと憧れて、やっと本物に会ったんだ!会ったらさ、スッゲーかっこいいのに…可愛い人で…、いつの間にか好きになってた。奏一さんから見たら、俺は青二才かもしれないけど、絶対カッコよくて出来る男になるよ!そうなったら絶対ベタ惚れにさせるし!だから、諦めろなんて言わないでよ!」
意志の強い瞳、それは男の顔だった。
涙ぐんでたがメソメソする訳で無く、可愛い顔して見上げてたのが嘘みたいに、かっこいい男の顔に変わってた。
羚凰「奏一さんが甘えたり寄りかかっても平気な頼れる男になるよ!」
相手が女の子ならクラっときたかもしれない。羚凰はとってもかっこいい事言ってる。だけど、俺も男だ、甘えて寄りかかれと言われて、素敵ッとはならない。かっこいいとは思うがな…
奏一「お前は可愛い弟分だ、そういう相手には見てやれない。もし本当にいい男になる予定なら、なってから来い。また振ってやる」
羚凰「ッ!……俺…、諦めないだからぁぁぁ!!!」
そう言い残し、羚凰は彩さんの家から飛び出して行った。
忽那「クスクス…」
俺の隣では、まるで他人事のように微笑ましいねぇ…って顔してる彩さん。
奏一「あの…彩さん…」
忽那「じゃ、大人組は、ご飯食べながら話そうか」
そう言うと彩さんは、冷蔵庫からビールを2つ取り出し、俺と乾杯して1人飲み始めた。
奏一「彩さん…俺…」
忽那「まぁまぁ、一口飲んで、ゆっくり話そうよ。私には遠慮は要らないよ、言い回しとか気にしなくていいし奏一がどういう子かよく分かってるつもりだからね」
奏一「彩さんは、俺のこと良く分かってる。だから、俺がなんて言うかなんて、初めから分かってたんじゃないんですか?」
彩さんが、優雅に足を組んで、その膝の上に手を組んで置く。ニコリと笑って俺の肩を抱いた。
忽那「…そうだね、時期早々だったし、良いお返事はいただけないでしょうね」
奏一「…彩さん…ごめん」
忽那「気にしないで下さい」
奏一「……俺、もう来ない方がいい?…よね」
俺は彩さんを振るのだから、谷崎と三人ならまだしも、2人とかはまずいかと思った。
俺は、彩さんといたいけど…
しかし彩さんは、困ったように眉を下げ、俺の肩から手を離す。
忽那「私と2人は嫌ですか?」
奏一「ち、違います。俺、断るわけだし、彩さんには今まで通りとかだと…、飲み過ぎで面倒見てもらって泊めてもらうとか、彩さんに悪いなぁ…と」
忽那「私と友達でいてくれるなら、今まで通りにして頂きたいんですが…、お泊まりは身の危険を感じる?」
奏一「エッ!!違ッ…」
忽那「ふふふ、すいません。でも、本当に、今まで通りでいて下さるなら、その方が私はいいんですが…」
奏一「彩さんがいいなら、俺は…、今まで通りでいたい…、俺にとってここで谷崎と3人で飲むのが、唯一の息抜きで、素で居られる場所だから…」
忽那「私もですよ」
よかった…。彩さんとは気まずくなりたく無かった。告白を断ったら、全部壊れちゃう気がして…断りずらかった…。
彩さんは優しく微笑む。大人な彩さんが本当の本当はどう思ってるのか俺には読み解く力はないけど、彩さんは今まで通りで良いって言ってくれたから、今は、あれこれ考えないで信じることにする。
彩さんは、俺が今いっぱいいっぱいだって分かってくれてるし、きっと、そこは信じていいんだと思う。
あの子の言ったように、地中に向かって悩みを増やしても、意味はない。
彩さんと俺は、その後普通に話をして、彩さんの手料理食べて、いつも通り…。
飲みすぎた!!
忽那「奏一、寝そうなら寝室に行ってください」
奏一「…」
忽那「奏一」
優しく撫でられて、気持ちよくて更に眠くなる。
呂律の怪しくなったフワフワした意識のまま、懐かしい記憶に擽ったい気持ちになった。
奏一「彩しゃんの手…好き…」
忽那「そうですか、なら、もっと撫でましょうか」
奏一「なんか…ちいさな修二を思い出す……、昔、小学生の修二に良く頭撫でられたんだよぉ…、ふふっ、修二のやつ、ちっちゃい手で俺の頭を撫でながら、言うんだ『お兄ちゃんがんばったね』ってさ、…アレ、親父の代わり褒めてくれたんだよな…、俺や母さんは修二を良く褒めて撫でたけど、俺は修二より7つも上だから、もう母さんからも撫でてもらうとかなくてさぁ…、修二は、それを気にして代わりをしてくれようとしたんだよなぁ…」
忽那「ほらほら、弟自慢が始まったら、もう寝る寸前でしょ、肩貸してあげますから」
奏一「彩さんの手って不思議だよね…、なんか凄く落ち着くんだよね…、ふふっ」
忽那「奏一、もう少しですから」
彩さんの肩を借りてなんとかベッドへたどり着き、俺は1人布団に包まってウトウトしだした。
いつも通り気持ちのいい飲みに、気持ちのいいベッド、それに、気持ちのいい彩さんの手。
奏一「あっ、そうだぁ」
忽那「なんです?」
奏一「彩さんありがとう、俺、決めたよ。昔の百目鬼はやっぱ許せない、今はまだ許しきれない」
忽那「はい」
彩さんは聞きながら、布団を綺麗にしてくれて、フワフワと頭を撫で出した。
考えたことへのご褒美みたいに…
奏一「だけど探偵としての百目鬼は、仕事早いし、気の毒なくらい優しいし、頼りにしてる。今は、それでいい、そう思ってるって百目鬼に言う」
忽那「そうですか、きっと上手くいきますよ」
奏一「ありがとう彩さん」
彩さんは優しい微笑んで、俺の頭を撫でてくれた。
ウトウトしながら修二がそうしてくれたのを懐かしみながら…。
修二は大人になった。修二のあの優しい手は、もうむつと華南のものだ…、ちょっとだけ悔しいので、今度3人のマンションに抜き打ちで乗り込んで脅かそうと思う。
俺が親父の代わりをしなくても、もう、修二を守るのは、あの2人で、いい相談相手には…不思議少年もいる…。俺は、兄貴として、修二の行く末を見守って、必要なら全力で手を貸せばいい…。
今はそう思える。
時間が経ったらまだ、グダグダすることもあるかもしれないけど、そん時はまた、谷崎と彩さんに愚痴って叱咤激励してもらおう…。
忽那「おやすみなさい奏一」
俺はいつも、おやすみと言ってくる彩さんの声が聞こえてない。だから、もう、とても気持ちいい夢の中。
彩は髪を撫でながら、そっとその髪にくちづけた…
忽那「…奏一が望むなら、これからもいっぱい撫でてあげますよ。酔った時は本当に子供で…修二の話しも100回くらい聞いてますが…
これでやっと、私の手を意識してもらえそうですね……」
そう言って愛おしそうに撫でてもらってる手に、気持ちいい夢を見る俺は、その後また大混乱でショート寸前になるのは
もう少し後のお話し……
【お兄ちゃん相関図模様】終
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