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(番外編)純愛♎︎狂愛16
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百目鬼さん…
(マキ…)
百目鬼さん…
フワフワする夢の中で、僕は百目鬼さんと裸で抱き合ってた。夢の中の百目鬼さんは、僕を求めてくれて、いっぱい抱いてくれた。そして優しく髪を撫でて、四角い箱を僕に渡す。
僕は嬉しくて笑顔が溢れて、喜ぶ僕を百目鬼さんも喜んでくれた。
箱を開けると、中には渦巻き状の赤い物。
僕はそれが何か分からないでいたら、百目鬼さんが中から取り出して、スッと僕の首に付けてくれた。
ジャラッと音を立てたそれは、赤い首輪。
百目鬼『お前の白い肌には、赤い色がよく映える。これでお前は、俺のモノだ』
百目鬼さん、嬉しい。
百目鬼さんのモノにして…
百目鬼『やっと手に入れた…、奏一』
ッ!!
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
百目鬼「マキ?」
前髪を撫で上げられて、目を覚ました。
目が覚めたら、夢と同じように百目鬼さんに抱きしめられてた。
目の前には百目鬼さんの顔。自分の首に恐る恐る手を伸ばすと、そこには細いチェーンのネックレス、辿ったトップスは羽根籠だった。
夢だ…。
マキ「ぁ…」
百目鬼「どうした?まだ6時だぞ」
百目鬼さんはこないだと同じで、おかしいくらい優しいまま、僕の頭を何度も撫でる。
そして、僕の胸元には、こないだ百目鬼さんにもらった、羽根籠に青い石のネックレスが…
マキ「…えへ、目が覚めちゃった♪」
百目鬼「怖い夢でも見たか?」
マキ「ううん、びっくりしちゃっただけ。目が覚めちゃった♪」
へへッと笑ったら、百目鬼さんは上半身を起こした。
百目鬼「起きるか」
マキ「うん」
もう少し、腕枕しててもらいたかったな…
僕はまた百目鬼さんの家に泊めてもらった。昨日も何とか誘惑に耐え抜いて、百目鬼さんとはシなかった。
なんとか眠ったけど…、SEXしなかったからよくない夢を見た。じんわりと不安が広がる。SEXが無ければ、百目鬼さんの気持ちを確かめようがない…。
起きた百目鬼さんは身支度をして、台所に立つ。僕はテーブルに座って携帯をいじっていた。
明日、修二の家に行こうかな…。
寝そべってピコピコしてたら、珍しく百目鬼さんが声をかけてきた。
百目鬼「……マキ、作ってみるか?」
マキ「ふえ?」
百目鬼「フレンチトーストだよ」
え?僕が作るの?
百目鬼「大丈夫、混ぜて焼くだけだ」
百目鬼さんと台所に立つとか想像できない。
百目鬼さんはボールを用意して、僕に卵を手渡した。
マキ「百目鬼さん、僕、卵割ったことないんだけど」
百目鬼「今俺がやるから」
百目鬼さんが卵を握りしめ、ボールの隅にコンコンとぶつけてから両手の指先で卵を持ってパカッと割る。
百目鬼「いいか、軽く叩いてヒビを入れたら、真ん中あたりに親指添えて、パカッと開くんだ」
軽く叩いて…
ーコン、コン
あれ…ヒビ入ってない
百目鬼「もう少し力入れろ」
もう少し…
ーコンコン
あっ、ヒビ入った♪
親指添えて両方に開く…
言われた通りにしているけど、卵を掴む手がプルプル震えるだけで、卵は一向に開かない。
んー、んー。
卵を潰してしまいそうで恐る恐る力を入れるが、力の入れ方が分からない。
こうかな?こうかな?こう?
ーグシャッ
マキ「ひゃッ!!」
卵が潰れて弾けて大失敗。黄身と白身がベットリ、パジャマと顔についちゃった。
マキ「ご、ごめん百目鬼さん!」
百目鬼「派手に飛ばしたなぁ、顔に飛んでるぞ」
優しく差し出されたティッシュ。でも両手がベトベトの僕は、手をプラプラさせたまま、顔を拭いてもらおうと思って百目鬼さんに顔を寄せて目をつぶった。
目をつぶった途端百目鬼さんが息を呑む音が聞こえた。
百目鬼「ッ!!…。自分で拭け!そんで脱衣所でパジャマ脱いでこい!」
乱暴にティッシュを手渡され、台所から追い出された。僕はトボトボ脱衣所でに向かい、手を洗ってパジャマを脱いで洗濯してもらった服に着替え、リビングに戻った。百目鬼さんは食パンを卵に浸して待っててくれた。
百目鬼「卵は今度ゆっくり教えてやるから、焼いてみろ」
黄色い溶き卵の中に、食パンが浸かってて、百目鬼さんに菜箸を渡された。卵に浸かった食パンは半分に切ってあって、菜箸で持ち上げるとチョット重い。慎重にフライパンに移して焼いていく。その間に、百目鬼さんが次の食パンを卵に浸して準備。
百目鬼さん、凄く手際がいいなぁ。
百目鬼「そろそろひっくり返していいぞ」
そう言われたけど、なかなか上手くひっくり返せない…
マキ「よっ、と…、よいしょ…、ありゃ…」
百目鬼「お前は何踊ってんだ」
マキ「だってぇー、ひっくり返そうとすると体が動いちゃうんだもん」
百目鬼「仕方ないやつだな」
百目鬼さんは優しく笑って、僕の真後ろに立ったかと思ったら、フライパンを握る僕の手と、菜箸を持つ手をそれぞれ包むように握りしめてきた。
ドキッ!
ぎゃっ!!何々!?後ろから握りしめてきたんですけど!!何この恥ずかしい状況!!
大きなゴツい百目鬼さんの手が、僕の手を包み込んでる。その手は決して強引じゃなく、優しくて大きくて、背中にピッタリくっついた百目鬼さんの体温。馬鹿みたいに熱くなる…。
それだけでもやばかったのに、百目鬼さんは、さらに耳元で囁いた。
百目鬼「こうやるんだよ」
耳に百目鬼さんの低音ボイスが響いて、ジンと痺れてる間に、百目鬼さんに握られたフライパンの方が動いて、フライパンの中のパン2つが、シャッと宙を舞ってひっくり返った。
ドキンドキン
百目鬼「な?、こうやるんだよ」
得意げに言った百目鬼さんは、僕から手を離さない。
背中もくっついてて手も握られてて、ほとんど後ろから抱かれてるみたいな体制に、バクバク心臓がいってるのに、百目鬼さんは大きなゴツい手で僕の手を握りしめたまま。
ひえ〜〜。
僕の心の中は変な声で一杯。
百目鬼「焼けたな」
そう言って、フレンチトーストをお皿に盛る時も僕の手に添えられたまま。そして空いたフライパンでもう一枚も焼く。
いつまで後ろから抱きついたままなのー!!
耳元で喋んないでよ!!心臓が煩いよ!!
ってか、あらぬところに血が集まりそうだからもう離して欲しい!!
ドキドキしすぎる時間が通り過ぎるのを待っても、フレンチトーストが焼けるまでが長い。
やっとの思いで、2枚目のフレンチトースト焼けて、ホッとしてたら、百目鬼さんが急に後ろから片手でキュッと抱きしめてきた。
マキ「ッ!!な、何ッ!?」
百目鬼「……何でもない」
背中側で百目鬼さんがどんな表情かわからない、離れ際に、頭をクシャクシャっと撫でられて、百目鬼さんはフレンチトーストをふた皿持ってテーブルに向かった。
マキ「……………」
その日のフレンチトーストは、やたら甘かった気がして、眩暈がした。
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