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(番外編)純愛♎︎狂愛36
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賢史さんが、百目鬼さんより僕の心配してる〜って、ちょっと笑ったら、賢史さんは聞き逃さず真剣に怒鳴った。
だって、本気で百目鬼さんが危ないんじゃないかって思ったんだもん。
賢史『おい聞いてんのか!今どこだ!』
マキ「大丈夫、駅の裏手で隠れてる。百目鬼さんは大丈夫なの?」
賢史『神じゃなくて、お前が狙われてんだろ!ッ馬鹿だろ!、神に電話…』
マキ「百目鬼さんに言わないで!」
とっさに、バレたら怒られると思った。
だって、僕が勝手に来たんだ。
そしたら、受話器から聞こえてきたのは、ちょっと呆れたようなため息。
賢史『…。なら10分逃げ切れ』
低い命令口調は、刑事さんらしくて、賢史さんの声が頼もしく聞こえる事がなんだか面白かった。
「いたぞ!!」
鋭い声に緊張が走る。
二軒隣の建物の非常階段三階部分からこっちを指差す男がいた。
もう!だからさっきっからズルイ!!
すぐさま逃げ出そうとしたら、曲がり角から1人襲いかかってきた。
「このアマ!!」
僕を女だと思ってる男が、髪の毛に掴みかかろうと腕を伸ばしてきた。
マキ「マジうざいッ!」
一対一ならそうそう負けないし。相手の腕掴んで関節決め、投げ飛ばした。
細っこい僕に投げられるなんて考えもしなかかったのだろう、驚く男は地面に叩きつけられ動かなくなった。呻く男をほったらかして、すぐに走って逃げたけど、後ろから別の2人追ってくる。
相手は、他にもいるはず。路地に居るのはマズイかも、回り込まれて挟まれたら…
って、考えたのも束の間、進行方向に1人立ち塞がった。
僕は、走る速度を落とさず、横を擦り抜けよう走り込み、相手が両手でつかみ掛かってきたところを、催涙スプレーで撃退、僕は裏路地から脱出。
静まり返った駅前に戻ってきた。
僕と一緒に路地から抜けたのは2人。
せめて、菫ママの店に逃げ込めれば…
でも、菫ママの店も百目鬼事務所も、賑やかな道は、男達の後ろの方。この人たち、僕がそっちに逃げれないようにしてる。
逃げれば逃げるほど、どんどん離れてく…
走り回って逃げ疲れた僕は、イラッとした。
もうしつこい!捕まったりしたら、百目鬼さん絶対怒って〝もう俺んとこ来るな!〟って言うじゃんかよ!!
だけど、向こうは、必ず僕を捕まえる気で、ついに囲まれた。前に2人、後ろに2人。
僕も、男たちも息を切らしてる
「はぁ、はぁ、このアマ…」
僕を女だと思って追ってきたってことは、やはり賢史さんの情報通り、朱雀なんだろうか?
マキ「はぁ、はぁ、あんたたち誰?」
「いいから、俺たちと来い」
マキ「…狙いは百目鬼さん?」
僕の言葉に、男たちの中の1人がニヤッと口角を上げた。
ッ!!、こいつら百目鬼さんに…
男の薄ら笑いは、仲間たちに広がる。ニヤニヤ気持ちの悪い笑いを浮かべ、何か楽しいことでもするように…
その瞬間、ゾワッと怒りが湧き上がった。
賢史さんが言ってた。百目鬼さんはずっと嫌がらせを受けたり狙われたりしてたって…
百目鬼さんは確かに、許されないことした…。でも、関係ない奴らが手を出していいことじゃない。
百目鬼さんは普段から〝ちょっと〟心配性な所があった。もしかしたら、こういうのが関係してるのかも…。
「大人しくついてきたら、痛いことはしないからよ」
マキ「ふふッ♪」
そんな嘘を信じるとでも?
「何がおかしい」
マキ「ふッ♪、……ムカついた」
満面の笑みで笑うジュピター色の瞳が、瞬時に、妖艶(あや)しい修羅を含んだ瞳に色を変える。
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10分って、結構大変。
4人の内、2人が限界でした。
得意の空手で蹴り飛ばし、2人は跪かせたが、催涙スプレーは空になり、ローション投げつけてみたけど、それは効果がなかった。
「このアマ!!」
ードサッ
残り2人になったところで、殴りつけられて地面に倒れこみ、踏みつけにされた。
「大人しくしろ!」
マキ「くッ…」
「いいかげんに…グッ!!」
羽交い締めにされそうになり、全力で抵抗して、股間に1発。呻いて倒れる男を冷めた目で見て残りの1人を見上げた。
後1人だと思ったのに、遠くから黒づくめの男が走ってきた。痺れを切らした運転手が、車から降りてきたんだ。
あー!もー!!ゴキブリか!
その時、待ちに待った音が聞こえてきた。
ーウー!ウー!
「げっ!サツ…」
賢史さんだ!!
パトカーのサイレンの音とともに、男たちが呻く仲間を引きずって、黒のワンボックスカーに乗り込み、逃げていった。
賢史「マキ!!」
あっ、賢史さん♪
賢史さんの姿を見てホッと全身から力が抜ける
賢史さんが遠くから走ってきて、上着を脱いで僕にかけてくれた。
そこで初めて気がついた。
僕の服はあっちこっち破けてた…
賢史「殴られたのか…」
マキ「大丈夫、痛いくない♪」
賢史「いや、痣になってるし」
マキ「あは♪」
賢史さんが、「頑張ったな」って、抱きしめてくれ。僕はやっと安堵した。
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