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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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賢史さんは百目鬼さんを鼻で笑いながら見下ろすから、百目鬼さんの苛立って睨みつける。
百目鬼「こいつは魔性なんて大層なもんじゃない!…ひ、独り寝のできないただの甘えたがりのガキだ、お前の好みじゃ無い」
賢史「はあ?」
賢史さんはちょっと呆れ顔で首をかしげる。
納得いってない賢史さんを見て、百目鬼さんはさらに続けた。
百目鬼「マキはヘラヘラしてるけど、本当はヘラヘラなんかしてない、余裕ぶってるだけの超ネガティブだ、その癖弱音の一つも吐けないし、余計な事に頭使ってばかりだから、結構大食いな癖に身になりゃしないし、甘いものばっかり食うし、食うばっかりで料理はビックリするほどできないし」
賢史「…おい神…」
百目鬼「それに、人を惑わすみたいに色気振りまいてるかもしれないが、あれは振り撒こうと思ってやってんじゃない、もともとそういう体質なんだ。だから変な虫が寄ってくる」
賢史「は?」
百目鬼「お前が好きなのは女王様みたいに落としがいのある奴だろ?マキは違う、ただの世間知らずのマセたガキだ。お前が期待するような女王様じゃない。マキは人を守るのと自己犠牲を勘違いして、自分らしいって事を見失ってるただの手のかかるガキだ。見た目は綺麗で妖艶好きなお前好みでも、中身はただの背伸びするマセガキだ。お前には向かない、興味本位で近づくな!手を出すな!」
賢史「………。ブッ!ぎゃははは!」
まくし立てた百目鬼さんの言葉に一瞬呆気にとられたが、賢史さんは大爆笑。
結構百目鬼さんの声が大きかったから、むつ君のいるテーブルまで聞こえたみたいで、むつ君が百目鬼さんを殴るって暴れて修二と華南が取り押さえて宥めてる。
百目鬼「なにが可笑しい!?」
賢史「ハハッ、全部」
百目鬼「ア!?」
賢史「お前は相変わらず下手くそだな」
百目鬼「何が?」
賢史「お喋りが」
百目鬼「ア?」
賢史さんはヒーヒー腹を抱えて笑い、涙まで出てきてる。
賢史さんの態度に百目鬼さんのマグマは益々煮立って噴火寸前。
僕はハラハラしてるけど、奏一さんは相変わらず冷静。
賢史「お前の言葉はいつも三回転半ひねってあって誰も解読できやしねぇよ。神よ、お前〝モテる男〟の本でも読むか俺を見習えよ」
百目鬼「三回転半ってなんだ!誰が貴様のような取っ替え引っ替えを見習うか!」
賢史「お前のやってることは、アレだな、小学生が女子のスカートめくって泣かせるのと同じだな」
賢史さんの例えに、百目鬼さんはハテナが飛んでるが、ここにきて奏一さんが初めて同意を示した。
奏一「あ〜、確かに」
あらら、奏一さんが納得しちゃうから、百目鬼さんが動揺してまた混乱しちゃってるよ。
可哀想な百目鬼さん、2人に挟まれて益々煮詰まっちゃってる。
賢史「神、お前って前々からそうだとは思ってたけどよ、恋愛偏差値小学生以下だな」
百目鬼「はぁ!?」
賢史「そんなんじゃいつまでたっても、まともな恋愛出来ないぜ」
百目鬼「…好き勝手言うな、俺はお前みたいに次から次へ行ける恋愛感は理解できない」
賢史「馬鹿だな、俺は常に運命の子を探してんだよ。だから、振られたのにクヨクヨしてる時間を使うほど暇じゃねぇ訳よ。だから目の前に興味のあるエロい子が落ちてたら拾うだろ」
百目鬼「ふざけんな、お前の興味はエロの部分だけだろ」
賢史「あーあ、神は言葉のバリエーションさえしっかりありゃそこそこイケてんのに。いつも口で損するよな、今だって気の利いたことの一つも言えりゃ、マキちゃんが『きゃっ♡百目鬼さんカッコイイ♡』って惚れ惚れするシチュエーションだったのに、カッコ良くフォローするどころか貶しちゃうんだもんよ」
と、気持ち悪い裏声で僕の真似してぶりっ子ポーズを取った賢史さん。
賢史さんは一体何がしたいんだろう?百目鬼さんを煽ってるみたいだけど、賢史さんは僕の味方じゃない。百目鬼さんをわざと怒らせて、何をしようとしてるのか?
波乱の予感しかしない。
百目鬼「お前、さっきっから何が言いたい」
賢史「いやぁ…、言いたい事があるのは俺じゃなくて…」
人を小馬鹿にするような態度だった賢史さんの瞳は、一瞬で、仕事中の刑事の時に見た鋭い真剣な眼差しに変わった。
賢史「お前だろ?」
百目鬼「ッ…」
賢史「さっきっから、ただでさえ口下手なのに、遠回しに色々言ってみたり、お前の場合ストレートに言ったって一回転半くらい言葉が捻くれてんだから、そんな遠回しに諭すような芸当出来るわけねぇだろ」
百目鬼「…俺は…」
ふざけてからかってるのかと思ってた賢史さんは、一瞬で百目鬼さんを黙らせ、長年の友達らしい顔になってた。
流石の百目鬼さんも、ぐうの音も出ない。
賢史「この際だからハッキリしろよ、でないと本気でお持ち帰りするし。お前に頼まれてる例の事ももう協力してやんねぇからな」
百目鬼「それはダメだ!片付く前に手を引く気か!?」
賢史「俺は元々、お前とマキ様をそばに置いとくのは反対なんだ。今だってそう思ってる。マキみたいなタイプはお前の手に負えない。俺みたいな大人の男が相手じゃないと」
百目鬼「お前じゃ、マキの相手は務まらない、お前は釣った魚に餌をやらないだろうが」
賢史「そんなことないさ、職業柄不規則でなかなか相手してやれないだけだ」
激化する攻防に、僕は目を丸めるだけで見てる事しか出来ない。
僕の肩を抱く奏一さんは、ため息ついて、「もう一発殴っときゃよかった」と、意味深で恐ろしいことを言ってる。
百目鬼「お前、いい加減にしろよ」
賢史「いい加減にするのはお前だよ。俺の自由とマキちゃんの自由に首突っ込むなよ。マキちゃんが俺に口説かれて俺のもんになるのがそんな悔しいのか?」
百目鬼「お前とマキはタイプが合わない、お前の性格じゃ、マキに寂しい思いをさせる」
百目鬼さん?
賢史「お前なら出来たのか?」
百目鬼「俺は、縛り付けるから窒息させる」
マキ「まだ言ってるの!?」
百目鬼さんの言葉に、我慢ならなかった。
あんなに言ったのに、百目鬼さんは僕の言葉を全然聞いてくれない。
マキ「僕はそんなヤワじゃないし!百目鬼さんはもう大丈夫だって言ってるじゃん!」
百目鬼「うるさい!お前は何もわかってない!」
マキ「分かるわけないだろ!百目鬼さん何にも言わないじゃん!」
百目鬼「言ったらお終いなんだよ!言ったら何もかも終わっちまう!」
マキ「言ってもみないで何言ってんの?言ったくらいで終わるわけないじゃん!百目鬼さんが何言ったって、大丈夫だよ!言ってみて一緒に考えればいいじゃん!僕だけじゃない!百目鬼さんの周りには、百目鬼さんのこと親身になってくれる人がいっぱいいるじゃん!」
百目鬼「…」
マキ「百目鬼さん…」
百目鬼「…俺は、お前が思ってるような優しい男でもないし、お前を大事に出来たわけでもない、俺は変われなかった…」
マキ「…」
どうしたら百目鬼さんを解放してあげられるかな…
やっぱり…修二じゃないと…ダメなのかな…
僕では、百目鬼さんに言葉が届かない……
百目鬼「………………俺は…、
俺は、お前を監禁したかった」
‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
えっ?
今…
…なんて?
お前って誰を?
百目鬼さんの鋭い瞳は…
真っ直ぐ、僕に突き刺さってた。
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