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〔裏番外〕狂愛??<純愛18
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奏一は眉一つ動かさず。
マキは困惑して瞳を揺らしていた。
これ以上、俺にガッカリするマキを見ていたくない…。
視線が下がり、マキを直視する事が出来ずに、自分でも驚くほど情けない声が出た。
百目鬼「な?ドン引きだろ?」
自分の情けない声に、自分が落胆してるのが分かった。あれだけマキには俺は危険だと言いながら、そうじゃないと言って欲しかったんだと気づいた。
でもこれで、マキももう何も言わないだろう…、俺は変われなかった。マキが悪いんじゃない、マキといた時間が原因じゃない、マキは、俺に安らげる時間をくれた、だが、俺が貪欲なばっかりに……
マキ「違うよ!
驚いたけど、そういう意味じゃない!」
だいぶ時間が空いてから、マキはハッとしたように否定してくれた。
マキは本当に人思いの優しい奴だ。
百目鬼「フォローは要らない。俺の頭はイカレタままなのは事実だ」
マキ「違う!!引いてない!」
マキは、俺がマキを遠ざけるために嘘をついたとでも思ってるのか、必死に否定してくれてるが、これは真実だ。
百目鬼「…いいかマキ。俺はお前が思ってるような男じゃない」
マキ「だから!」
百目鬼「お前がそう思うのは、俺が言わなかったからだ。俺がそう言わなかったから、そう思えてた。大事にされてるとか、幸せだとか…。錯覚だ。フラストレーション?やりたい事や言いたいことを言えだ?そんなことしたら、俺はお終いだ」
俺がやりたい事や言いたいこと言ったらどうなると思う?
マキ…、全部お前に降りかかる問題だ。
百目鬼「って、そんなことを考えちまってる時点で終わってる。
俺は変われなかった、どんなに取り繕ったって頭の中は変わらない、どんなに普通にしてたって、俺の頭の中は、お前に首輪付けて、ベッドに縛って閉じ込めておきてぇって考えてた。お前を監禁してやりたかった。閉じ込めて、誰にも見せないようにしたかった」
マキ「…誰にも?」
百目鬼「…何度も何度も賢史にちょっかい出されやがって…、何度鎖で繋いでやろうとしたか分からない」
俺は、変われなかった…
百目鬼「今だって…」
マキの肩に回ってる奏一の手を見据えた。
マキは、俺の視線の意味に気がつきキョドリだした。俺と奏一とを交互に見て、目をパチクリしながらアワアワしている。
マキ「……嫉妬?…してるの?」
百目鬼「…」
マキ「…奏一さんだよ?」
奏一〝だから〟だろ。
奏一の格好良さは俺がよく知ってる。そしてクールで格好いい癖に、結構短気だったり、苦労してるのを顔に出さないし、時々おっちょこちょいな可愛いところもある。
マキにとって奏一は理想的な相手だろう…
別れると言いだしたのは自分なのに、取られると感じてるなんてどうかしてる…
そう思っていたら、もっととんでもない事をマキが言ってきた。
マキ「…監禁して良かったのに」
ッッツ!!!!!!!!!
ハァアアアア!?!?
百目鬼「お前馬鹿だろ!!!!!!」
その場がシンと静まり返る。
聞いてないふりしていたオカマ達もさすがにこれは聞き流せない。
衝撃の落雷が直撃して天地がひっくり返る。
俺の中では散々悪だと否定してきた事を肯定されたんだ。衝撃は凄まじく怒りすら感じる。
だが、マキの一言に泣きたくなるような喜びの感情が混じってる。
駄目だ!このままじゃ崩れ去る。
俺が今まで苦労して作り上げた防波堤が…
百目鬼「お前はそうやってッ!、俺が抑え込んでるものをあっさり肯定する!良い訳ないだろ!!お前は何も分かってない!!修二がどれほど酷い目にあったのか!俺がどれだけ後悔してるのか!お前は何も分かってない!」
怒鳴れば怒鳴るほど、感情的になればなるほど、マキは、俺を優しい強い意思のこもった瞳で見つめてくる。
マキ「百目鬼さん。百目鬼さんは、同じことがしたい訳じゃないでしょ?」
百目鬼「当たり前だ!!あんなこと二度としない!!」
マキは全てを包み込むような優しい瞳で俺に手を伸ばす。ビックリして反射的に身を引いた。
今触れられたら、防波堤が弾け飛んじまう!!
マキ「僕を監禁するのは簡単だよ」
百目鬼「だから!!そんなことをできる訳ないだろ!?」
やめろ!!
マキ「道具なんか要らない、一言で良い」
百目鬼「だから!!」
見るな!!
マキ「『そばにいろ』で、足りる」
百目鬼「だからッ!!言える訳ねぇだろ!!」
もうめちゃくちゃだ!!
自分でもわかる!防波堤なんてあってないもんだ!!
百目鬼「一度でも言えば、俺は我慢できない!我慢してる時だって我慢できてねぇのに、その後コントロールできる訳ねぇーだろ!死にてぇーのかてめーは!!」
心からの本心だ。俺は本当にマキを殺しかねない!!
なのにマキは、嬉しそうに微笑み、その瞳は潤んでキラキラしている。
マキ「幸せいっぱいの腹上死?男としては理想の最後だね」
百目鬼「冗談言ってんじゃないんだよ!!」
こんな時に可愛い顔すんじゃねぇ!!
本当に危ねぇんだよ!!
マキ「僕も冗談言ってるつもりはないんだけど」
プクッと膨れたマキを目にして、ブチキレそうな自分をもう抑え込む自信がない
百目鬼「ッ!!話にならないッ!!お前はそうやって身投げして自己犠牲してるだけだ!!」
もう駄目だ!!これ以上ここにいたら!マキをどうにかしちまう!!
逃げようと視線を逸らした瞬間。
マキは俺の胸ものを鷲掴み、大声で叫んだ。
マキ「好きな人と一緒にいることの、どこが自己犠牲なの!!」
ーズキン!!
やめろ!
その手を離せなくなる!!
百目鬼「お前は俺に夢見てる。俺はそんなんじゃない!もっと醜くいて汚い!!
お前はDVにおける共依存と同じ状態なんだ!俺に暴力振るわれながら、優しいところもあるなんて錯覚してるんだ!!」
マキ「僕は!暴力振るわれたことなんか無い!!」
百目鬼「振るわれただろうが!!言葉も立派な暴力だ!!」
マキ「分かってんなら直せば!?百目鬼さんの言葉はそのまんまの意味の時の方が全然少ない!賢史さんが言った通り、三回転半捻ってる!」
百目鬼「なんだと!!」
マキ「僕は知ってる!みんな知ってる!!少なくともここにいる人はみんな百目鬼さんが口は悪くても優しいこと知ってる!
それに、矢田さんなんか、いつも怒られてても、百目鬼さんは怒鳴った分だけ心配してくれてるだけだって本当は優しいんですって言って回ってる!!」
百目鬼「ッ…あのバカ…」
マキ「僕と別れるって言った時の言葉も、全部本当は心配から来てる言葉だって知ってる!」
なんだと!?
なんでバレた!?賢史の野郎か!?
これじゃ全部台無しじゃないか!!
俺はマキを傷つけるし、誰から狙われてるかも解決してない中、マキの手を取ればマキの安全は保障されない!残された夏休みで解決できなけりゃ、マキは大学にも行けなくなる。だが、俺と関わらなければ、普通の生活が送れるんだぞ!!
マキ「じゃあ、あの時僕に言ったのは本心?」
肯定しろ!そうだと言えばいい!!
マキを俺のものにするより、マキの人生を守るべきだ!!
「そうだ」って言えばいいだけなのに…
口が動かない……
修二の代わりだった…、面倒くさくて一緒にいるのは苦痛だった……
そう言ってしまえば、もうマキは犠牲にならなくて済む。
なのに…どうして…
マキが俺を掴んで離さない……
マキ「僕は、百目鬼さんが好きだよ。一途なとこ…、不器用なとこも 、優しいところも、必死に努力してる姿も。僕を監禁したかったって言うなら僕は嬉しいよ。独占したいって事だよね?独り占めしてくれるなら、そんな嬉しい事無いんだよ。そのやり方で悩むなら、一緒に考えればいいじゃん。百目鬼さんは色々言うけど、僕からしたら、百目鬼さんは僕の欲しいもの全部持ってる人なんだよ」
涙目の瞳。俺を必死に掴む手が震えてる。
至近距離のマキの縋り付く姿を、俺は拒めない…
マキ「僕は、百目鬼さんと付き合ってる間。もっとそばに行きたかった、会いたかったし、いっぱいイチャイチャしたかったし、もっともっと独占して欲しかったし、独占したかった。僕だって百目鬼さんを僕のものにしたかった、百目鬼さんの1番になりたかった。独り占めしたいよ」
それは…
一生手に入らないはずの瞳…
マキ「それでも、あの時言った言葉の方が真実?僕と付き合ってる間、百目鬼さんは苦痛で仕方なかった?面倒くさかった?」
その瞳は真っ直ぐ俺を写す…
マキ「僕は……要らない?」
…………俺の答えは、初めから決まってた。
きっと、あの瞬間から。
惚れ薬を飲まされ見たはずの幻。
マキは、両思いのシュミレーションだと言った。
あの時俺が感じたのは、〝やっと見つけた〟だった。
マキが俺を好きだと言いだしてから、俺は自分の中で少しずつ大きくなるものを恐れた。
怖い。
これが大きくなればなるだけ、俺はそれを壊してしまう。どうせ失うんだ。そう思った。
否定することでしかお前を守れない。
だけど、いらないと思ったことなど無い。
お前と出会わなければ良かったと思ったことはあるが…、だって…、なくてはならないものになって困るのは俺じゃ無い…。
監禁されるお前が、いつか必ず後悔する。
要らないと思うのは俺じゃ無い。
お前だマキ。
その手を離さなければ後悔するのはお前なんだぞ…。
ーパンパン
見かねた菫が手を叩いてその場を仕切りる。
菫「神、マキちゃんがここまで胸の内を話してくれてるんだから、この気持ちに誠意を持って答えられるわよね?どんな答えでも、正直に話しなさいな。後は、2人っきりで話したら?」
俺は…
嘘はついてない…隠し事はあるが、それはマキには言えない、〝狙われてる〟と言えばマキはまた危険を犯す。
監禁してしまえば良いと、言うのか?
そんな馬鹿な…
むつ「逃げんのか!!」
相変わらず威勢がいいむつは、その場の空気はお構い無しで、修二と華南を振り切って、俺たちの居るテーブルを叩く。
むつ「男だろ!みんなの前ではっきりしろよ!」
修二「むつ!」
むつ「お前言ったじゃんか!!マキの事、24時間そばに置いて守りたいって!てめぇー大人だろ!有言実行しろよ!」
余計なことバラすなクソガキ!!
やれるもんならやってんだよ!!
百目鬼「煩い!!黙れ!!」
むつ「だいたいさっきっからてめぇーの言ってっ事おかしいんだよ!言い訳ばっか並べて拒むようなこと言いながら、監禁したかったなんておかしいだろうが!側にいてぇーのか居たくねぇーのかハッキリしろや!!」
百目鬼「分かったようなことばっか言うな!」
むつ「分かんねぇから言ってんだろうが!またマキ泣かせたらぶっ飛ばしてやる!!」
百目鬼「泣かせるんだよ!俺なんかのそばにいたらずっと泣く事になるんだよ!だから…」
むつ「泣かすなよ!!てめぇーそれでも男か!男なら泣かせないように努力しろよ!」
百目鬼「努力したさ!だけど泣かせるんだ!泣かして喜ぶんだよ!それに、マキは泣かさなきゃ素直にならねぇんだよ!」
むつ「マキは確かにスゲームカつくほど素直になんねぇーけど!それはてめぇーがマキに対して素直じゃねーからだろうが!!マキに嘘や誤魔化しが通用する訳ねぇだろ!マキは心理学勉強してるんだぞ!頭いいんだぞ!てめぇーがいつまでも腹ん中に大事なこと溜め込んでるから!」
百目鬼「気持ちだけじゃじゃどうにもならないことがあるんだ!チビでガキのお前に分かってたまるか!!」
むつ「なんだとッ!!」
怒り狂ったむつは、マキの腕を掴んで引っ張り上げ、腰をガッチリ掴んで抱きしめた。
マキ「わっ!?」
むつ「てめぇーみてーな分からず屋にマキを渡してたまるか!!マキは俺が貰う!!」
はぁああああ!?
触んじゃねぇこのドチビ!!
てめぇーは修二と付き合ってんだろうが!!
てめぇーなんか論外だ!!
マキ離せ!触んじゃねぇ!
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