アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13〔裏番外〕ゆくえ……
-
.
「ミャーオ」
ミケの鳴き声がする…
最近朝になると俺に起きろと声をかけてくる。自分はマキの隣を陣取って、マキの起床を待ち望む。ミケはマキが大好きで、マキが一時いなくなったのが嫌だったらしく、今は毎日マキの側にやってくる。
薄明かりが差し込む朝に、まだボーっと夢見心地の感覚が抜けない。
…ミケ…、それに…、隣で眠ってるのは、俺の…マキ…。
これは、現実…。
俺の腕の中にマキがいる。幼さと外人色の強かった茉爲宮優絆が、綺麗な青年へ姿を変えて、安心しきった愛らしい顔で眠ってる。
マキ…
マキの姿を見て安心したと同時に、マキの経験した過去を思い出すと、胸が締め付けられて痛んだ。
俺の腕の中にマキがいることに感謝する。
茉爲宮優絆を救ってやることはできなかったけど、茉爲宮優絆が願ったことは、必ず叶えてやる…
そう思ったら、自然とマキを抱きしめていた。
ぎゅぅぅぅ………
マキ「…ん…ふゅ?…」
百目鬼「マキ…」
マキ「ん?…」
目の全く開いてないマキが、俺にぎゅうぎゅうされて苦しそうにしながらも、俺の呼びかけに反応して表情が和らぐ。
茉爲宮優絆には感じなかった、凶悪な欲求が俺を刺激する。この可愛すぎる魔性をどうしてやろう。
百目鬼「起きないと喰っちまうぞ」
マキ「…ん…」
何を言われてるのか分かってないのだろう。頷いたマキは、スリスリまどろんで俺にしがみつく。マキは寝起きが悪くてまだ全然頭が働いてない。
寝ボケる唇に触れると、無意識に応えようとして唇を寄せてきやがる。どうやら朝から襲われたいらしい。
マキ「…?…ん?…ンンッんッ?!」
触れるだけのくちづけから、求めるキスへ。
この唇は俺のもんだ。この体も、マキは全部俺のもんだ…
マキ「…ッ…んふ…ン¨ッさん…ど…めき…さ…あん…」
百目鬼「聞こえねぇ…」
マキ「はぁ…んっ…あっ…神さ…ん」
その甘い声は、恥ずかしそうに俺を呼ぶ。幼い声変わり前の可愛い好奇心混じりの声も新鮮でよかったが、俺の名を愛しそうに呼ぶ今のこの声が好きだ…
マキ「神さんっ…今日は僕学校…そんな…されたら…腰抜けちゃう…」
百目鬼「朝の挨拶してるだけだろ」
マキ「いつもと違っ…溶けちゃう…よぉ…。大っきいの当たってる…、シたい?…口でしようか?足りない?…一回だけなら…」
百目鬼「朝から盛んじゃねぇ」
マキ「ッ!盛ってんの神さ…!ンンッん!」
大きくなった茉爲宮優絆は、すぐに卑猥なことを言う。煩いのでマキの口を塞いで思う存分唇を吸ったら、ベッドで息も絶え絶えにふにゃふにゃになって動かない。
マキ「はぁ…、はぁ…、はぁ…」
百目鬼「フッ…、可愛い面になったなぁ。さて、朝ごはんは何がいい?何でも好きなもの作ってやるぞ」
マキ「…はぁ…はぁ…、神さん…変…どおしたの?」
好きなものを作ってやると笑いかけたら、マキに不審がられた。
少し優しくしてやらなきゃと思っただけで、たいしていつもと同じなはずなのに、そんな変なのか?優しい俺は…
百目鬼「何が食いたい?」
マキ「………フレンチトースト」
百目鬼「生クリーム乗せるか?」
マキ「うん……」
百目鬼「よし、いい子だな、今美味しいの作ってやる」
マキ「???」
キョトンとするマキの頭をよしよし撫でて、俺は台所に向かう。
状況が分からずパチクリするマキと、その後ろで呆れたように欠伸するミケを寝室に残して、俺はいつもより丁寧にフレンチトーストを作った。
昨日買ったばかりのおニューのパジャマで食卓に付いたマキに、美味しくなれと心を込めたフレンチトーストを出してやると、マキは目を丸めて不思議そうに俺を見た。
マキ「…」
何か言いたそうにしながら、それをためらって、大人しくフォークを握りしめフレンチトーストを食べ始める。
マキ「ん〜〜ん♪美味しい♪」
ほっぺが落ちそうだと両手で支えながら、マキは美味しそうに嬉しそうにフレンチトーストを頬張り、いつもより早くぺろっと平らげ幸せそうに笑う。
この笑顔は、本物の笑顔…
百目鬼「なぁ…マキ…」
マキ「ん?」
マキは、牛乳の入ったハートの片割れの模様の入ったマグカップを両手で包むように持ちながら、ご機嫌に可愛らしく首をかしげる。
百目鬼「…北海道で…話してくれたよな、昔の話を…」
マキ「…うん、アレなら嘘は言ってないよ」
先まわりで俺の質問を探るマキ。
だが、俺が聞きたいのはそこじゃない。今朝見たリアル過ぎる夢だ。
百目鬼「小4の時、女の子に間違われてって話しあったろ?それって誰かに助けてもらったのか?」
夢の話だと思いながら、リアル過ぎて現実だったんじゃないかと思っちまう。だって、聞いてない俺の知らない茉爲宮優絆を見た。
マキは、瞳を鈍くしながら、嫌な話だから仕方がないが、でも、躊躇いながら口を開いた。
マキ「……。助けてもらったっていうか」
今までのマキだったら、ヘラヘラ笑って誤魔化しただろう…
マキは、俺の為に変わっていこうとしてる。
人の好みに合わせるために、清史郎の為に女の子の格好やマリアのふりをしたのとは違うよな?
素直になってくれようとしてるんだよな?
マキ「…大っきい犬が吠えて、人が近くにいるのにビックリして逃げちゃったよ」
百目鬼「……犬?」
マキ「うん。大っきい犬を散歩してる人がいて、犬が僕らの方に向かって吠えたの」
マキは何でそんなこと聞くの?と言いたげにしながら、そんなことを聞く俺を不思議そうに見つめてる。
夢は…夢だったのか?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
846 / 1004