アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
39〔裏番外〕ゆくえ……
-
賑やかなパーティーは、みんなが酔っ払ってそのテンションが上がっていく。
そんな雑音の中、マキは、矢張り〝マキ様〟だった。
マキ「僕、ケーキ取ってくるけど百目鬼さんも食べる?」
百目鬼「おい、何個目だ…」
マキ「えへへ♪四つ目♡百目鬼さんはいらないのぉー?」
百目鬼「いる」
マキはニコニコ幸せそうにしながら俺の皿を持ってお代わりしに立ち上がる。
ついでに隣の烏磨にも…
マキ「烏磨さんもケーキ要ります?」
烏磨「ええ、お願いします」
まだ食うのかよ…。烏磨の奴ケーキだけじゃなくてなんか焼き菓子までもらってるし、完全に雪哉に餌付けされてんじゃねーか。
マキが烏磨の皿も持ってカウンターの雪哉のもとに行くと、烏磨が俺を見て笑いやがった。
烏磨「フフッ」
百目鬼「なんだよ、人の顔見て鼻で笑いやがって」
烏磨「仲睦まじくて安心しました。…ただ、随分可愛らしいやり取りですね。お互い好きなのに、お互い気を使って相手の様子を伺って…、まるで童貞の中学生が雑誌を参考書手順を踏んで内心オロオロしてるようにしか見えません。そんなんで続くんですか?直ぐに愛想尽かされてしまうのでは?」
百目鬼「難しい年頃なんだよ」
烏磨「クッ…貴方が?」
百目鬼「マキがだよ!分かってて聞いてるだろ!」
烏磨「私には、貴方の方が余裕無く見えますよ」
百目鬼「余裕はねぇよ、余裕があるならこんな怖くねぇ」
烏磨「…難しい年頃ねぇ…。難しいというより彼の場合は……」
烏磨が言いかけた時。
カウンターから雪哉の悲鳴がこだます。
雪哉「ぎゃぁあーーーー!!!マキ様!!」
全員雪哉の方を振り返ると、雪哉は顔を真っ赤にしてマキの口を塞いでる。マキはといえば、ニコニコしていて、その笑顔は妖艶に何か企んでいた。
あっ…
マキの奴、勘づいたな…。
恐らく、マキは、雪哉が誰を気にしているのか見抜いたんだろう。もう少し黙っておきたかったが、これでマキのお節介が始まるに違いない。
百目鬼「で?烏磨、お前の方はどうなってんだ?人のこと中学生扱いしやがって」
烏磨「おや、決戦の今日という日に他人のことを気にかけるなんて余裕ですね」
百目鬼「ッ…。雪哉を面白がって虐めるなよ」
烏磨「フフッ、失礼な、私は紳士ですよ。虐めて欲しいとつぶらな瞳で訴えるのは彼ですよ」
百目鬼「虐めるならこの先も虐めてやれるのか?」
烏磨「…シッ、戻ってきましたよ」
烏磨は振り返りもせず、お店のインテリアに反射を見ながら静かに話を切る。確かに、マキがカウンターを離れたのが見える。
マキ「お待たせしましたー♪雪哉さん特製ケーキでーす♪」
確かに俺には余裕は無い。
ずっと無い。きっとこれからも無いだろう。余裕という油断が生まれれば、きっと俺はマキを泣かせてしまうに違いない……
もう、修二の時のような過ちは犯さない…
食い違いや勘違いで真実が見えなくならないように…
マキを大事にしてやりたい。
案の定。
マキ様は降臨した。やたらと烏磨と話をするようになった。どうやら、烏磨を分析してるらしい…。
まぁ、こっちの狙いは果たせてるから良いんだが…。
もう少し、俺を構え…
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
すでに騒ぎ疲れた奴らがそこらへんでグッタリしだした頃。
事件は起きた。
百目鬼「誰ダァアーーー!!!!マキに酒盛った奴はぁ!!」
俺がちょっと目を離してる間に、マキがアルコール入りの飲み物を飲んでた。
酔ってベロベロな訳でも、寝ちまってる訳でもないが、酒が入ったのが一目瞭然。
烏磨「おやおや…」
賢史「おおっ、こうなると女王様様だなぁ」
烏磨と賢史が面白がってマキを眺めやがるから、遮るように俺の後ろに隠した。
マキ「百目鬼さん…苦しい…」
百目鬼「あっ、悪りぃ…グッ!!……」
背中に隠してグイグイ押したから、マキがソファーに押し付けられて苦しがった。体を離して様子を伺おうとしたが、マキのヤバ過ぎる艶かしいオーラが倍増してやがった。
マキ「…どうしたのぉ?」
可愛らしく小首を傾げ、俺を見上げるそのつぶらな瞳。みんなの前だから黒のカラコンが入っていたからなんとか耐えたが、その口調は緩いしゃべりで語尾がフワリと伸びてる。
連動してでっかい猫耳と尻尾が幻で見えているが、どうやら見えてるのは俺だけじゃないらしい。
烏磨「丁度こんな感じですよね。構って欲しい時の猫の仕草って…」
烏磨は、そう言いながら、ワクワクして眼鏡を光らせやがる。
烏磨の発言だけでもイラっとしたのに、さらに賢史がニヤニヤしながらいやらしい目でマキを見る。
賢史「物欲しそうにデッカい瞳で見上げてきて、足元スリスリ寄ってくる、まさにあんな感じだよな」
俺の背中にピッタリくっついたマキを猫に例えたが、俺にもそう見える。マキは甘えるように、俺の背中にほっぺをくっつけて可愛らしく笑ってやがる。
雪哉「マキ様超可愛い!!」
雪哉は論外。
檸檬「マキちゃぁあん。獣どもから俺が守ってあげるよぉー」
百目鬼「酔っ払い檸檬!!ベロベロなくせにマキに近づくな!!」
檸檬「ギャハハハハ、百目鬼さん独占欲せこ〜い」
百目鬼「なんだと!!杏子、檸檬をなんとかしろ!!」
杏子「はーい。檸檬、百目鬼さんをからかっちゃだめよ」
どいつもこいつも!!
マキ「百目鬼さ〜ん…」
百目鬼「なんだ!」
マキ「ふふふ〜♪みんな百目鬼さんが大好きなんだねぇ〜」
百目鬼「ッ!!」
大きな瞳が幸せそうに細められて、嬉しそうに俺を見上げながら甘えるように寄り添う。酔っ払った緩い喋り方で、幻の猫耳とお花畑まで背負ってニコニコするマキは、凶悪だ。
マキ「百目鬼さんに会えてぇ〜、嬉しいんだねぇ〜、ふふ、僕も百目鬼さんに会えて嬉しぃ〜、お誕生日おめでとう百目鬼さん、大好き♡」
百目鬼「ツッッッッッッ!!!!!!!!」
綻んでたマキの表情が花咲いて、美しい笑顔が溢れた。俺と2人でも滅多に拝めない幸せそうな笑顔。
あまりの衝撃に固まっていたら、店中の奴らの興奮した視線がマキを凝視していた。
賢史・烏磨・雪哉・檸檬・菫・矢田・オカマーs
「ジーーーーーーッ。」
百目鬼「ッお前ら見んじゃねぇー!!
チッ!!帰るぞマキ!!」
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
872 / 1004