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「からかいたい」2
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喚く菫ママを置き去りに、俺はさっさと仕事に戻った。
今日は神の家に突撃して、イチャイチャしてる所を邪魔しよう。
菫ママの警告を無視した俺は、まるで菫ママの呪いが降ってきたみたいに、その日の仕事帰り、馬に蹴られたかのような衝撃を受けることになる。
賢史「痛ってーーな!!」
何かが衝突してきてそのまま俺は吹っ飛んだ。瞬間的に叫んだら、路地裏で2、3人の男子学生が「ヤバイ」「逃げろ」と走り去っていった。俺の目の前には、倒れてる男の子。逃げたのと同じ制服の小柄な男の子、衝撃の正体は、見覚えのある人物だった。
賢史「君、大丈夫か?」
この子、確か名前は…
つよし「ごこご、ごめんなさい!すいません!」
賢史「…君って確か…女王様の友達の、つよし君?」
つよし「あっ…」
倒れこんでたつよしが、顔を上げる。知り合いである俺だと気がつき驚いた様子だったが。
俺は俺で、つよしの顔を見て驚いて固まった。
それは、ビックリするくらい綺麗なエメラルドグリーンの瞳が、長い前髪の隙間から見えたからだ。
つよしの髪は黒いし、根暗で真面目そうな印象から、カラコンとは考えずらく、とにかくビックリした。
つよし「あっ!!ごめんなさい!ごめんなさい!」
自分の瞳の色に俺が驚いてるのに気がついたつよしは、サッと瞳を隠して俯き、怯えたように後ずさる。
よく見ると、つよしは殴られた痕や腕に擦り傷がある。
賢史「そんな怯えんなよ。悪かったよ凝視して。ほら、立てるか?」
状況を判断するに、同じ学校の奴らに虐められてるってとこだろう…。容姿も原因の一つか…。ってか、そんな前髪ボーボーじゃあ虐めてくれって言ってるようなもんだろ。
賢史「ところで、つよしくん」
つよしのちっこい手をガッチリ掴み、ニッコリ微笑むと、つよしの肩がビクッと跳ねる。
賢史「夜の7時に制服着た学生さんが、こんなスナックやラブホ街で何してんのかな?お巡りさんとっても気になるなぁ」
満面の笑みで問いただすと、つよしはいちいちオーバーなリアクションで慌て出す。
つよし「エエ¨ッ!!ち、違います!!きょっ、兄弟がこの近くで働いてて会う約束をッ!!」
おどおどワチャワチャ忙しい奴だ。
こりゃイジメの格好の餌食だな。菫ママの店で見た時は、どもってはいたが、自分の意見を真っ直ぐ言えて勘も良かったのに…、女王様の友達ってことは同じ学校だったんだよな…?
しかし、夜遊びなら補導だなぁ。
賢史「あれ〜?こないだは近所にお姉さんが住んでるって言ってたけど?、そういえば帰りは送ってあげるって言ったのに君消えちゃったよね。どういうことかなぁ?」
つよし「あっ、あれはっ!む、むつさんが送って下さいました!」
賢史「本当かなぁ〜?」
つよし「ほ、本当です!」
賢史「親御さんの連絡先は?」
つよし「お、お、親は海外に住んでます!に、日本では祖母が見てくれてて、あ、姉は結婚しててこの近くに住んでて!もう1人の兄弟が姉に会うために日本に来てて、この近くでアルバイトしてて、ぼ、僕は部活終わりでこっちに来ただけで、い、いかがわしいことは何もッ!!」
賢史「ふーん、じゃあさ、もう暗いし心配だから送ってあげるよ、兄弟のバイト先ってどこかなぁ?」
つよし「ッ…そ、それは…」
答えを渋ったつよしは、何か隠してるように見えた。
イジメられてたのもそうだが、もう辺りは暗いし、これから良くないことをされても困るしな。
中学生位か?まさか援交とかじゃないよな?
シドロモドロどもるつよしは、ハッキリしたことを言わないので、強制的に送ることにした。
賢史「お前って、マキと同じ学校なのか?」
つよし「は、はい。マキさんと同じ学校でした、高校生と中学生なので校舎は違いますが、同じ寮生でしたしたし、凄くお世話になりました」
賢史「お世話ねぇ…。マキって学校ではどんな奴?」
つよし「マキさんは、学校一の美形だから、知らない人はいませんでした。いつも明るくて、トラブルなんかはマキさんの手にかかればたちまちに解決して…」
賢史「だが、同じぐらいトラブル起こすトラブルメーカーか?」
つよし「…、違います。マキさんのことお嫌いですか?」
賢史「嫌いじゃないぜ、信用ないだけ。あれだけの美人だからなぁ、浮気すんじゃないかなぁって」
つよし「……、マ、マキさんは奔放な方ですが、あれは外面だけです。本当はとても優しくて、とても繊細な方です」
どもってるくせに、俺の目をしっかりみやがって、菫ママと同じことを言う。
賢史「同じ寮ってだけでそこまで分かるのか?」
つよし「2年前に、一度だけ短い期間同室になったことがあります。マキさんが失恋して…酷く落ち込んでて、……、こないだパーティーでお会いした時何となくそう思ったんですが…、多分…、あれは百目鬼さんのことだ思うんです」
賢史「!!」
つよし「ライオンみたいに吠えて強いのに、とても可愛い人だと言ってましたから、きっと、百目鬼さんのことだと思うんです。だから、マキさんは浮気なんかしないし、マキさんはあれだけの美形ですが、誰かとお付き合いとか聞いたことありません、きっと、一途に百目鬼さんを好きだったんだと思います。僕は…何も聞いてないので憶測でしかないですが…」
…。こいつ…なんだ?
オドオドしてるかと思ったら、急に鋭いこと言いやがる。神のこと…可愛いって表現に当てはめるとか……、こいつ……
つよし「あっ、着きました」
そう言われてたどり着いたのは、なんと、ネオンの代表格!キャバクラ!!。
はぁああああ!?
この根暗そうなガキに、キャバクラで働く姉がいるのか!?
で?親は海外??一体どんな家庭なんだよ!?
つよし「送っていただきありがとうございました」
深々おじぎしたつよしが逃げるように、少し高くなってるキャバクラの入り口階段を登って行くから、俺は慌ててつよしを捕まえた。
賢史「いやいや、キャバクラってお前!!ねぇーちゃんがどいつか見るまで帰らないぜ。また嘘つかれちゃ困る」
つよし「えっ!いえ!嘘なんか!ほ、本当にここでバイトしてるんです!!」
賢史「姉キャバの顔見たら信じてやるから」
つよし「こ、困ります!」
賢史「はぁ?嘘を認めるのか?」
つよし「ち、違います!嘘なんか!て、手を離してください!」
賢史「コラコラ暴れんな!」
逃げようとするつよしを引き戻し、ちょっと強引に壁に押さえつけた。
次の瞬間。
「私の弟を離せッ!!」
つん裂くような声とともに左肩に激痛が走る。
一瞬見えた声の主は、金髪をなびかせ、真っ白なドレスを翻し、ハイヒールで俺の肩にドロップキックを炸裂!!
店前の5段ほどあった階段から落ちる俺は、スロー再生を眺めるように吹っ飛ぶ中、俺を蹴り飛ばした金髪のキャバい女と、驚いて慌てふためくつよしとを映しながら、昼間の菫ママの言葉を思い出していた。
『馬に蹴られちゃえ!』
ああ、まさにそんな感じだ…
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