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ー芽生え歌うー9
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みみ「確かに、いつもと違う香りだね。いつもはフルーツ系で美味しそだもんね」
お昼休憩に入り、いつもお昼を過ごす人のあまり来ない庭隅でお昼を広げて居たら、みみちゃんが冷静に言った。
思わず礼ちゃんがさっきの真似事で手刀で軽くみみちゃんの頭に触れる。
礼「いつも美味しそうとか思ってたんかい」
みみ「礼ちゃん。顔に『私もそう思ってる』って書いてあるよ」
礼「しまツたぁー!」
みみ「マキちゃんは上手く変装してるけど、礼ちゃんにかかれば、虫刺されの赤くなったところですらトキメキのネタにされるんだよ」
恐るべし、腐女子。
みみ「私はいつもの香水の方がマキちゃんぽくて好きだけど……。これ、百目鬼さんの香水じゃない?」
礼「百目鬼さんッ!?」
鼻息荒く瞳をキラキラさせて悶える礼ちゃんと、冷静に見えて興味津々のみみちゃん。
みみ「百目鬼さんに相談に行った時、こんな香水だった気がするんだよね」
礼「きゃぁああーー!!滾るぅぅーー!!」
みみ「やめてよ礼ちゃん、私までニヤけちゃう」
礼「みぃちゃんが百目鬼さんの香水じゃないかなんて言うし、今日のマキちゃん一段と色っぽいし、想像するなって方が無理ぃー!」
みみ「あはは、確かに。…マキちゃんごめんね」
謝るみみちゃんも、顔を赤くして手で口元をかくしてるけど、礼ちゃん同様僕に百目鬼さんの移り香が付く瞬間を想像してるんだろう、ちょっと口元がニヤけてた。
マキ「ふふふ♪全然大丈夫だよ♪、本当のことだから想像してもいいよ。その代わり、綺麗で可愛い僕を想像してね♪」
礼「大丈夫!マキちゃんはこれ以上無いくらい可愛いし綺麗だから!」
凄い勢いで肯定してきた礼ちゃんは、鼻を抑えて顔を赤くして大興奮。蒸気機関車みたいに蒸気が吹き出してホットです。
それを、冷静に見えて中身は同じテンションくらいのみみちゃんがやんわりツッコむ。
みみ「礼ちゃん、声のトーン落として、誰かに聞かれちゃうよ」
礼「みぃちゃん、ニヤニヤしながら注意しても説得力無いよ」
みみ「ごめん。百目鬼さんに会った時のこと思い出すとついつい、…百目鬼さん顔は怖そうで体大きいし、筋肉すごそうで強そうでワイルドだったけど、仕事してる時キビキビしててカッコよくて大人の男の人って感じなのに、私の弟がちょっと感情的になっちゃった時にね…」
あっ、みみちゃんが百目鬼事務所に来た日の話か、依頼が終わったって言われて下に降りたら、みみちゃんの弟の翼君が泣いてるっぽくて、神さんにヨシヨシしてもらってた時の話か…。
みみ「百目鬼さん弟の話を親身に聞いてくれて、凄く凄く優しくしてくれたんだ」
翼君、可愛いもんね…。
マキ「ふふっ♪百目鬼さん甥っ子姪っ子いっぱいいて、子供達から結構慕われてるんだよ。翼君は曾祖父ちゃんの件反対なの?」
神さんに、首突っ込むなって言われたけど、これくらい聞いても良いよね?
みみ「反対っていうか……」
言葉を濁したみみちゃんに、僕はずっと思ってた仮説をぶつけてみた。
神さんがこの件に僕を関わらせようとしない理由。
マキ「曾祖母ちゃんがいるのに昔の恋人探しっていうのが嫌?」
みみ「…うーん。曾祖母ちゃん亡くなってずっと経つけど、でも。今さら、死ぬ前にお願いだなんて昔の消えた恋人探すなんて、曾祖母ちゃんが好きじゃなかったんじゃ無いかって…」
ああ、やっぱり。
みみ「私はそんなこと無いと思うんだ。曾祖父ちゃん、曾祖母ちゃんと仲良しだったし。今も毎朝手を合わせて、その日の報告とかしてるし、曾祖父ちゃんにとっては、今も曾祖母ちゃんはずっとそばにいると思うんだ」
みみちゃんがそう見えるなら、きっとそうなんだろう。みみちゃんは曾祖父ちゃんが大好きだし、そんな曾祖父ちゃんと一緒にいるから、みみちゃん自身こんなに優しい子なんだと思う。
曾祖父ちゃんは、きっと神さんと似てるんじゃないかな?
神さんの中に、いつまでも大切な修二と奏一さんがいるように…
だから、この件に関する話を禁じたんだ。
みみ「でね、話の流れで色々話して翼をなだめようとしてくれてね、その時マキちゃんの話がちょっと出たんだけど…」
え?僕の話?
みみ「マキちゃんの話をしてる時の百目鬼さん、凄く優しい顔してて、凄く素敵な顔して笑ってたんだ。まぁ、笑ってたって言っても、笑顔って感じじゃなくて口元緩んでフッと優しい顔って感じだったけど、きっとマキちゃんといる時はあんな風にずっと優しいのかなぁって。翼の話を一所懸命聞いてくれて、答えに困ったり黙っちゃうこともあったから言葉は少なかったけど、色々考えて言葉選んで答えてくれてて、凄く良い人だなぁって」
なんの話をしたのか聞きたいけど聞けない。
神さんはきっと、変な話はしないだろっけど。
きっと、僕が見る、あの優しい顔の神さんだったんだろうし…
きっと…
みみ「マキちゃんの名前が出るたびに〝あいつは…〟って話し方する癖に、目は凄く愛おしそうな感じでさ、常に眉間にシワが寄っててこーんな顔しててたけど、マキちゃんにはメロメロなんじゃ無いかと思ったらなんだか可愛く見えちゃって…」
マキ「…」
メロメロって。
ふふっ♪、メロメロなのは僕だし、毎晩ドキドキして大変だし。それに、神さんがメロメロって想像できない。最近はずっと有利なの神さんの方だし。
神さんが可愛いのは当たり前だよ、神さんはずっと、最初っから可愛かった。獰猛な猛獣のライオンが暴れまわってるかと思ったら、一途な片思い拗らせたティーカッププードルだったんだもん。
でも、今は昔よりもっと可愛い。耳を真っ赤にしながら、いつも眉間にシワを寄せた困り顔で、一所懸命で、頑張り屋さんで、本当に可愛い。
可愛すぎて、カッコよくなり出しちゃったし、元々が凄く優しいから、急にもて出しちゃうし。
可愛い神さんは僕だけのなのに…。
翼君を事務所でなだめて、それから個人的に会って、ユリちゃんに協力してもらった?
神さんは、自分の言葉選びに自信が無いからユリちゃんに間に立ってもらったんじゃ無いか…と仮説は経つけど、話の内容が見えない。
ユリちゃんとは顔見知りなだけだったのに、わざわざユリちゃんを選んだ。何か理由があるはずだ。
神さんと翼君は、なんの話をしたのかな?
神さんは、翼君を気にかけてる。
…黒髪の学生さんだから…、昔の修二への罪悪感を感じるのかな?
それとも…。
礼「みぃちゃんの言ってること分かるぅー。私が見た時の百目鬼さんは他を寄せ付けない凶暴なオーラを放ってて、マキちゃんの周りに群がってた男子をひと睨みで瞬殺してたけど、〝俺のマキに触んな〟感が凄くって可愛かったぁ」
礼ちゃんはキャッキャ騒いでる割に見る目あるんだよね。嫉妬で怒ってた神さんの心の声が聞こえたのかな?あの場面で神さんを可愛いなんて思う人なかなかいないと思うけどな。
礼「でも、百目鬼さんの気持ちも分かるわぁ。マキちゃんって閉じ込めておきたいくらい綺麗で可愛くて、色気あり過ぎて困っちゃうもんね」
マキ「ふふっ♪僕って綺麗?」
礼「彫刻みたいに綺麗だし、すっごい可愛い!恋人とラブラブで羨ましいよ」
「恋人とラブラブって、マキちゃんが?」
草陰からガサガサと音がして、聞き慣れた声が聞こえてきた。
礼「あっ…」
礼ちゃんがしまったって顔して口を噤んだけど、話は聞こえてしまったみたいで、氷室威さんがニコニコ現れた。
氷室威「マキちゃん彼女とラブラブ?俺も聞きたいなその話」
氷室威さんは僕の肩を抱いて隣に座った。
僕と百目鬼さんの関係を知ってる礼ちゃんとみみちゃんは、氷室威さんが僕の肩を抱いた手を嫌そうに見る。
みみ「氷室威さん、盗み聞きですか?」
氷室威「みみちゃん誤解だよ。礼ちゃんの声が聞こえたから覗いただけだよ」
礼ちゃんがショックを受けて、僕に平謝りしてきたけど、まぁ、僕は別に気にしない。
氷室威さんは賑やかでミーハーなところもあるけど、仲間のことを言いふらすタイプじゃ無いのは分かってる。
氷室威「ねぇねぇ、俺にも紹介して」
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