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ひねくれ者の、にしおりをはさみました!
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ひねくれ者の、
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「あー、笑った笑った…んふっ、やばっ、やっぱ無理!!」
声を出して笑う新木にイライラが募っていく
こっちは水を貰ったことに対して礼を言っただけなのになんなんだ
椅子から滑り落ちそうなくらいケタケタ笑う新木
「いって!」
あ、落ちた。
ベットから立ち上がり手を差し伸べようとすればすかさず手を振り制される
「ふう、伊澄って相当だね」
「なにが」
「んー?上手く言葉に出来ないけど結構狂ってる」
「……」
「ちょっ、無言で拳握るのやめて!いや、だってそうでしょ!?」
いよいよイライラも頂点に達して一発殴ってやろうと拳に力を込めたら焦ったように止められた
その大袈裟なジェスチャーにも余計イライラする
チッ、舌打ちすれば苦笑いをしながら続ける
何笑ってんだと言いたいところだが我慢する
「だってさ、普通、自分を犯そうとしたやつにどんな理由があれありがとうなんて言わないでしょ」
「それは、別に水のことを言っただけで」
「うん、だからそれも。さっきのさっきまで俺は伊澄を本気で怖がらせてたのにさ。まあ、あれが演技だっていうならもう映画の主演も余裕だろうけど」
「……。」
「それはきっとなにかしてもらったらお礼をしなくちゃいけない、それが普通だからっていう洗脳にも似た教育の賜物って感じだよね」
「っ」
なにを、言ってるんだ
俺はこいつを知らないしこいつも俺のことを知らないはずなの
「お?当たり??まあ、似たような経験があるやつを知ってるから何となーく言ってみたんだけど図星?」
「似たような、やつ」
新木は俺の言葉にただニコリとしただけで何も返しては来なかった
ただ、その顔はどこか俺じゃなくてほかの何かを見ている。
そんな表情だった
「あーあ、もうちょい遊びたかったんだけどなあ〜」
「?どういう…」
ことだ、と言い終わる前に部屋の扉が激しく叩かれる
ドンドンドンドンドンと何度も何度も
その音にビクリと身体を揺らすが直ぐに聞こえてきた声に安堵を覚える
「おい、上総!いるんだろ!伊澄さん返せ!!」
「あーうるさうるさ」
「かない…?」
なんで?と思うもその声は間違いなく金井のそれで
いつもより荒々しい口調に戸惑いを隠せない
「開けろよ!じゃないと蹴破るぞ!」
「あのアホならやりかねないよなー」
なんて言って重そうな腰を上げてゆっくりとドアの方へ向かう
俺は訳が分からなくてただ呆然とその様子を眺めていた。
ガチャ、と鍵を開けた瞬間
今まさにドアを蹴破ろうとしていた金井が転がり込んできた
「お前うるさい」
「はあ?そういう問題じゃないだろ!伊澄さん返せ!!!」
「うるせーな、静かにしろよ。夜だぞ」
明らかにさっきまでの新木とは別人というように心底嫌そうな声で話す。
金井も金井でまるで知らない人みたいだ
と、奥のベットに座る俺の存在気付いた金井はハッとして俺に駆け寄る
「伊澄さん!大丈夫?痛いとこない?」
「あ、あぁ。」
呆気に取られる俺とは反対に金井は至極真面目に俺に外傷がないかを調べる
ぺたぺたと肌に触れられ、さっきまで収まっていた薬の効果が戻ったみたいに熱くなる
「ちょ、大丈夫、だから、やめろ」
「あ!ごめん!!!」
「うわー、こんな翔太初めて見た。こわっ」
新木のことを思い出したのかものすごい形相で掴みかかった
「上総、俺言ったよね」
「知らね」
「?」
なんのことか分からなくて俺は頭を傾げるばかり
どうして金井がここにいるのかも分からなかった。
新木の冷たい声で話しながら心なしか楽しそうにしてる理由も
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