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Episode 58にしおりをはさみました!
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Episode 58
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「さぞ苦しかったことでしょう。人とは、辛いものを吐き出さねば生きていられないのに」
瞳がぐるぐると暴れ、回る景色にふらつく。
は、は、と息が詰まる。
柊は鴇を嫌いではなかった。
恋が実らない全ての原因は鴇だと、そう思うことで自分を救ってきたのだ。
ふわりと白衣が舞い、次の瞬間には、ふらつく身体は抱き締められていた。
行き場を失った掌。首を絞めた感覚。
懇切丁寧に告げられた柊ですら知り得なかった無意識の気持ちに、納得した。
こびりついた柔らかい肉の感触を擦り付けるように如月の白衣を掴む。
ふふ、と笑う声が聞こえる。
「貴方はおかしくありません。これまで、よくたった1人が頑張りましたね」
息を吐く。
たった一言だけで、何もかも救われた気がした。
「僕は如月琥珀。織部さん、貴方を救いたいんです」
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