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18歳以上ですか?
16にしおりをはさみました!
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16
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恐る恐る後ろを見ると、急な斜面の先に、そこそこの大きさの川があり、澄んだ水が滑らかに流れていた。
ーー緊張していたのと木の影になっていたから気づかなかった…。川があったんだ…。
「何を余所見している。おまえは今から俺に殺されるんだぞ…」
地を這うような低い声に、バッと顔を前に戻して男を睨む。左肩とお腹がズキズキと痛んで、僕の集中力を途切らせる。僕は、大きく息を吸ってゆっくりと吐き出すと、翼を動かして男へと突進した。
男が身構える前に、真正面から掌に凝縮した空気の玉を男の腹へと打ち込む。
「…ぐぅ…っ!」
呻き声を上げながら、男が身体をくの字に曲げて膝をついた。
その隙を狙って、僕は翼を大きく羽ばたかせて空へと舞い上がる。だけど、また何かで足を引っ張られて、再び地面へと叩きつけられた。
「…いっ!…たぁっ…。なに…っ?」
顔を歪めて足元を見ると、水で出来た透明な縄が、僕の両足に巻きついている。
「あ!この術って…っ!」
この水の縄は、四年前、龍に襲われた時に見たモノと同じだ。
僕が、呆然と足を見つめていると、縄が水となって地面に吸い込まれていった。
またも左肩から落ちたせいで、今や僕の左腕は、痺れてまともに動かせそうもない。
右手をついて身体を起こしフラフラと立ち上がる。僕の目の前で、男が腹を押さえながら不敵に笑っていた。
「ふ…ふふ、クソガキが…。おまえにやられた分は、倍にして返してやるからな」
「…僕は、そう簡単にやられないよ…。てか、あんたも龍なの?さっきの…四年前のアイツと同じ術だった…」
「違う…。俺は、龍の眷属だ」
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