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諦めないにしおりをはさみました!
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諦めない
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「おい、啓! お前こんな所に突っ立って何してんだよ、追いかけたんじゃなかったのかって……!?」
「あ………、勇真。 どうしたの〜、そんな怖い顔して」
さっきの光景を振り切るように笑顔を作ってみせた。
「何ないてんだよ……啓……。」
泣いてなんかないよ。
ゆーちゃんを流した俺なんかが泣く権利ないでしょ?
ほら、笑ってるよ?
笑えてるよね、俺。
「泣いてなんか無いよ〜、俺そんな泣き虫じゃないし〜」
「……だったら、これは何だよ。 涙じゃねぇのか? なんかあったんなら話せよ、俺はお前の親衛隊なんだぞ」
そう言って背伸びして俺の涙を袖で拭う勇真に抱きついた。
「ちょ!? 啓!!」
「俺……振られちゃった。 気持ち伝える前に振られちゃったんだ……」
「え……」
「俺、勝手に自惚れて……っ」
抱き締めた腕にギュッと力を込める。
「っでも、自分に自信が無くて……」
「おう……」
驚いた勇真も抱き締め返してくれて。
その温もりに縋りたくなった。
慰めてって、言いたくなった。
本当、サイテーだな俺って……。
泣きながら嬉しそうに抱き合う二人を見て、何で抱き合ってるのが俺じゃないんだって、
ゆーちゃんに触れるなって。
嫉妬でどうにかなりそうだった。
「まだ、ゆーちゃんを諦められない……。気持ちを伝えたって困らせるだけかもしれないのに……っ」
「だったら、」
「っん……?」
「だったら、諦めなきゃいいだろ!だぁぁぁあ、めんどくせぇ。 ネガティヴなお前はめんどくせぇんだよ! 啓はいい男だ、告白されて嫌な奴なんてい無い! それに、まだ告白してないんだろ? 気持ち伝えろよ、諦めるのはそれからだ」
抱き締めた腕がふと外されて両頬をつままれる。
「ひ、ひたいひょ……」
「だぁかぁら、振られたらまたこいって」
最後にビンっと引っ張って離された。
「勇真……」
「じゃなー、まぁもし付き合えたらお礼にパフェでも奢れよー」
そう言って勇真は帰った。
「本当、勇真は最高の親友だよ……」
(諦めないよ、絶対に)
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