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マシロ 3にしおりをはさみました!
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マシロ 3
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この人………写真の………。
柔らかい笑顔に毒気が抜かれてあまり恐怖を感じない。
ふとイカリさんを見上げたのと同時に、イカリさんはブンッと何かを投げた。
「おわっ!」
俺と同じ顔の人は間一髪でしゃがんで、頭をかばいながら後ろを振り向く。
男の人のすぐ後ろ、開きっぱなしだったトイレのドアに、ナイフが突き刺さっていた。
ちょうどその人の顔があった位置。
床と水平に刺さるナイフ。
俺の方が心臓が止まってしまいそうだった。
「っあぶなー!何すんの!今本気で当てにきたでしょ!」
「何すんのはこっちのセリフだ不法侵入野郎。出て行くか死ぬか選べ。つーか殺す」
「ストップストップ!暴力反対!」
頭の上で大きなバツを両手でつくり必死に抗議するその人は、オオカミから逃げる子ウサギみたいで可哀想になってくる。
それに、俺の知ってるイカリさんと別人みたいな雰囲気が怖くて、思わずイカリさんの服をくいっと引っ張った。
「イカリ、さん………?」
俺をチラリと見てひとつため息をつくと、イカリさんはポンポン俺の頭を優しく叩いた。
少し安心する。
その様子を見た男の人は胸を撫で下ろして「乱暴だなぁ、もう」と頬を膨らませて言った。
「………今更俺に顔見せるなんていい度胸してんじゃねぇか」
「えへ、そうかな?これでも結構捜したんだよ?
お兄さんの家、僕が戻った時にはもう空っぽだったし。
電話番号は勝手に携帯触った時に覚えたけど、どうせならお兄さん捜し楽しんじゃおって思って連絡しなかったんだよね」
「だからって勝手に家に入るな」
「えへへ、サプライズ〜!感動の再開はやっぱり最初が肝心でしょ?」
お兄さん見つけるのこんなに時間かかっちゃうとは思わなかったけどね、と大好きなゲームで遊ぶ子供みたいに楽しそうに笑った。
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