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12にしおりをはさみました!
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12
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驚いて振り向くと、バルテル王子までもが苦しそうな顔をして、ドサリとその場に崩れ落ちた。
俺は、得体の知れない怖さに震えて、自然と足が後ろに下がる。
数歩下がった所で、トン、と何かに背中がぶつかった。
勢いよく振り返ると、銀髪のルナ国王が、俺の真後ろに立って見下ろしていた。
「あ…、あのっ、何かよく分からないんですけどっ、危険なことが起こってるみたいで!あなたもここにいたら危ないですっ。早く、アルや皆んながいる部屋へ戻って助けを呼びましょう!」
俺は、ルナ国王の腕を掴んで先へ進もうとする。すると、逆にルナ国王に強く引っ張られて、彼の胸に頭をぶつけた。
「いたっ…!な、なにっ?早く行かないと危ないってっ!それにレオンやナジャがっ…」
「大丈夫だ。危険なことなど何もない。倒れた奴らも死にはしない。少し、動けないようにしただけだ」
「な…っ。どういうこと?」
「俺が魔法を使って邪魔者を排除した」
「な…んで…」
「おまえを連れ去る為だ」
「…え?…嫌だ。俺はどこにも行かない。エン国から離れないっ」
「おまえの意思など聞いていない。さて、他の邪魔者が来る前に行くか」
「…だっ、だれ、か……」
これはヤバい!と叫ぼうとした俺の肩を、ルナ国王が強く掴む。ギリギリとした痛みと共に、一瞬心臓が止まったような感覚がして、直後に俺は、意識を失ってしまった。
目の前が暗くなる寸前、リオが扉の陰から飛び出して、こちらに駆け寄ろうとしていたように思う。
ーーリオ。早くアルに知らせて。レオンやナジャ、バルテル王子を助けて。全部、月の国の王がやったんだ。俺も掴まってしまう。月の国に連れ去られる前に、俺を助けて。
ガタガタとひどく揺れる振動に、うっすらと目を開ける。
向かい合わせに椅子がある狭い空間。ガタガタと音がして揺れているのは、すごい速さで動いてるから?
頭の下に硬いものがあり、視界には、腕を組んで目を瞑るシルヴィオ王の顔があった。
頭はぼんやりとしてるのに、心臓が飛び出そうな程ドキドキと激しく動いている。
俺は、何が起こっているのかを、もう一度目を閉じて冷静に思い浮かべる。
そうだ。今日はアルファムの即位5周年の式典があったんだ。式典は無事に終わり、すぐに宴が始まった。
俺は、アルファムの隣で色んな国の人達の挨拶を受けていたのだけど、アルファムとローラントの姿を見て、なぜか寂しく感じてしまった。
いたたまれなくなった俺は、そっと部屋を出た。気づいたレオナルトがついてきて、中庭で話していると、ナジャが現れるなり倒れた。
危険を察知したレオナルトに抱えられて逃げる途中で、レオナルトも倒れた。
俺を恨んでいたバルテル王子も倒れた。
それらは全て、月の国のシルヴィオ王がやったことらしい。
そして今、俺はシルヴィオ王に連れ去られようとしている。
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