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2020年バレンタインデーの巻 11にしおりをはさみました!
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2020年バレンタインデーの巻 11
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「ううん…」
チェシャは、首を振った。
セックスは好きでするから、別に良い。
今日は、チェシャが少し背伸びをしたかっただけ。
「ゆきちゃん…」
弱ったチェシャを何度も見てきたが、
今のチェシャは、何だか特別な弱り方をしている気がしていた。
「チェシャ…?」
天花はチェシャの顔を覗き込む。
「ねぇ、ゆきちゃん」
琥珀色の瞳の色が陰っていた。
瞳をあわせようとしない。
チェシャは、遠くの床を見つめている。
「ボクの事好き?」
いつも横暴で、自己中なチェシャとは違う。
その答えの先に『NO』があるのが怖いのだ。
そんなもの無いと思っているのに、不安が押し寄せて自信がなくなる。
万が一にも、
真正面から否定された時の心の準備なんて出来ていないのに、
なんでそんな事を聞いてしまうのか…
「ボクは、ゆきちゃんの過去を勝手に見ちゃうようなヤツだ…」
しかも、自分にとって不利な言葉が思っていもいないのに、
溢れてしまう。
「チェシャ」
天花は、チェシャの言葉を遮る。
「お前は、お前のままで良いんだぞ?」
「…」
まるで、チェシャ自らが、自らを否定しているかのような言い方だった。
「自分のことをそれ以上否定するな」
不安定に揺らぐチェシャの感情に、光りが指したような気持ちだった。
「他人と違うところを集めて自分を責めるな。
誰もお前を否定していないだろ」
琥珀色のくぐもった瞳の陰りが、晴れて行く。
天花は、チェシャの手に自らの大きな手を重ねた。
燃えそうなほどの熱を秘めている。分厚い皮膚の大きな掌だ。
「…ゆきちゃん」
バカだなぁとチェシャは、自ら思った。
ボクの事好き?
なんて、野暮な質問を天花にしてしまったが、
本当に好きなのはチェシャの方だ。
この人を心から愛していると思うと切なくなる。
チェシャは、天花の掌を握り返した。
ああ、もう本当に好き。この人が好き。
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