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第51話 窮地にしおりをはさみました!
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学校一の陰キャが学校一の不良に｢諸事情あって｣ベタ惚れされた話
第51話 窮地
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神崎は何も喋らない。ただ興味深そうに青木のことを見つめている。
｢人を探しているんです。この学校の生徒で、困っていたところを助けてもらいまして｣
｢……｣
なるほど、先程と同じ手法か。確かにそこまで違和感はない。けど肝心の神崎は相変わらず黙り込んでいる。
｢あの……｣
｢それって俺のことかな？“青木 誠”くん｣
｢……！｣
ふと口を開いたと思えば、神崎は青木の名を口にした。知るはずのない、目の前にいる初対面の人物の名前だ。
｢な……！？｣
｢しっ……！｣
有り得ないことに思わず声が出て、天宮に人差し指を向けられた。けれど思うことは同じなようで、じっと神崎を睨みつけている。
｢っ……だ、誰のことですか？｣
｢とぼけないでよ。天宮 優くんのことを聞きに来たんだろ？幼馴染……だったっけ？｣
｢……｣
青木は必死に誤魔化そうとしたけど、無駄なようだ。ついには言葉を失ってしまった。
幼馴染というのは、本人たちかそれに近しい人物たちしか知りえない事だ。
なぜ他校生で関わりのないあいつが知っているのだろう。得体の知れない恐怖で、自分の体が震えているのが分かる。
｢……俺はね、“相手”のことは何でも調べるんだ。家族、仲の良い人、クラスメイト、いつも通る店の店員……｣
｢……春くん｣
｢は、はひ｣
ふと、天宮が口を開いた。その言葉には怒気が含まれていて、聞いただけでも圧倒されそうだ。
｢ここでじっとしてろ。絶対出てくるなよ｣
｢え？ゆ、優ちゃ……天宮！？｣
それから天宮は、颯爽と二人の元へ向かっていった。俺も出ていった方がいいんじゃないかとも思ったけど、そうしたところで何もできないのは分かりきっているのでひとまず様子を見ることにした。
｢で、俺にわざわざ会いに来たってことは……きっと天宮くんの……｣
｢おい｣
｢！｣
｢聞きたいことがあるのは俺だ。そいつは関係ねえ｣
｢優……！？なんで｣
青木は天宮の姿を見て青ざめた顔をした。きっと自分一人の力でなんとかしたかったのだろうけど……そうもいかないだろう。
｢知られてるからには隠し立てできねえだろ｣
｢────やっぱり君もいたのか。天宮くん……？｣
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