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大人と子供にしおりをはさみました!
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大人と子供
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「優真、そろそろ行こうか」
床に寝転がりながらテレビを見ていた俺に、蛍汰が声を掛けてきたのは朝食を食べてから30分後くらいのことだった。
あれほど膨らんでいたお腹は戻って来ているし、もうそろそろ動けるだろう。
「おーう」
軽い返事をした俺はリモコンでテレビを消して置いておいたスクールバッグを手に持った。
「忘れ物ない?」
「ねーよ!親みたいなこと言うなよ」
「だって優真うっかりさんなところあるでしょ?」
「うるさいっ」
一緒に住んでまだ一週間しかたってないのに俺の何がわかるんだ!
ぶつぶつと口うるさい蛍汰に、ついつい自分の母親を重ねてしまい不機嫌に唇を尖らせる。
そんな俺に蛍汰なクスクスと笑いながら、むにゅっと指で唇を挟んだ。
「ふふっ、可愛いなぁ」
「かわいくない!」
馬鹿にするなと怒った俺は、逃げるように玄関のドアノブに手をかける。
そして、「あっ、」と思い出したかのように声をあげた。
「財布テーブルに置きっ放しだ!」
忘れるところだったと、慌てて靴を脱いで部屋に取りに行く。
ギリギリで思い出せてよかったけど、蛍汰の言った通りになった様で何と無く嫌だった。
さっさと財布を鞄にしまって再び玄関に戻ると、蛍汰は「やっぱり」と怒る訳でもなく、馬鹿にするように笑う訳でもなく、「行こっか」と優しく俺の頭を撫でる。
なんか対応が妙に大人で嫌になる。
これじゃ、俺ばっかり子供じゃないか。
やっぱり何処か納得出来なかった俺は、見つからないように唇を尖らせて蛍汰と共に玄関を後にした。
「今日は余裕あるし、ゆっくり行こうね」
「ん。」
家の鍵を閉めて階段を降りようとした時、
キィ、と隣の部屋のドアが開いた。
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