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黒兎と飴色獅子（4/5）にしおりをはさみました!
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【もふもふ獣人・肉球ぷにぷに】桃色うさぎと白い獅子【激体格差
黒兎と飴色獅子（4/5）
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「ノクス、顔見せろ」
クレイは、胸元で大人しく抱かれているノクスに声をかけた。
ノクスは眼鏡を軽く持ち上げると、目尻に残った涙を指先で拭ってから、顔を上げた。
よかった。この黒兎はなんとか泣き止んでくれたようだ。
その事実にクレイは心底ホッとした。
思い出せる限りのノクスとの思い出を全部さらってみたが、今までこの真面目な黒兎は、隠れて泣いたり、最中に涙を見せる事はあっても、こんな風に俺の前で、素直に涙を見せた事なんて無かったはずだ。
今までよりも、俺は確実に心を許されている。
その事実に、クレイは胸が高鳴る。
熱くなる身体の、その熱は下半身にも力を取り戻させた。
「ぅ……ん……っ」
己の内で立ち上がるそれに、ノクスは肩を揺らし、小さく声を漏らす。
クレイは、その声を、また浴びるほど聞きたいと切に願った。
「お前のネクタイを寄越せ」
言われて、確かにクレイはタイに手を伸ばそうとしていた事を思い出したノクスが、素直に首元を解いて差し出す。
「は、はい……」
一体、何をする気なのかと警戒しながら。
警戒を浮かべつつも従順なその姿に、クレイの心はざわりと騒めく。
その真面目で慎ましやかな姿を、早くこの手で乱したいと欲望が急くのを抑えつつ、クレイはなるべく優しく囁いた。
「両手を後ろで揃えろ」
「……こうですか？」
クレイはノクスを前から抱き締めるようにしながら、揃えられた手首に、タイをかける。
「ああ、いい子だな……」
不意に褒められた事に、驚きと、隠し切れぬ喜びを浮かべた黒い瞳が、次の瞬間凍り付く。
「……ぇ……？」
ノクスの両手首は、背中側で自身の黒いネクタイによって縛られていた。
縄の扱いの心得がある者が縛ったそれは、弛みなく、とても抜け出せそうなものでは無かった。
「それでもう、口は塞げねぇだろ？」
口端を歪に持ち上げたクレイの声に、ノクスは絶望する。
その為だけに、私を縛ったのかと。
騙すような真似をして……。
私は、抱き締められて、本当に、嬉しかったのに……。
胸の内を悲しみに塗り潰されて俯きかけるノクスの顎を、クレイがくいっと持ち上げる。
そっと口付けられて、ノクスは目を見開いた。
獅子を見上げれば、彼は口にこそ出さなかったが『そんな悲しそうな顔をするな』という目で、いたわるようにノクスを見ていた。
それなら……、そう思うなら、こんな真似をしないでくれればいいのに。
ノクスが納得できない思いを抱えていると、クレイはにっと笑って低い声で囁いた。
「あのお利口な姫さんは、もうわかってるよ」
「何を……っ、ぅ」
すっかり立ち上がった彼のモノに、内側を擦り上げられて、ノクスの言葉は途切れた。
「お前の声をたっぷり聞かせて、安心させてやればいい」
「そん……、そんな、こと……っぁっっん、う……ぁああっ」
クレイは、ゆるゆると腰を揺らしながら、ノクスの弱い部分を狙って突く。
「ぅ……ん……っ、ぁあっ、あ、あっ……ん、くっ」
必死で唇を噛み締めるノクスの口端から、それでも嬌声が漏れる。
いつも真っ直ぐで歪まない黒兎の細い眉が、今は悔しげに寄せられている。
その姿に、クレイの喉が鳴る。
黒い瞳にじわりと滲んだ涙に気付かないフリをして、クレイはその唇へと指を這わせる。
ぐいと歯の無い横側から指を突っ込むと、ノクスは苦しげに喘いだ。
「んゔっ」
そのまま腰をゆっくり揺らしつつ、クレイは指をノクスの鼻先へと動かす。
「ぅ、く……ぅゔ、ぅぁ、っ……」
口内を思うまま蹂躙されて、ノクスが険しい視線を向けてくる。
クレイはそれを受け流すように笑って言った。
「このままじゃ、俺の手が血だらけになるぜ？」
ギリッと噛み締めるノクスの鋭利な前歯に、クレイの指先が触れそうになって、黒兎は弾かれるように口を開いた。
途端、クレイが緩やかに揺らしていた腰を大きく突き上げる。
「ゃ、ぁあっ!!」
蓋を失ったノクスの声は、狭い室内に響いた。
自身の声に、兎の長い耳が跳ねる。
ノクスは大きく身を捩りクレイの指を振り払うと、唇をギュッと噛み締め、悔しさと羞恥に頬を染めて、クレイを憎々しげに睨んだ。
この、感情の希薄そうな黒兎から、刺さるような視線を投げられて、クレイはじわりと口端が上がる。
「……なあ、俺ばっか動いてちゃ傷口がまた開くぜ？」
その言葉に、ノクスの顔色が変わる。
クレイは起こしていた上半身をベッドへと戻すと、ノクスを視線で誘った。
金色の瞳は、ランプの光にゆらりと怪しく揺らめいている。
黒兎は、誘われるままに、獅子へと身を寄せた。
「ほら、動いてみろよ、お前がイイように」
耳元で囁かれて、ノクスはびくりと耳を震わせた。
おそるおそる、彼の上で腰を揺らすと、じんと甘い感覚が腹の奥に広がる。
「ん……」
自身の内で熱を持つ彼の、その熱さが、自分に向けられているのだと思うと、ノクスはたまらなくなってくる。
「ぅ……ん……、っ、ぁ…………っ」
腰を振る自分を、彼がじっと見つめている。
あの金色の瞳で、低く喉を鳴らしながら。
私が懸命に腰を振る様に、彼もまた欲情している。
ゾクゾクと背を駆け上る熱が、繰り返される動きと共に下腹部に血を集めてゆくのがわかる。
「あっ……ん……、ぅあ、ああぁっ……っ」
声が、もう、堪え切れない。
いつの間にか、ノクスは夢中で腰を振っていた。
「ゃ、ぁ、ぁあ……、ぅん、ん、っ……、ぁああっ」
クレイが怪我の無い方の手を、ノクスへ伸ばす。
すっかり下がってきた眼鏡に指が伸びて、ノクスは眼鏡を取られるのかと一瞬身構えた。
けれど、その指は、思うよりもずっと優しく眼鏡の位置を直すと、そのままノクスの頬をゆっくり撫でた。
「いい子だ……」
少し苦しげな声で、熱っぽくクレイが囁く。
その言葉に心まで侵されて、ノクスの肩が小さく跳ねる。
彼が感じている。私の、身体で……。その気付きは、ノクスの理性を蕩かした。
ずくんと下腹部が熱を抱いて、内側が勝手に収縮し始める。
「ぅ、ぁ、ぁぁあ、ああぁんんんんんんんんっっ!!」
黒兎は、ギュッと目を瞑って、ガクガクと震える体を必死で保つ。
後ろ手に縛られ、手をつくこともできないまま、彼の体に負担がないように、震える足で。
「一人で勝手に、イクなよ、なっ！」
クレイは、そんなノクスの震える喉から視線を逸らして、その細い腰を支えた。
そのままぐいと引き寄せて揺らす。
「あっ、あぁっ、まだ、ぅ、やめ……っぁああぁぁああっっ!!」
締め付ける内を強引に掻き回されて、黒兎は受け止めきれない快感に喉を逸らした。
目を逸らしておいて、正解だったと、消えかけた理性の言葉を聞きながら、クレイも限界へと至る。
「しっかり受け止めろよ」
暖かい内側へ引き込まれるように吸い上げられて、その奥へと、クレイも精を注ぐ。
「くっ」
思わず肩へも力が入り、鈍い痛みにクレイは顔を顰めた。
「あ、ぁあ、っ！ 熱っ、あっ、あぁんんんんんんんんんんっっっ!!」
クレイの精にあてられてか、先ほど吐精したばかりのノクスの物からも、とろりと新たに雫が吐き出される。
「……お前、またイったのかよ」
蔑むような言葉なのに、ノクスにはなぜか愛を囁かれているように聞こえて、ギュッと閉じたままだった瞳をほんの少し開いてみる。
そこには、可愛くて仕方のないようなものを見ているような、うっとりと優しげに目を細めた獅子の顔があった。
何だか、見てはいけないものを見てしまった気がして、ノクスはまたギュッと目を閉じる。
それだけの刺激で、体はまたびくりとその内を震わせる。
「……ぅ、ん……っ」
クレイの、クツクツと笑うような声に、欲望の混ざった唸り声が重なった。
「ほら、俺に体重預けな。ほっそいお前くらい、痛くも痒くもねぇよ」
言われるままに、そっと足の力を抜く。
体重がかかった分、それは奥へと深く刺さった。
「ぁっ……く、ぅ……ぅ」
さっき、彼も精を吐き出したはずなのに、それはもう、刺さるだけの硬さを取り戻している。
まだ、終わらない。
その事実にぞくりとノクスの背筋が震える。
胸にじわりと広がる期待に、ノクスはそれを知った自分が喜んでいる事を理解した。
「よしよし、素直ないい子だ」
からかうような言葉と共に、柔らかな肉球で優しく頭を撫でられて、ノクスは思わず目を細めた。
「ん……」
知らず、熱い息が漏れる。
学生の頃、何かと先輩風を吹かせていた彼は、時々こんな風に、からかうような口調でノクスの頭を撫でた。
兄弟の多い彼にとっては、大した意味も無い動作だったのだろう。
けれど、今までそんな言葉をかけてもらった事のなかったノクスにとっては、それが初めて、他人に愛を持って触れられた経験だった。
優しく撫でられて、それに誘われるように、ノクスはまた腰を揺らす。
体重がかかったそれは、先程よりもずっと深く、ノクスの奥へ届いた。
「ぅぅ、んっ、あ……っ、ぅぁっ、ぅんんんっ」
嬌声に喘ぐ口元から、飲み込みきれず雫が垂れる。
ぽた。と彼の上に落ちた雫を、クレイが長い舌でべろりと舐め取る。
「あ……、すみませ……ん……」
蕩けたような表情で、上擦った声で、それでも、生真面目な黒兎が眼鏡の向こうから謝罪する。
クレイは湧き上がる苦笑を噛み殺しながら、答えるかわりに腰を突き上げた。
「ぅああっ」
黒兎は、喉を逸らせて切なげに鳴く。
その喉笛を視界に入れないようにしながら、クレイは思う。俺の上に散々精を撒き散らしておきながら、涎が垂れたのは謝んのかよ。と。
慣れの問題だろうか。
学生の頃は散々組み敷いてきたが、こんな風にこいつから乗ってくるような事は今まで一度も無かった。
していることは同じでも、ノクスが俺への想いを自覚したのは大きな違いだ。
クレイはあれから毎日のように繰り返している質問を、荒い息の合間に口にした。
「お前……俺のこと、どう思ってるんだって……？」
ゆるゆると揺らされ続けている黒兎の耳が、ピンと跳ねる。
眼鏡の下で上気した頬がみるみる赤くなるのを、クレイはノクスの耳の内側の色で知る。
赤色を帯びて潤んだ黒い瞳が、真っ直ぐに、縋るようにクレイを見つめた。
「あ……、クレイ……」
「その名で呼ぶなって――」
「せん、ぱ……ぃ」
「っ!?」
「好き……です……」
眼鏡の向こうで、潤んだ瞳をゆっくり細めて、両腕を後ろで縛られたままに、それでもノクスは慎ましやかに微笑んだ。
金色の瞳の、黒い瞳孔が最大にまで広がる。
瞬間、彼の理性が飛んだと、ノクスには分かった。
さっきから喉を鳴らしっぱなしだったクレイが、ついに喉を狙って飛び付いてくるのを、ノクスは身を捻って避けた。
「……っ、んっ」
避けた拍子に、捻った身の内を彼の物に擦られて、ノクスは切ない声を漏らす。
避けられて、クレイがハッとその瞳に理性と自制を取り戻した。
「……チッ、……悪ぃ」
ノクスから目を逸らして、強く目を閉じかぶりを振るクレイは、その眼裏に赤く染まった寮のベッドと、そこに蹲り、血に濡れる、まだ若く細いノクスを蘇らせていた。
殺してしまったかと思った。
あんなに、心の底から怖いと思ったことは、それまでなかった。
まさか、自分があんなことをしてしまうなんて、信じられなかった。
公にはならなかった。
同族の方が少ない養成所では、齧ったり齧られたりは、無い事ではないらしい。
部屋割りを変えようかと寮長に提案されて、あの日俺は何も言えなかった。
ノクスは、いつもと変わらぬ無表情で、別にいいと言った。このままでいい。と。
俺は驚いた。
てっきり、部屋を変えられて、もうそれきり、ノクスには会えなくなるんだと思っていたのに。
後からノクスに理由を尋ねたら、俺が青い顔をして震えていたからだと言った。
わざとじゃなかった事くらい分かると。
だとしても、自分の首を食いちぎるようなやつと、同じ部屋に居られるもんだろうか。
俺は、二度とこいつに食い付かないと、自分に誓った。
けれど、まだ若かった自分の自制は脆く、そのうち、夜はあいつの首に防護輪を巻くようになった。
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